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ホワイトタイガー事件

我が家でちょっとした事件が起きた。
三人兄弟の末っ子、小3娘が一番大事にしているぬいぐるみ(ホワイトタイガー)の背中が数カ所破けていた、というもの。
末娘の前では、飼い猫の仕業だね、と結論づけて
破れたところを縫いとじて
治療は終わったよ、ということで解決した。

しかし、これは猫ではなく
小学校不登校中の息子がやったことであった。

息子は受け取る情報量は非常に多いが、
それを咀嚼して自分の考えや感想として言葉にしたり
行動したりするのに時間がかかる。
対して末娘は、非常に反応が早い。
何でも思ったこと、感じたことを言葉に出して
周囲に伝えながら理解していくタイプで
息子とは対称的な部分がある。

ここ最近
運動会の練習や算数の授業で嫌な思いをしていた末娘は
不登校で学校に行かず、日中好きなことをしているお兄ちゃんを
うらやましく思っていた。
嫌なことを自分も避けて通りたいと
「なんでにぃには学校に行かへんの?
家でずーっとゲームしたり絵を描くしかしてへんのやろ?」
と私に聞いてきた。

息子にとって学校に行くことは
今とてもしんどいことで、学校に行けないということも
本人にとって不安なことなんだよ、
と説明をしたのだが、9歳の娘にとってはこれから少しずつ
理解していくことなのだと思う。

よくなかったのは、その時近くにいないと思っていた息子が
一部始終やりとりを聞いていたということ。

息子の同級生には、以前
宿題を忘れた同級生に向かって
これみよがしにそれはダメなことだ、と
わざわざ指摘する女の子がいたそうだ。
妹のデリカシーのなさは
その女の子と一緒だ、というのが息子の話だった。

おそらく息子はその女の子に
何度か標的にされており、
学校での嫌なイメージの一つになっているのだと思う。

末娘には兄からそのように思われていること、
ぬいぐるみを破いたのは兄であることは伝えていない。
なぜか。
末娘は兄のことが好きであり、
足が早く、ダンスやテニスが上手な兄に憧れて
にぃにのようになりたいと思っているから。

私が息子に伝えたのは3つ。

1つ目は、
私から見ると、という条件付きで
妹は悪くないということ。
これは息子には受け入れ難いようだった。

2つ目は
こんなふうに復讐するということに
私はとても悲しいと思うということ。
無茶苦茶腹が立つ、ひどいことをされた、
そいうことの報復としての暴力的な行為を何とか避けて
別の解決策を探りたい、
探れる自分でありたい、
探れる社会に向かいたいと思っているから。

3つ目は
息子が受けた痛みを、誰も受け止め分かち合えられず
とても悔しく残念に思うということ。
今の息子にとってはそれができる可能性があるのは
私であるのに、
機能しなかったことはつくづく悔しく悲しい。

不登校になっている息子が
少しずつ外へと気持ちが向いてくれるのを願っている。
学校や地域、病院やカウンセラーの方などに相談しながら
いくつか社会と繋がる方法を候補として出して
息子に打診しているけれど
今はどこも行かない、というのが息子の答えだ。

今日のことを
いつか違った視点で見れる時が来るのだと思うし
いつか距離を持ってこのことを眺めれるその日を
一つの希望と思っている。




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