猫の熱中症

熱中症とは

人と同じで、猫も熱中症にかかることがあります。

過度な運動や高温多湿の環境の中で、体内の水分や塩分のバランスが崩れたり、体内の調整機能が壊れたりして発症することで起こる、めまい・頭痛・けいれん・意識障害などの症状をまとめて【熱中症】といいます。

悪化すると死亡や後遺症につながることもある恐ろしい病気です。

熱中症になる原因

気温・湿度が高い、日差しが強い、風通しが悪いなど、人が熱中症にかかりやすい環境下が原因です。

また、猫は肉球・鼻以外からは汗をかくことができないので、摂取した水分を尿として排泄することで、体温を下げています。

そのため、十分な水分補給、清潔なトイレでの排泄を行えない場合、上手に体温を下げることができなくなってしまいます。

熱中症になりやすい猫種

鼻の短い猫種（短頭種）は、呼吸の通り道が細く、スムーズな呼吸がしずらいので、他の猫種に比べて熱中症にかかるリスクが高いです。

・エキゾチックショートヘア、エキゾチックロングヘア
・ヒマラヤン
・ブリティッシュショートヘア・ペルシャ、チンチラ　　など

被毛が長い猫や毛量が多い猫は体の熱がこもりやすくいので、短毛の猫種に比べて、熱中症にかかるリスクが高いです。

・サイベリアン
・スコティッシュホールド
・ソマリ
・ノルウェージャンホレストキャット
・ペルシャ、チンチラ
・メインクーン
・ラグドール　など

猫種にかかわらず、心臓疾患・呼吸器疾患・腎臓病などの持病がある猫や、肥満の猫、免疫や体力が落ちたシニア猫・子猫も熱中症のリスクが高いため注意が必要です。

熱中症の予防方法

・ 愛猫の平熱を把握しておく。
　猫の平熱は38℃～39℃。愛猫が落ち着いている状態で耳やお腹を触って、愛猫の平熱を感覚的に覚えておく必要がある。

・ 適切な体重を維持し、肥満にならないようにする。

・ いつでも水分補給ができるよう、数か所に飲み水を用意する。

・ 水をあまり飲まない場合は、ウェットフードや水でふやかしたドライフードを与える。

・ 駐車中の車内の温度は、２０～２６℃くらいの気温の日でも、短時間で５０℃にまで達することもあるので、絶対に車内に愛猫を置き去りにしない。

・ 車で出かけるときは、暑い時間帯を避け、直射日光が当たらないようにする。

・ 旅行に出かけるときは、旅行先の気温や湿度の差を考えて対策をする。

・エアコンや換気などで、温度は２５℃～２８℃、湿度は４５％～６５％を目安に調節する。

・ 猫用の暑さ対策グッズを使う。


など、上記にあげた以外にも、飼い主さんが愛猫のためにできる予防・対策はたくさんあるはずです。

普段から、愛猫の体調管理に気を配ってあげることが大切です。

熱中症の症状

猫の熱中症は、非常に症状の見分けがつきにくいといわれています。

猫は、犬のように口を開けて呼吸をしません。

犬のように、ハァハァと口で呼吸をする様子が見られたら、熱中症を疑いましょう。

１つでも下記の症状が疑われる場合は、すぐに動物病院に連絡して、受診しましょう。

軽度

・よだれを垂らす
・落ち着きがなくなる
・目や口の粘膜が赤くなる
・食欲がない
・ハァハァと口呼吸をする　　など

中度

・吐き気、嘔吐
・下痢
・身体の震え
・ふらつき
・ぐったりしている
・体が熱い　　など

重度

・４０℃以上の発熱
・意識障害
・けいれん　　など

重症の場合は、急性腎不全、播種性血管内凝固、脳障害などで命を落とす危険性が非常に高く、それらによる後遺症（慢性腎不全、肝障害、脳障害からの神経症状）の危険性があります。 

熱中症の応急処置

熱中症の疑いがある場合は、速やかに涼しい場所に愛猫を移動させましょう。

※症状が出てから９０分以内に早期治療を行わなければ、死に至る危険性が高いといわれています。

涼しい場所で、少しずつ水を飲ませてあげましょう。

※意識がない場合や、自分で水を飲めない場合は、無理に水を飲ませると誤嚥（ごえん）の危険があるので、水を含ませた布やコットンで舌を濡らす程度にしましょう。

涼しい場所に移動しても落ち着かない場合は、全身に常温の水道水をかけて冷却したり、水道水で濡らしたタオルなどで包み、涼しい場所で風を送るなどして、直ちに動物病院に連れていきましょう。

※早く体温を下げようとして冷水や氷などで急激に冷却すると、熱が発散しにくくなってしまい、各臓器への障害が促進されて逆効果となってしまいます。