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エンジェルステインを知っていますか?下北沢で溺れるダークで甘いエスプレッソ

私がスターバックスに入社したのは2007年のこと。コーヒーの勉強はそれから始めたのですが、その奥深さにはみるみるうちに魅了され、まるで魔法の世界に引きずり込まれてしまったかのようでした。
生活拠点の大阪にも素晴らしいカフェはあるものの、どうしても行ってみていと憧れ続けたのがこちら。

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下北沢にある「ベアポンド・エスプレッソ」。コーヒーに携わっているのなら知らない人はいないであろう名店。ただの有名店ではなく、「カリスマ的な存在」であり「憧れ」、それは魅力以外のなにものでもない、圧倒的な、なんというか辿り着くべき場所とでも言うのでしょうか。バリスタはこれほどまでにパッションを持ってしかるべきだと背筋をしゃんとさせてくれる力のある姿なのです。

エンジェルステインというのは、エスプレッソの残す跡のこと。ドリップ同様、エスプレッソも抽出し始めてから10秒ほどが甘みと旨みを持っている最も美味しい部分なのですが、通常この部分をカップで受けたら抽出を止めるためにカップを引くので、縁にはエスプレッソの跡が垂れてしまうのです。それを「エンジェルステイン」と呼ぶだなんて、なんというか…コーヒー界の住人はお茶目だしおしゃれなのです。

下北沢にあるその小さなお店は、白くてどこか日本的で、赤いバイクが前に停まっていて、そして小さな熊がコーヒー片手に見降ろしています。初めて行った時には憧れのオーナーバリスタがいらっしゃって、もうなんと言うか、それだけで胸がいっぱいになってしまいました。約10年間、私の心を支えてくれたのは彼で、バリスタという仕事と向き合う時いつも、心のどこかで背中を見ていたのです。ときめかないわけがありません。ちょっと熱くなってしまいましたね。

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いただくべきメニューはこちら。「ダーティー」と呼ばれるこの美しいラテマキアートは、ミルク→エスプレッソ→ミルク→エスプレッソと重ねるようにして作られたもの。エスプレッソがミルクに溶けてしまわないうちに、満足のいく次のエスプレッソを落とすというなかなか忙しいドリンクなのですが、これがひと口いただいて衝撃を受けないわけのない一杯でした。
おそらく他の店舗とは比にもならない濃厚なエスプレッソの旨みと味わい、そして途轍もない甘み。ミルクの甘みとの追いかけっこ。鼻に留まる香りの波。

いつも用事があるのは東京駅付近なのでやや遠いのですが、行かない理由はありません。熱い熱いパッションと、燃え尽きそうになる心を燃やすための何かを取り戻してくれる、そんな生活から切り離されたような感情を感じてしまうものがあると信じて止まないのです。

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