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「すずめの戸締まり」を意識という切り口で考察

少し前、「すずめの戸締まり」を観たので
意識】という切り口で
この物語を考察していこうと思います。

まとまりなく、感じるままに書くので
そのうち追記したりするかも。


あらすじ

『すずめの戸締まり』は2022年に公開された日本のアニメーション映画。脚本・監督は新海誠。日本各地の廃墟に点在する災いの出口である“扉”を閉じていく少女の解放と成長を描くロードムービー。

ウィキペディア




1. ミミズは、私たちの集合意識



歪みが溜まった時に常世から現世に現れて
地震を起こすという、「ミミズ」。


映画「すずめの戸締まり」に登場するミミズは、
物語の中で象徴的な意味を持っているようで。


もともと、ミミズは地中に潜んでいる生き物であり
地面を掘り進んでいくことで土地を繋げます。


目には見えないところで、人と人を繋ぐもの。
それは集合意識(集合無意識)

ミミズは夜行性であり
暗闇で活動することが多い生き物なので


過去のトラウマ、恐怖心、
怒り、妬み、嫉み、悲しみ、憎しみ、絶望、など
私たちが心の奥底に閉じ込めているような、


意識のなかの暗闇を表現している
と、私は捉えました。


2. 閉じ師の方法では、自己犠牲を伴う



草太の祖父である羊郎は、閉じ師の師範。


羊郎が、孫の草太が要石になったことを聞いて
草太の命と引き換えに
多くの人の命を救うことができることを語るシーンや


「只人に関われることではないのだよ」
「大事な仕事は、人からは見えない方がいいんだ」


というセリフからは
羊郎の「価値観」や「信念体系」が伝わってきます。


彼が、何を良しとしていて
人生の中で、何を重要視しているのか。


ミミズが見える者としての、使命感や、責任感。
人知れず世の中のために働いてきた、閉じ師たち。


東京の草太の部屋にあった
以前の閉じ師たちが書いたミミズについての資料には
長年にわたってミミズと格闘してきた様子が綴られているし


羊郎の右腕がないのは閉じ師の仕事によるもので
草太のお父さんが登場しないことも
閉じ師の仕事に関係していることが推測できます。



3. "要石"は、自己犠牲的(自己妨害的)な信念



閉じ師たちが
ミミズを押さえるために使っているのは、
要石。


要石は、つまり人柱なわけですが
一度は草太に要石の役目を押し付けようとしたものの、
最終的には、要石に戻ることを選んだダイジン。


ミミズを集合意識とするならば
最後に草太を救うために取ったダイジンの行動から考えられるのは


要石は「自己犠牲的(自己妨害的)な信念」である、ということ。


たとえば
「自分が我慢すれば上手くいく」のような。


要石でミミズを押さえつけることは
一時凌ぎにしかなりません。
物語の中でも、時が経てば、また暴れ始めていました。



4. "要石"で、本音を抑え込む私たち


要石のような方法を使って
心の中の荒ぶるミミズを封じ込めるという方法は
実は、私たちが普段から行なっていることです。


たとえば、家や学校、職場で
誰かに何かを言われたりしたとき、
ムカっとしたり、イライラしたとき。


私たちは、感情を押さえ込んだり麻痺させて
顔には出ないようにしたりするのが上手です。


そして、もう終わったことにする、と鍵を締めて
表向きには穏やかにおさまったように見えても
地面の下には、相変わらずミミズがいるのです。


自分でも、感じにくいところに追いやっているだけで。


5. 「私たちは、大丈夫」というためには


新海誠氏の震災3部作の中で
「すずめの戸締まり」だけが
自分で自分を救う物語でした。


ひとり一人が自分のことを救う力がある、というよりも
むしろ、私たちは、結局、自分でしか救えないのです。


ミミズが見える限られた一部の人たちが
閉じ師になり、
人生を捧げて人々の穏やかな日常を守ることは
尊い仕事かも知れませんが。


多くの日本人の中にも
脈々と受け継がれてきたこの自己犠牲を伴う信念体系は
美しさすら感じさせますが。


私が、私たちの代で
終わらせたいと思っているものの1つです。


終わらせたいのは、自己犠牲を伴う、という部分。


誰か一部の人(それが見えたり感じられる人)に、
自分たちの創り出したもの(集合意識)の
戸締まり(=責任取ること)を押し付けるのは
もう終わりにする時が来ていると思うのです。





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