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「浮世離れクリエイター」にならないため30歳までに確認したい5つのこと

おつかれさまです。エディマート代表の鬼頭です。
私は1996年4月に編集の世界に飛び込み、2024年の現時点で28年が経ちました。50歳となった今、経営の仕事をする一方、おかげさま現役の編集者として大きなプロジェクトにかかわることができています。

クリエイターとして生き続けるのはそこまで難しくはありません。ただ、浮世離れして生き続けるか、社会に寄り添いながら生き続けるかには大きな違いがあります。

この記事では、浮世離れした扱いづらいクリエイターにならないため、確認しておきたい5つのポイントをおさらいします。

1.クリエイターが浮世離れしやすい背景

カジュアルな情報から高度な情報へ

多くクリエイターの皆さんが、20代前半ぐらいから、経験値ゼロの状態でこの世界に入ったのではないでしょうか。最初の頃は、YMYL(※1)コンテンツではなく、娯楽性の高いカジュアルな情報(飲食店、観光施設)を担当したことでしょう。そして次第に要領を得て、扱える情報数が増えたり、コンテンツの精度が高まったりと、スキルアップしていったはずです。

(※1)Googleでは、エクスペリエンス(Experience)、高い専門性(Expertise)、権威性(Authoritativeness)、信頼性(Trustworthiness)、すなわち E-E-A-T の面でコンテンツの品質を評価。中でも、人の健康や安全、経済的安定、社会の福利厚生に大きく影響する可能性のあるトピックについては、E-E-A-T が優れたコンテンツを特に重視している。これかトピックスを「Your Money or Your Life」、略して「YMYL」と呼ぶ。

鬼頭のスタートラインも同じでした。28年前に担当したのはゴルフ場やキャンプ場、スキー場といったレジャー情報。その後は地元のグルメ、ファッション情報の編集を担当し、20代を終えました。

それからさらに20年が経ち、今はYMYLコンテンツや企業案件が中心になりました。カジュアルな情報を扱うとしても、現場担当から、監修・品質管理担当へとレイヤーが上がっています。もちろん、成り行きではなく、意識をしたからこそ仕事の高度化ができたのです。

仕事の高度化から逃げると成長が止まる

再び話を28年前に戻します。

当時私の周りには同じように、経験値ゼロからこの世界に入った同世代がゴロゴロいました。周辺のクリエイター(ライター、カメラマン、デザイナー)も20代がたくさん。彼らは今どうしているでしょうか。大きく3つに分かれます。

1.仕事を高度化させ、今も活躍してる
2.高度化する以前にこの世界から去ってしまった
3.高度化せずに引き続きカジュアルな情報を専業としている

私見になりますが、上記3を選択した人で多いのが「浮世離れ」した姿です。クリエイティブ力こそ高まっているものの、服装や態度、モラルにおいて20代から変わっていない(もしくは劣化している)人が少なくありません。

浮世離れすると仕事がシュリンクしていく

「浮世離れ」し、服装や態度、モラルにおいて20代から変わっていない(もしくは劣化している)人は、歳を重ねてからどんな仕事をしているのでしょうか。

私が知る限り、多くの「浮世離れ」したクリエイターは、質より「量」の仕事をしている状況です。深掘りしながらじっくりとコンテンツを作るのではなく、浅いコンテンツを数多くこなす仕事。そのため、歳を重ねると体がついていかなくなり、結果的に廃業する方も少なくありません。

一方で、発注者側としては、浮世離れしたクリエイターを使いづらい側面があります。高いクリエイティビティをもっていても、「現場に出せない」という判断がされれば、仕事は自ずとシュリンクしていきます。

実はクリエイターであれば誰もが「浮世離れ」する可能性を秘めています。これから5つのポイントで確認していきましょう。

2.浮世離れしないための5つの確認事項

めざすべきは、指名発注されるクリエイター

クリエイターの仕事は麻薬のようなやりがいに満ちています。できることなら、年齢を重ねてもクリエイターでいたいですよね?

冒頭に話をしたように、クリエイターとして生き続けるのはそこまで難しくはありません。ただ、浮世離れして生き続けるか、社会に寄り添いながら生き続けるかには大きな違いがあります。

私たちがめざしたいのは、年相応な活躍をし、指名発注されるクリエイターではないでしょうか。歳を重ねると若い頃より無理はきかなくなりますが、その一方で経験値は蓄積されるため、頭を使ったクリエイティブに切り替えていくべきです。

50歳になってあわてて仕事の高度化をはかっても手遅れです。30歳を迎えるあたりから準備をしていきましょう。以下の確認事項は鬼頭の経験にもとづくもの。全部つぶしていけば必ず、長く活躍できるクリエイターになれるはずです。

確認(1) 専門性を盾に汎用性から逃げていませんか?

