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編集者•ブックライター 著者さんが世に伝えたいことを「よりわかりやすく」世間の多くの人に伝えられるようにお手伝いしています。 noteでは、自分が伝えたいことを発信しています。

最近の記事

女子マネ化する女性たち

女子校•リベラル•ユートピアもう20年程前、埼玉県にあるリベラルな女子校に通っていた。 当然だが、1学年400人、3学年まとめて1200人、全員女。 文武両道の精神のもと、文化祭、体育祭、生徒会などすべての活動を女子だけで作っていく。 生徒会長は女。文化祭実行委員も女。 「女子しかいないんだから当たり前でしょ」と言われると確かにそうなのが、思い返せば共学の公立中学に通っていた頃は、あらゆる「長」は100%男子だった。女子はなっても副会長。女子がトップに立って、頼もしく

    • 男はA面/女はB面 ジェンダーの話とか

      『リボンの男』の描くドラマなき世界『リボンの男』(山崎ナオコーラ)は、ちょっと「普通」とは違う家族を描く。夫の常雄(通称 妹子)は専業主夫として子どもタロウの子育てを主に担っている。外へ出て働くのは書店員の妻みどりである。 「自分は何をやっているんだろう?」自称「時給マイナスの男」妹子は、息子の保育園の送り迎えをしながら毎日思いを巡らせている。 妹子の暮らしは淡々としており、はたから見ればそこにドラマはない。作中、妹子にとっては大きな出来事が1つだけ起こるが、それをみどり

      • 「格差を見てみぬふり」では許されない〜映画「パラサイト」感想〜

        今更ながら「パラサイト」を観に行きました。 いや〜すごかった! お恥ずかしいことに、私、集中力がない人間でして(集中できる人になりたい)。面白い映画を見ていていたとしても「今半分くらいかな」「仕事のメール来てないかな」「お腹減ったわ、コーヒー買えばよかった」とか、大体現実世界へ戻る瞬間があるのですが「パラサイト」ではそれが全くありませんでした! 2時間ぶっ通しでとんでもないものを見せられている感じ。ポン•ジュノ監督が「ジェットコースターに乗っている気分で見てほしい」と

        • 何が息子を「男の子」らしくしたのか

          「男の子? 女の子?」 妊娠をすると、友人や家族•親戚はもちろん、取引先、電車で隣り合わせになった女性まで、あらゆる人がこう聞いてくる。 妊娠6ヵ月のエコー検査で「立派なちんちんが見えました。男の子です」と産婦人科医が男の子宣言をした瞬間に我が子の生物学的な性別は確定した。 「男の子」と明確な答えを返せるようになってからは、聞いた人は安心したような顔でうなずき、間をあけずにコメントをくれる。 男の子は手がかかるからママが大変よ〜 これでプレゼントする服が選べるわ

        女子マネ化する女性たち

        • 男はA面/女はB面 ジェンダーの話とか

        • 「格差を見てみぬふり」では許されない〜映画「パラサイト」感想〜

        • 何が息子を「男の子」らしくしたのか

          「わたし」は脆い 『変身』(フランツ•カフカ)を読んで

          ある朝、グレコール•ザムザが気がかりな夢から目ざめたとき、自分がベッドの上で一匹の巨大な毒虫に変ってしまっているのに気づいた。 『変身』の冒頭部分だ。シュールで突飛な設定を読む者に突きつけるところから始まるこの物語は、カフカによって1915年に刊行された。毒虫になって引きこもって生きるしかなくなる状況は、どこか現在のわたしたちに重なる。我々を突如襲ったウイルスは、わたしたちを家に閉じ込めた。今読んでも十分読み応えがある。いや、今この状況だからこそ読んで共鳴できる作品かもしれ

