見出し画像

カメラ片手に、プロの写真家と散歩した話〜上野編〜 第2話

この記事は何?

・写真を撮ることが好きな素人が、プロの写真家・和田剛さんと街を歩き、撮った写真を見ながらプロからアドバイスをもらい、カメラの腕を上げてしまおうという連載。

対象読者は?

・写真撮影が上手くなりたい!と思っているカメラ初心者。・プロは何を考えて写真を撮っているのか興味がある人

撮影の概要

・【場所】上野公園、不忍池
・【日時】8月のとある晴れた日
・【天気】夏の青空

撮影場所の詳細

今回の撮影地は、以下の青色のエリアを中心にお届けします。

・国立西洋美術館周辺(赤色のエリア)
・東京都美術館、上野動物園周辺(青色のエリア)
・不忍池周辺(緑色のエリア)

画像1

前回に引き続き、今回も上野の写真散歩をお届けしたいと思いますが、今回は上野公園の奥のエリアを散策します。

さて今回のエリアなんですが、和田さんの写真を見てすごくいいなと思った一枚があります。
上野公園の今回の撮影は、工事が多くて風景的にどうかな?と思ったんですが、それが逆にいい一瞬を捉える機会が多かったのかなとも思ったり。

画像4

季節感をどう出すか?

設楽:これ夏っぽいとてもいい写真だと思うんですよ。後ろの工事の壁の白が飛んでしまっているんですが、これもあえて狙って撮影したんですか?

和田:
これは完全に後ろの白は飛んでますね。白飛びになってしまうと、あとからどうにもこうにも加工ができないんですが、これは構図がとても良かったので、順光で壁に光があたって飛んじゃうだろうなというのをわかっていてあえて撮りました。構図優先ですね。

設楽:
この女性の日傘が後ろの白に溶けちゃってる感じが、日がとても強い夏の日だっていうのがわかりますよね。

和田:
傘がこういう風に映るのを狙って撮ったわけではないんだけど、人物がこういう風に入り込むのは狙って撮りました。前回も少しお話しましたが、人を待って撮影するというのも一つのテクニックです。

フレームの中という「舞台」に対して、どこにどういう風に人が配置されるとよく見えそうか?ということを考えながら撮影するのは大切なポイントです。

設楽:
上野公園での撮影なので、背景が木とか花とか、自然なものが多いのかなーって思ってたんですが、まさかの工事中でまさかの壁だらけだったんですが、逆にこのシチュエーションがいい作品を撮る手助けになったとは驚きでした(笑)。

和田:
時間も夏の太陽が照りつける丁度いい時間だったので、夏っぽい写真が撮れましたよね。
季節感を写真に出したいのであれば、その季節のキーアイテムのようなものを上手に写真に入れるとそれっぽくなりますよ。今回の場合だと日傘ですね。

【ポイント】
季節感のあるアイテムを写真に入れて、季節らしさを出す。

人はそれぞれ「夏のイメージ」というものを持っていますよね。何かが入り込むことによって、人に「夏のイメージ」を呼び起こす。そういうものを意識して取り込むことによって、見た人の記憶とか意識を呼び起こすことができる、って言ったらいいんでしょうか。

今でいうと「エモい」写真になるって言ったらいいのかな(笑)。上野公園に来て他に色々いいスポットあるはずなのに、なんでこんな工事現場の白壁で撮影するの?っていう考えがあるなら、そういう偏見は捨てた方がいいですね。

季節感のあるものを上手に取り込むことによって、その季節のその場面でしか撮れない写真が撮れる、これはとても大切なことなので覚えておいてください。

設楽:
アイテムを使って季節感を出すという手法はこれから意識したいと思います!

どんな要素を構図に入れるか?

和田:
上野公園というと、たとえばこのお店とか有名なので、こういうのを撮るっていうのもいいんですけどね。

画像5

設楽:
あーこの昔ながらの茶屋みたいなお店ですよね。僕もこれ撮ったんですよ。

画像6

でもなんか上の和田さんが撮った写真の方が良く見えるんですよね。なんでだろう?

和田:
ちょっとこれはもったいないですよねー。なんでだと思いますか?

設楽:
全然わからないです(笑)。

和田:
左奥の軽自動車ですね。入れない方がいいです。これを入れると一気に昭和感が吹き飛んじゃいますよね。ちょっともったいない。

設楽:
確かに!この店の「それっぽさ」を出すには、この車は入れない方が絶対いいですよね。いやー撮影の時にそこまで意識が向かないんだよな。ちょっとこれからそういうことを気をつけます。

【ポイント】
被写体の「らしさ」を損ねる要素は排除する

和田:
ここの場面だと、設楽さんの撮ったこの写真なんかとてもいいですね。

画像7

こういう趣のあるお店だと、ついつい外観を撮ろうとしますが、こうやってディテールに目を向けるのも面白いですよね。こっちの方がさっきの写真よりも昭和感が出てますよね。

設楽:
ありがとうございます。要素を足したり引いたりすることを次からは意識してみたいと思います!

さて、次回は上野編の最終回、ということで、不忍池周辺をお届けします!
つづく

※感想頂けると泣いて喜びます!

【プロフィール】

和田 剛 | フォトグラファー
旅行と温泉が好き。
写真をまなぶ人のオンラインスクール「good! studio」主宰

画像2

設楽幸生/Sachio Shitara
編集者。1975年東京生まれ。週末カメラ片手に飲み歩くのが趣味な、写真の素人。Twitterやってます。

画像3


この記事が参加している募集

カメラのたのしみ方

東京都八王子市高尾山の麓出身。東京在住の編集者&ライター。ホッピー/ホルモン/マティーニ/アナログレコード/読書/DJ