得意分野をもつことは大切です。グルメやレジャーを専門にすることは否定しませんが、専門性を高めていくべきです。

注意したいのが、得意分野をもつことは、他のジャンルを切り捨てることとはイコールではありません。「自分は◯◯が得意だから」という言葉の裏に、「他の分野が苦手」「ジャンルを増やすのが面倒臭い」という考えが隠れていませんか?

後述しますが、社会や経済を自分ごと化し、時代の求めを的確に把握していないと、知らないうちにあなたの得意分野のニーズがなくなってしまい、仕事が減っていくこともあります。
専門性を高めながら汎用性とも向き合い、年相応のレベルのコンテンツが扱えることをめざしてみましょう。

確認(2) 社会や経済を自分ごと化できていますか?

会社の「あり方」と「やり方」を定める100の指針をまとめた『経営者のノート』(あさ出版)。その中に著者・坂本光司氏の言葉として、「過ぎ去った過去に思いをはせるより、これから始まる未来に時間をかけるべきである」「不確実な未来を憂慮するより、確実な未来に備えるべきである」と書かれています。

私たちは、確実にやってくる未来に備える必要があります。そして、確実にやってくる未来は、私たちのビジネスにも大きく影響します。鬼頭は取材でさまざまな企業を訪問していますが、成長している企業は必ず、確実にやってくる未来への備えをしています。

クリエイターとして浮世離れすることなく、仕事を高度化させるためには、社会や経済の動向を自分ごと化しなければなりません。

確認(3) 時代が求めるリテラシーに対峙していますか?

「リテラシー」とは、もともと「読み書きの能力」を指す言葉でしたが、現代ではさまざまな情報の中から取捨選択し、必要な情報を活用する力を指します。

時代の変化にともない、求められるリテラシーは変わっていきます。また、変化が激しい社会の中で求められるリテラシーに背を向けると、あっという間に浮世離れしていきます。そしてリテラシーの更新頻度は高いため、一度背を向けるとなかなか元に戻れません。常にアップデートが必要とされます。

「クリエイターなので、リテラシーとか疎くて……でもいいモノ作りますよ!」ーー確かにそれが許された時代はありました。しかし、コンプライアンス重視の世の中では、クライアントは防衛策の一環として、職種や企業規模を問わず取引先に高いリテラシーを求めるのが常です。

確認(4) 本来の意味の「忖度」ができていますか?

大阪府豊中市の国有地払い下げをめぐる森友学園問題で、「忖度」という言葉が注目を集めましたよね。
安倍元総理夫妻の意志を推し量って特別に低い金額で国有地を譲り渡したという点で、「忖度」の意味が良くない方向に捉えられがちですが、本当の意味は「自分なりに考えて、他人の気持ちをおしはかること」です。

浮世離れした人は「忖度」をしません。言い方を変えると、「忖度」できない人が浮世離れしていきます。
新しい仕事にチャレンジしたり、これまで以上に仕事を高度化するためには、今まで付き合ったことのない人々とコミュニケーションを図り、相手の求めるものの真意を知る必要があります。つまり「忖度」です。

自我を押さえて相手に波長をあわせる、自分の考えを言う前に相手の声に耳を傾ける、とも言い換えられます。これができないと、「老害」「痛い」と陰口を叩かれるクリエイターになりかねません。

確認(5) セルフプロデュースができていますか?

高度な仕事は、当然のことながら高度な現場にあります。高度な現場では、高度なビジネスマナー、高度なコミュニケーションが求められます。仕事を高度化するために、対応力とともに、その仕事にふさわしい人となることが欠かせません。

「ソフト」と「ハード」の高度化を両側から進める必要がありますが、「ソフト」はとにかくインプットしていくことで向上していくことでしょう。「ハード」を高めるために必要なのがセルフプロデュースであり、現場にあわせたTPOを身につけていく必要があります。

ちなみに某航空会社の企画で、複数のメディアによる取材に鬼頭も参加したことがありますが、クライアントの担当がスーツ姿だったところ、某出版社は短パン、サングラス姿のディレクターを現場に派遣(鬼頭はジャケット&パンツ姿でした)。短パン&サングラスライターを見たときのクライアントの苦笑いの顔が忘れられません……。

3.まとめ

クリエイターは特殊な存在ではありません。世の中の課題を独自のソリューション(私たちは「クリエイティブ」)で解決する点では、他のビジネスマンと同じです。

クリエイティブの端っこをかじっただけで、自分を特殊な存在だと勘違いし、他者から扱いづらい存在になってしまうと、社会課題の解決が遅れるだけではなく、自らの先行きも危うくなります。

ポイントとなるのは、早い段階から仕事の高度化に取り組むこと。この記事に大切だと思う5つの確認事項をまとめましたので、自問自答しながら潰してみてくださいね。

早くから仕事の高度化に取り組み
浮世離れすることなく
長く活躍できるクリエイターとなりましょう!


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