          「わたし」は脆い 『変身』(フランツ•カフカ)を読んで

          岡村さんの風俗炎上を「ジェンダー問題改善」の契機に

          岡村隆史さんがラジオで発言した内容が問題視されている。 わたしはラジオを直接聞いたわけではないが「女性の雇用状況が悪化し、お金を稼ぐためにかわいい子がやむなく風俗で働くだろう」と予測(期待)し、これを「絶対面白いこと」と形容したらしい。というのを藤田孝典さんの記事で知った。 ただでさえ多くの男性に比べて雇用が不安定な女性たちが、コロナ禍、コロナ後に厳しい状況に置かれることは想像できる。その解決策として、風俗で働くことを挙げ、それを「面白いこと」と歓迎するのは、個人的に女性

          岡村さんの風俗炎上を「ジェンダー問題改善」の契機に

          女性の生きづらさに効く 『あのこは貴族』(山内マリコ)を読んで

          こんな人にオススメ •進学を機に地方から上京して、今も東京で働く女性 •男性優位の社会で生きづらさを感じる女性 •20代後半になって、友人との距離ができ始めた人 •フェミニズムに興味があるけど、フェミ系の専門書を読むにいたっていない人 あらすじ 『あのこは貴族』は、本来なら交わるはずのない2人の女性の邂逅をえがく。 1人目は、東京出身の箱入り娘、華子。上流階級の中で息苦しさを感じつつも、順応しようともがく20代後半の女性だ。 2人目は、必死な思いで勉強して慶応大学に合格し、

          女性の生きづらさに効く 『あのこは貴族』(山内マリコ)を読んで

          人間みな依存して当たり前 〜 『しらふで生きる 大酒飲みの決断』(町田康)を読んで〜

          こんなときにオススメ→ 酒、SNS、恋愛など、依存しているものから自由になりたい 「世間的な幸せ」を追ってしまう 町田康氏の新作エッセイ『しらふで生きる』を読みました。30数年間、1日たりとも休まずに酒を飲んでいた小説家が酒をどうやってやめたのか、酒をやめた先に見えてきたものは…なんてことが219ページにわたり熱く語られているわけですが、最初から最後まで町田康ワールド全開! 炸裂!なので、彼の文章に触れたことがない人が読むと滅茶苦茶に揉まれて飲まれてできあがってしまうかも…

          人間みな依存して当たり前 〜 『しらふで生きる 大酒飲みの決断』(町田康)を読んで〜

          「戦争は他人事」だった私が特攻隊の本を手にしたわけ

          恥ずかしい話だが、私は戦争について教科書に載っているような知識しか持っていない。いや、知識とは言えない。私が知っているのは、大学受験“戦争”を突破するために詰め込んだ「用語」に過ぎない。誠に恥じるべき話だが、さらにいうと受験から15年以上経った今、あのとき詰め込んだ用語の半分も頭の中に残っていない。 戦争について詳しいことを知らない。その自覚ゆえか、毎年8月6日に「広島 原爆の日」と大きく印字された新聞の見出しが目に入ると、次の瞬間に何も知らない自分を後ろめたく思う。続く8

          「戦争は他人事」だった私が特攻隊の本を手にしたわけ

          母の前に、人である

          先日あるエッセイを読んでいたときのこと、「謝罪の必要がない場面で謝る母親が多くないか?」と指摘する文に目に止まった。「あ、これ私だ」と。子どもを生んでから、子連れ外出するときは、周囲の目を気にして謝ってばかりだ。駅のエレベーターでベビーカーが場所をとるから「申し訳ないです」。車内で子どもが急に大きな声をあげて「すみません」。 これはもちろん外での話だ。でも外ではなく、家の中でも、いや、家の中のほうが、母たちは謝ってばかりなんじゃないか。他のお宅の会話なんて知りようがないのだ

