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読売新聞:20240612

【WATCHERS 
   漁業継続に漁獲規制不可欠(東京海洋大学教授 勝川 俊雄氏)】

<ゴールは親魚の維持>

▶日本の漁業の現状▷漁獲力、何十年にもわたって直線的に減少▷2050年位に漁獲量はゼロになるようなペース
▶漁獲量増加の例外、マイワシなど▷政府統計、魚種別漁獲量▷大半の魚種が減少▷漁業者は後継者なく、高齢化が進行
▶世界の漁獲量、1990年代までずっと増加▷それ以降、横ばい
▶養殖▷気候変動の影響受けやすい▷韓国の養殖は増加▷韓国の海岸線は短く、漁場も狭い▷日本の養殖生産の2倍以上
▶日本の漁獲量の減少▷気候変動のみではない
▶漁業産業の継続▷漁獲規制は必要不可欠▷漁獲規制のゴール▷卵を産める親魚の量を維持すること▷漁獲規制は親魚の減少時、漁獲にブレーキかける仕組みか?
▶クロマグロ▷欧米の手法で漁獲枠設定▷資源量は回復
▶サンマ▷人間の都合優先▷漁獲量の2~9倍の漁獲枠設定▷漁獲枠は無機能
▶マサバ・マアジ・スケトウダラの漁獲枠▷漁獲量の数倍▷漁獲枠は無機能

<サンマ 日本の失策>

▶EEZに含まれない公海の資源▷国際機関による管理
▶日本▷漁業者の短期的利益を保護▷主導的に資源管理の国際的枠組み作らず▷台湾・中国が公海のサンマ漁に参入
▶サンマは今、日本のシェア(占有率)は相対的に低下▷日本主導の資源管理の枠組みの作成の時期過ぎる▷日本の失策
▶養殖の生産量▷世界的には年4%程度のペースで増加▷天然ものよりも増加
▶養殖▷成長産業
▶日本の養殖▷80~90年代をピークに生産量減少▷10年後には現在の生産体制を一部維持できない

<生産支援 適正価格で購入>

▶今、漁獲量減少、水産物価格上昇▷①今の漁獲量が自然生産量をはるかに超えている②水産物の価格が安く、漁業者や流通業者の生活の為に、水産資源減少にも関わらず、漁獲量を増加させる必要性
▶漁業者の生活維持▷適正価格で水産物を購入する
▶サンマの漁獲量10年前の10分の1へ減少▷コストは上昇、値段は10倍にならず
▶消費者の受益者負担▷水産物を適正価格で購入▷生産現場を支援
▶生産現場の荒廃のツケ▷未来の世代が支払う
▶水産物の生産過程にもっと関心を持つべき

<HISTORY 太平洋クロマグロ初の管理措置採択>

▶日米豪中韓など26か国・地域参加「中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)」▷2009年、太平洋クロマグロ「本マグロ」では初の保存管理措置案を採択▶漁獲努力量を02~04年の水準から増やさない
▶14年、年次会合▷暫定回復目標▷24年までに親魚の資源量を約4.3万㌧まで回復することを採択▷30㎏未満の小型魚の漁獲量を02~04年の平均水準から半減採択
▶17年、年次会合▷暫定回復目標達成後の次期回復目標▷10年以内に約13万㌧まで回復合意
▶本マグロの親魚の推計資源量のピーク▷1961年16万㌧▷日本の乱獲▷2010年約1万㌧に激減▷一時期、絶滅危惧種に分類
▶国際的な漁獲規制奏功▷22年の資源量約14.4万㌧と推計▷回復傾向に

<時事用語>

漁獲努力量:水産物を漁獲する船舶の隻数や操業日数
EEZ:排他的経済水域。国連海洋法条約で基づいて設定された、沿岸から200海里(約370㎞)以内の水域で、その沿岸国は水産資源を排他的に利用可能。

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