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何もないんですってやつは、元気出そう

上の雪
さむかろな。
つめたい月がさしていて。

下の雪
重かろな。
何百人ものせていて。

中の雪
さみしかろな。
空も地面もみえないで。

金子みすず『積もった雪』

大正時代の童謡詩人 
金子みすずさんの詩です。

はじめて読んだ時は
驚きました。

「雪」に
「上」「中」「下」という
まなざしを向けたのはもちろん、

「中の雪」は
空も地面も見えないから、
「さみしかろな」と
思いやる繊細な優しさ。

そして、実際、
「中の雪」の立場になると、

自分の視界が
真っ暗で、寒くなって、
なんとも形容できない
重苦しい気持ちがします。



・・・・・・

震災や空港事故を
TVで見ているとき、
この『積もった雪』の
詩を連想してしまいました。

石川県能登半島は
義父の実家があり
(山間地域なので被害はなかったです)

たびたび放送される珠洲市や
火災のあった朝市通りは
観光したこともあるので、

見慣れた光景が一変した様子に、

TVを見ていても
なんだか落ち着かない気持ちが
続いていました。

折も折、

同僚の元教え子や
生徒の保護者の方にも
思いがけない
事故や不幸があって、

正月は、
なんだか心も身体も重たくなりました。


そうはいいつつ、
自分たちは家族団らんで
温かな食事を楽しんでいる。
談笑したりもしている。

こういうときって、
人の心の不思議なところですよね。

理不尽な不幸に見舞われた人に
思いをはせてしまい、

自分に何ができるわけでもないのに
無意識内で、
「今のままでいいのだろうか?」という
煩悶があるのです。

それは淡い煩悶です。
思い出しては、
すぐに忘れ、

でも、
気が付くと、
重苦しい想像力が
勝手に働く感じです。


そういうときに
noteの記事を読んでいると、

不思議なもので、
やはり
(種類はさまざまですが)
それぞれに悩みや葛藤を抱えておられる様子に
触れます。

気のせいかもしれませんが、
そういうことってありませんか?

小説を扱っているとき、
生徒にもよく言うんですよね。
悲しい気持ちの時は、
スカッとした青空も悲しく見える、と。



・・・・


とここまで書いて、
おいおい、と自分を振り返ります。

自分が元気がなくなって、
だれが喜ぶんだ!!

苦しんでいる人につられて
自分まで苦しくなったって、
誰も喜ぶことはないぞ!

そうツッコミます。

かつてメンターに言われた言葉でもあります。
本当にそうなんですよね。。

今までも何度も
自問自答したことですが、
結局、
以下が僕なりの(今の)結論です。

自分自身を、良好な状態に保つこと
自分で自分を元気に満たすこと


何か必要な時、
自分自身が良い状態でなければ、
誰かのサポートなどはできません。

一時も早く、
何かできることはないのか、と
焦る気持ちがあっても

今、できることと
今、できないことがある。

であれば、
「その時」に備えて、
自分自身の状態を整える。

自分が
元気で笑顔でいること、
隣の人と笑い合うことに
一切の罪悪感なんて必要ない!!

そう思い至って、
この記事を書きながら、
自分で自分にエネルギーを与えています。

こういうとき、
心のよりどころになるのは、
「言葉」です。

ざわざわした気持ちを
身体の内側までしみこむように

落ち着かせてくれた
言葉があったので、

紹介させてください。

この言葉のおかげで
ようやく記事を書けるようになりました。

東日本大震災の2日後に、
歌手の松山千春さんが
ラジオで話した言葉です。

こういう時だからこそですね、
知恵のある人間は、知恵を出そう。
力のあるやつは、力を出そう。
汗をかけるやつは、汗をかこう。
金のあるやつは、金を出そう。
私何もないんですってやつは、元気出そう。

松山千春

今日は始業式。
やる気・元気・エネルギー満タンで
生徒の前に立とうと思います。

最後まで、お読みいただきありがとうございました。
最後まで読んでくださったあなたの
少しでもお役に立てたら嬉しいです。

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