          母の前に、人である

          「料理作る?」と聞かれる女-「嫁の料理どう?」と聞かれる男。スーさんのおかげでモヤモヤが晴れた話

          このnoteで声を大にして言いたいことは、ただ1つだけ。 『女に生まれてモヤってる!』、良書! ----- 出版社所属の雇われ編集者だった頃の話。29歳で結婚したものの、別に夫の家に「嫁いだ」つもりはないし、夫を一方的にサポートするために一緒になったわけでもない。 「2人とも働き盛りなんだから、今働かなくてどうする? 思いっきり働けばいい」と思って仕事ばかりしていた。家事は9割こちら負担で、それは問題だけれども、でも夫のほうが仕事が忙しいし、私が体調を崩したときには

          「料理作る?」と聞かれる女-「嫁の料理どう?」と聞かれる男。スーさんのおかげでモヤモヤが晴れた話

          本に「校閲者の名前」を載せてほしい

          書籍にクレジットはなくていいい?『ブスの自信の持ち方』(山崎 ナオコーラ 著)の発売記念トークイベントに行ってきた。 この本の作りの部分で面白いところがあって、本の制作関係者全員のクレジット(名前)を載せているのだ。それぞれのプロフィールも書かれている。 〈本を作っているのは自分だけではない。制作陣の協力があってできた本だ〉といった作者の思いがじんわり伝わる。そこが「素敵だな」と思った。 イベントでもクレジットの件は話題になっていた。その中でカバーデザインを担当した川名

          本に「校閲者の名前」を載せてほしい

          New York Times注目の「わたし、定時で帰ります」 「米国=定時上がり」は誤解?

          先日公開した「あのNew York Timesも注目『わたし、定時で帰ります。』」の記事が、予想以上に多くの方に読んでいただけているようです。驚きつつも、素直に嬉しい。 ということで、noteの編集や更新の仕方も満足にわからずに「見切り発車」のままですが、もう少しこの話題を深掘りしていくことにしました。 New York Timesが「わたし、定時で帰ります。」を紹介した記事には世界中からコメントが寄せられています。 あらためて見返してみると、ある「切実な」コメントが目

          New York Times注目の「わたし、定時で帰ります」 「米国=定時上がり」は誤解?

          「ランドセル=親の期待」って重いなぁ

          ランドセル支給は全体主義的!?「茨城県日立市では、新小学1年生にランドセルを支給している」。個人のかたのTwitterをきっかけに、このことがネットニュースで取り上げられ話題になったそうです。 「今話題になっている」といっても、これ、実は「第一次オイルショック後」から続いていることなのだそう。 「いいじゃん! これ全国で導入して」と、私は100%同意します。ネット上を見てもおおかた肯定的なコメントを残している方が多いようです。 そんな中、こんなコメントに目が止まりました

          「ランドセル=親の期待」って重いなぁ

          あのNew York Timesも注目「わたし、定時で帰ります。」

          先日、New York Timesに日本ドラマ「わたし、定時で帰ります。」が紹介されました。記事では、ドラマの紹介から始まり「日本人はなぜ定時に帰れないのか?」という問題に迫っています。 •日本人には「休む」=「だらける」という意識が根づいている •生産性よりも「どれだけ長くデスクに向かったのか」が昇進の基準となる企業もある •「勤勉=美徳」の精神性に加えて、生活費を残業代に頼る社員がいる New York Timesが「わたし、定時で帰ります。」に注目するとは。やは

          あのNew York Timesも注目「わたし、定時で帰ります。」

          「働くママ3.0」なんて、やめようよ〜

          ある朝、新聞を開くと「働くママ3.0」という連載の見出しが目に飛び込んできて、「3.0って意味わからないけど、働くママとして読んでみよう」と目を通してみることに。 以下は、同じ新聞の電子版に掲載されているリード文。新聞記者さんたちの定義した「働くママ3.0」の姿が見えてきます。 働くママがバージョンアップしている。働き始めた1.0。ママかキャリアかで揺らいだ2.0。今や働くことは当たり前、ママであることを楽しみながら、キャリアも大切にする3.0世代だ。起業、カリスマ、シン

          「働くママ3.0」なんて、やめようよ〜