なにも考えませんよ せんそう しないです きょうそう しないです しゅうかつ しないです えいがさい しないです ひとと くらべたり いまとかむかし くらべたり すきなもの きらいにしないです 割れたヘルメットから 太陽がこぼれ落ちて ひび割れたコンクリートが うねって 地平線を消すほど ふくらんで 赤いマグマ もれだして 髪の毛が焼け落ちた 誰かが 魂にお辞儀している 頭を丸く刈るように あれは
ナンの美味しさを教えてくれた友に捧ぐ 以前、ナンネキに、反出生主義についてどう思うか聞かれたことがあった。 わたしは、デヴィッド・フィンチャーの『SE7EN』が答えだと言った。 以下は、次の日にナンネキがセブンを見終わったところからの会話である。 ナンネキ「セブン見たよ」 「まだ頭の中で熟成中だが」 「というか飲み込めてないけど」 「咀嚼中だけど」 わたし「おお!!」 「えーと、反出生主義について、どう思うかだよね」 ナンネキ「そうそう」 わたし「まず、
工場のただならぬ匂い が鼻の上を通り過ぎる 体が無視できずに 目を覚ます わたしは いま山の上であくびをした猫 白くてふさふさの毛が自慢の猫 山の麓を見ると、 坊さんが うとうと 夢と仏道を行き来している まどろむ坊さん いつも和尚に怒られてる、まど坊 チャリやら 朝の騒音の方へ目をやると 秋の乾いた風は落ち葉を押して 寺の門をくぐらせている 昨日は知り合いのタヌキが夜の散歩で通りかかり、 いつもの話をしてくれた 彼は人生の先輩で、いろいろ胃がキリキリす
リスのリュミエール 爪を立て、木肌を走る 朝日が昇るのを背中であたたく感じる 上へ上へ 上へ上へ 森の向こうに、眩しいのが広がる じっと眺める 鳥の鳴き声が(まだ始まったばかりの一日の)静けさに溶けてゆく リスのリュミエール 土を蹴り枝を蹴る キラキラと光差す小川の方へ 水は荒々しく輝きながら右から左へと急いでる 光ってる何かが水に揉まれてる こっちに迫ってくるそれは何だろう 彼は両手で掴み取る 地面に引きずりこむとき、それがガラスビンであること
見知らぬ土地で、横たわる 見渡す限り、真っ白なシーツ シーツに反響する私の鼓動が、雪の中を歩く長靴の音みたい ざく ざく ざく ざく ざく ざく ざく ざく ざく 目を閉じる …落としものが、雪の中に溶けていく かたっぽの靴下 大事にしてたヒヨコのぬいぐるみ みんなが落としていったもの、全部沈んでいく みんなが寝ている間に
空が焼ける。 銃声がする街だからじゃなくて。 この街は、昨日と明日みたいに、空が焼けてる。 青がオレンジに溶けて、一気にこっちに向かってくるのを見て、鳥肌が立つ。 風が窓を割る。 あんたは、軽薄さについて考えてる。 「軽薄であることに真実を見ることもある」 「軽薄であることに救われることもある」って。 軽薄さを受け入れて、痛みを感じないようにしてさ、 それ自分に嘘ついてんじゃないのかなって私は思った。 本当は嫌なんじゃないの? 本当は逃げ出したいけど、逃げ