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中小企業の1on1活用事例。コロナ禍の生産性向上や企業理念の浸透に効果

こんにちは。エディマート代表の鬼頭です。
現在当社では、オフィス勤務とテレワークが自由に選択できるようになっています。

テレワーク中の業務進行は個人の裁量に委ねられるため、生産性をいかに上げるかが課題になりますし、フェイストゥフェイスのコミュニケーションが限られることによる「孤独感」をいかに軽減するかも考えなければなりません。

そこで当社では、チャットツールの活用や日々の朝礼とともに、月1回の1on1ミーティングを重ね、どこで仕事をしていてもコミュニケーションが図れ、孤独を感じないような工夫をしています。

さらに1on1では、当初の目的を果たせただけでなく、「企業理念の浸透」という効果も出てきました。
多くの企業ですでに取り組まれていると思いますが、今回はエディマートの1on1について、ご紹介させていただきます。

1.テレワークで顕在化した課題

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新型コロナウイルス感染防止の観点から、当社では2020年4月よりテレワークを併用。第5波が落ち着いた2021年10月時点でも自由に選択できるようにしています。

テレワーク導入にあたり不安だったのは、「生産性を上げることができるか」。他人の目が届かない場所で自分を律しながら仕事をするのは、この記事を書いている私であっても難しいです。

もう一つの不安要素が、「孤独を感じてしまわないか」。社内で近くにいれば、ちょっとした困りごとやアイデアなどをその場で聞くことができますが、テレワークではそうはいきません。

当社ではマイクロソフトのTeamsを導入し、全社共有で個人のタスクが見られるようにしています。予定時間と実働時間を並べることで、どんなタスクにエラーが起こっているか、上長でない人からもアドバイスが可能です。
また、個人で解決できない場合は、些細なことでもチャット機能でメンションを飛ばすことにより解決を図っています。こちらも、プライベートな相談をのぞき、全社共有です。

ツールの活用で、生産性や孤独感については「ある程度」は解決できました。しかし一方で、「テレワークだから頑張りすぎる」「チャットだけでは相談内容の重さがはかりづらい」という想定外の問題が発生。
なお、テキストコミュニケーションについては、社内ルールを定めて円滑化を図っていますので、こちらもご参考ください。

ツールの活用によって、テレワークで生じるある程度の課題は解決できましたが、同時にツールによるドライなコミュニケーションに限界も感じることになります。

<ツールによりある程度は解決できた点>
生産性……タスクの予実を全社共有し効率を上げる
●孤独感…些細なことでも全社共有でチャットし解決を図る

<ツールによる解決に限界を感じた点>
生産性……数値に現れない「頑張り」が増加し、労働が長時間化
●孤独感…相談内容の重要性やスピード感がわかりづらい

2.オンライン朝礼で解決できないか?

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ツールによる解決に限界を感じた当社が、早々に導入したのがオンライン朝礼です。
エディマートでは創業から10年以上、毎朝10時からミーティングテーブルで朝礼を開始し、会社からの連絡事項や各スタッフのタスクの共有をおこなっていました。
その後、スタッフによる能動的かつ自立したタスク管理をはかるため、朝礼を隔日、週1に減らし、最終的には無くすことになったという経緯があります。
つまり、テレワークを導入した時点では、朝礼文化が途絶えていたのです。

日々のタスク管理をスタッフに委ねるなかで、管理者が一人ひとりに対して、予定時間や実働時間が適切かどうかを指摘するのは大きな負荷になります。指摘される側も都度テキストコミュニケーションを図る必要があり、残業の温床になりかねません。

朝礼をオンライン上で復活させることにより、部内のタスクチェックがまとめて行えるようになりました。また、誰かのタスクがあふれそうな場合、他のスタッフにサポートをお願いすることもできています。
毎日必ず顔を見ながらコミュニケーションを図れる、チームのみんなと顔を合わせることができることで、孤独感もより軽減されるようになったと感じています。

