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カメラ片手に、プロの写真家と散歩した話〜上野編〜 第1話

この記事は何?

・写真を撮ることが好きな素人が、プロの写真家・和田剛さんと街を歩き、撮った写真を見ながらプロからアドバイスをもらい、カメラの腕を上げてしまおうという連載。

対象読者は?

・写真撮影が上手くなりたい!と思っているカメラ初心者。・プロは何を考えて写真を撮っているのか興味がある人

撮影の概要

・【場所】上野公園、不忍池
・【日時】8月のとある晴れた日
・【天気】夏の青空

撮影場所の詳細

今回の撮影地は、以下のエリアを中心にお届けします。

・国立西洋美術館周辺(赤色のエリア)
・東京都美術館、上野動物園周辺(青色のエリア)
・不忍池周辺(緑色のエリア)

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今回の場所である上野は、過去には東京最大の玄関口とも言われていました。今でも様々な美術館や上野動物園、不忍池といった観光スポットや、買い物客や酔っぱらいで賑わうアメ横など、人気のエリアが点在する東京の名所の一つとなっています。

このシリーズでは、その中でも上野公園と不忍池を中心にお届けします(アメ横エリア行きたかったんですが、蜜を考えて今回は避けました。また別の機会に訪れる予定です)。

設楽:
さて、今回もよろしくおねがいします。上野は買い物や飲みに頻繁に来るエリアなので、土地勘もありいい写真が撮れそうな予感がしたのですが、その予感を裏切らない、結構撮れ高の高いエリアでした。自分でいうのもなんですが(笑)。

和田:
それは楽しみですね。

設楽:
ではさっそくいきましょう。まず今回は上野駅の公園口に集まりましたが、当日は夏日で15時頃だったのですが、夏の日差しが良い感じに差し込んで、写真を撮るには絶好の日でした。光と影が写真に映えるいい時間帯でしたね。

和田:
冬〜春にかけては1時ぐらいに待ち合わせていましたが、夏なのでもう少し時間帯を遅らせることで、光と影のある作品を作れる
かなと思って、待ち合わせ時間をちょっと最近遅くしているんですよね。

設楽:
せっかくそんな時間帯を選んで撮影に臨んだのですが、果たして僕はいい写真が撮れているのでしょうか。不安しかありません(笑)。ということで今回の写真いきましょう。
まずは上野駅の公園口あたりで撮った写真ですが、和田さんの写真から見てみましょう。

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このエリアですごく好きなのが、この写真です。これは、前回の中野編で教えてもらいましたが、これだけ画面に白が多い構図をオートで撮ると、ホワイトバランスの関係で全体的に暗くなりますよね。

でもこの写真は、白の白さも良い感じだし、手前の影もしっかり出ているし、こういうの素人が撮ろうと思っても実はなかなか難しいんですよね。

和田:
設楽さんもだんだん見るポイントが鋭くなってきましたね(笑)。ホワイトバランスじゃなくて、露出ですね。露出に気をつけて撮影しています。

白壁に執着して撮影しているのですが、これはなんでかというと、今上野公園って西洋美術館とか上野動物園が改修中なんですよね。

上野のランドマークのような場所が白い壁に囲まれている光景がとてもおもしろくて、この一枚もちょっと劇画チックな感じしませんか?

設楽:
確かにちょっと非日常的な感じもしますね。現実とフィクションの世界の狭間のような印象も受けます。
私がこのエリアではこんなのを撮りました。

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和田:
これはとてもいい写真ですね。雲の入り方とか、夏っぽさが出ていますね。

設楽:
あとこれなんですが、これは狙って撮ってるんですが、もっと夏っぽさを出したいんですよね。

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この写真、3月とか5月に撮ったと言われれれば、まあそうだよね、って納得すると思うのですが、もっと和田さんの撮った写真みたいに、夏感を出したいんですよね。

和田:
季節感を意識する、これはとても大切なことですね。さっきの設楽さんの写真、あれは雲が夏っぽかったので夏らしさが出ていますが、これは夏の要素がないから季節感が無いんですよね。

【ポイント】
撮影の時に季節感を意識する

設楽:
たしかに季節感は無いですよね……。この写真は、以前の四谷編で教えてもらった、「パースを意識する」ということに気をつけて撮影したのですが、今ひとつなんですよね。その原因はなんでしょうか?

和田:
パースを意識して撮ったのは伝わってくるのですが、もうちょっと頑張るともっといい写真になりそうですね。この写真のポイントは、下のように赤の対角線ありますよね。この線の角度がちょっと緩いんですよね。

P7240035のコピー

この線の角度がもっと急になると、さらに奥行きの出る写真になると思います。
あとは、地面も灰色だし、右側のカーブのついた壁もおなじような色という関係もあるのか、ちょっとベターっとした印象の写真になっているのが残念なポイントですね。

設楽:
あーー色のパターンが全体的に似てますよね確かに。それも奥行きを出にくくしているのかーなるほど。

さて、次は上野公園のランドマークの一つである噴水エリアに行きましょうかね。まずは和田さんの撮った噴水を見てみましょう。

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僕が思うに、噴水を撮る上で大切なことって、噴水の水しぶき感をいかに撮るかっていうことなんですよね。それを意識しながら撮影に臨んだのですが、なんか今ひとつなんですよ(笑)。

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構図がいけないのか、今ひとつ迫力がないんですよね。

和田:
確かに迫力には欠けるかもしれませんが、設楽さんのこの写真はとてもいいですよ。というのは、噴水を撮影する上でちょっと難しい部分は、背景が空だと空に溶けてしまうんですよね。
でもこの写真後ろが緑だから、噴水が立ってますよね。それがとても素晴らしいポイントだと思います。

もちろん空抜けの噴水も、拡がりがあって気持ちよさを感じられるんですが、設楽さんのように、きちんと濃い色の背景を入れて噴水全体の雰囲気をしっかり捉えて撮影するのもいい撮り方だと思います。

設楽:
噴水とか滝のような水しぶきを撮る時に、和田さんはどういう点を意識しているのでしょうか?

和田:
滝とか噴水を撮る時に、水しぶきという点を見せたいのか、それとも水の流れという動きを見せたいのか?それによって印象がだいぶ変わりますよね?

今回の場合は、写真に結構飛沫感が出ているので、シャッタースピードを速めに切っています。これは1/1600 F4で切っています。

比べてもらうとわかるんですが、以下の写真のシャッタースピードは1/60です。

スクリーンショット 2021-09-23 8.40.30

設楽:
うわ全然違いますね。

和田:
おなじ噴水を撮るのでも、シャッタースピードを変化させることで、全然違った表情を見せますよね? シャッタースピードを意識して変えることで、写真の表現というのはこういう風に変わるんですよ。

【ポイント】
シャッタースピードを変えることで、色々な表現を試してみる

設楽:
なるほどー、シャッタースピードを意識して撮るかー。今度機会があったら色々なシャッタースピードで水関係の写真を撮ってみます!
つづく

※感想頂けると泣いて喜びます!

【プロフィール】

和田 剛 | フォトグラファー
旅行と温泉が好き。
写真をまなぶ人のオンラインスクール「good! studio」主宰

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設楽幸生/Sachio Shitara
編集者。1975年東京生まれ。週末カメラ片手に飲み歩くのが趣味な、写真の素人。Twitterやってます。

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カメラのたのしみ方

東京都八王子市高尾山の麓出身。東京在住の編集者&ライター。ホッピー/ホルモン/マティーニ/アナログレコード/読書/DJ