しかしオンライン朝礼では、他の人に聞かれたくない相談を我慢してしまうこともあるようです。たとえばキャリアがそこそこあるスタッフが、後輩の前でタスクがあふれていることを相談しづらいというケースなどが該当します。

加えて、膝を突き合わせた相談や中長期の課題をふまえたしっかりとしたアドバイスには、オンライン朝礼は適していません。都度、個人間でミーティングを行っていますが、不定期な時間拘束もまた労働の長時間化につながるため、定期的に1on1ミーティングを行うことにしました。

<オンライン朝礼である程度は解決できた点>
生産性……あふれそうなタスクを切り分け、労働時間の短縮を図る
      まとめて管理できるため管理者側の負荷を軽減
●孤独感…毎朝顔を合わせることでチームの連帯感を感じられる

オンライン朝礼でも解決できない点
他の人に聞かれたくない相談を我慢してしまう
●踏み込んだ相談やアドバイスがしづらい

3.エディマートの1on1ミーティング

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ツールによるテキストコミュニケーションやオンライン朝礼を並走させながら、今年の4月から始めたのが1on1ミーティングです。

当社の1on1ミーティングの流れは下記の通りです。

1.毎月末に部長とスタッフでミーティング日を決める
2.課題や悩みについて話し合い、次月の目標を設定し全社に共有
3.次月の全社会議で、立てた目標に対する取り組みや達成度を発表
4.Googleフォームでの投票を通して、月間MVPを決定
5.月間MVPの状況をふまえ、マネージャー投票により半期MVPを決定
6.半期MVP受賞者には褒賞を進呈

ミーティングは20分〜1時間程度。Teamsのタスク管理状況や毎朝のオンライン朝礼で重なった課題にフォーカスして、どうすれば改善できるかを一緒に考える場となります。

1対1であるとスタッフも話しやすいようで、顕在化している課題だけでなく、潜在課題も見えてきます。また、お互い周りに忖度することなく本音で話せるメリットも。業務以外の雑談を交えることで、より孤独感を軽減し、チームワークを高めることにもつながっています。

4.企業理念の浸透という波及効果も

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以前の記事で、当社の企業理念「ベストクリエイティブで社会と自身をバージョンアップ!」誕生の経緯や、そこに込められた想いについてまとめさせていただきました。

企業理念は、会社の価値観や存在意義を定義するものであり、従業員一人ひとりに落とし込まなければ、同じ方向を向くことができません。

一方でプロジェクトを走らせながら、関係するさまざまな人の意見にふれていると、「とにかく納期を優先する」、「修正はAさんの考えに重きを置く」など、その案件特有の「正義」が生まれます。

また、多様な働き方や考え方を認めていくと、声が大きかったり、支持が多かったりするものに、会社全体が流れていくことも少なくありません。

1on1ミーティングは、そんな形骸化しがちな企業理念の浸透にも効果がありました。

初期の1on1では、スタッフが抱える課題や悩みの解決に重きを置いていましたが、解決の方向性を導くためには、企業理念を落とし込むことが欠かせないことに気づきます。

現在では1on1を、「今抱える課題を解決することで、社会と自身のバージョンアップにつなげる」ための場と定義。各自の目標設定のレベルも高まってきたと感じます。もちろん当初の目的である、スタッフ一人ひとりに寄り添うことが大前提です。

5.まとめ

DX化を進めるにあたり、ツールによるテキストコミュニケーションは欠かせません。しかしどれだけツールを駆使しても、解決できないことは多々あります。

1on1ミーティングを導入したからといって、これで終わりとは思っていません。たとえば今度は、オンライン朝礼に「夕礼」を加え、進捗共有をはかりながら、さらなる労働時間の縮減につなげようとしています。

意思決定がスムーズな中小企業だからこそ、トライ&エラーを重ねながら、よりよい職場環境をこれからも作っていければと思います。

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