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あなたにとっての幸せとは何ですか?/11冊目 住野よる 『また、同じ夢を見ていた』 双葉社

始めに

見てくださって、ありがとうございます。
えだまめです。

紹介する本も11冊目になりました。
どんどん冊数を増やしていきたいです。

今日は住野よるさんの『また、同じ夢を見ていた』です。

この本を読み終えた時、タイトルに納得するでしょう。

分岐点

この本の主人公である小学生の菜ノ花が高校生の“南さん”、カッコいい大人の“アバズレさん”、優しい“おばあちゃん”と出会って、幸せとは何かを考えるお話です。クラスメイトの桐生くんも出てきます。

「皆、違う。でも、皆、同じなんだ」
p.128  アバズレさんの言葉

皆、違う人間です。好きな食べ物も、趣味も、積み上げてきた経験も、全て違う。でも、皆、同じ。

この言葉は、菜ノ花がクラスメイトの桐生くんと喧嘩をしてしまった時に、“アバズレさん”が出したヒントです。

喧嘩した時、友達が落ち込んでいる時、逆境に追い込まれた時。自分がどんな行動を取るか。それが自分の未来をつくる、大きな分岐点になるのだと気付きました。

南さん

菜ノ花と新しく会った友達で、小説を書いている高校生です。ぶっきらぼうに見えて、優しい人です。

菜ノ花と会った時、“南さん”は腕にカッターを押し当てていました。両親を事故で亡くしたこともあり、この世に絶望していたのでしょうか。

「人生とは、自分で書いた物語だ」
「推敲と添削、自分次第で、ハッピーエンドに書きかえられる」
p.90  南さんの言葉

菜ノ花の口癖『人生とは』をなぞらえて言う“南さん”。菜ノ花と小説を本にすることと、幸せになることを約束しました。

そんな南さんの考える“幸せ”とはー?

アバズレさん

“彼女”を保護した時に会って、いつも優しく出迎えてくれます。季節を売る仕事をしています。

菜ノ花が落ち込んでいた時に“アバズレさん”が考える「幸せとは何か」を教えてくれた後に

「ありがとう、聞いてくれて。大人の話はつまんないよね。」
「お返しに、もし、お嬢ちゃんがしたい話があるなら、いつでも、いつまでも、聞くよ」
p.164  アバズレさんの言葉

そう言いました。私は泣きながら、こんな大人になりたい!と強く思ったのを覚えています。

「人生とはプリンと一緒だ」
「人生には苦いところがあるかもしれない。でも、その器には甘い幸せな時間がいっぱい詰まっている。人は、その部分を味わうために生きているんだ」
p.182  アバズレさんの言葉

かつての菜ノ花の言葉を、“アバズレさん”はそう解釈しました。

アバズレさんも“幸せ”を見つけました。

おばあちゃん

丘の上の木の家に住んでいる、一人暮らしのおばあちゃん。お菓子と一緒に、おすすめの本の話をしようと菜ノ花を待ってくれています。

「皆が選ぶんだよ」
「幸せになるためだけに」
p.240  おばあちゃんの言葉

“おばあちゃん”も菜ノ花と出会って、「幸せとは何か」を見つけました。おばあちゃんには説得力はあるけど自分には説得力がないと落ち込む菜ノ花に、おばあちゃんは世界の見方を変える言葉を贈りました。

私もこんな人生を送りたい。

桐生くん

大人しい、絵を描くことが好きな菜ノ花のクラスメイトです。

菜ノ花は悪く言われるのに言い返さない桐生くんをいくじなしだと決めつけてしまっていました。

本当は、いくじなしじゃないのかもしれないのに。

「絵描きっていうのは、凄く繊細な人達なんだ。傷つきやすくて、人より弱いところもあって」
「でもね、誰より清らかで優しい人達でもある。絵を描く人達にはね、世界がまっすぐに見えるんだ」
p.139  おばあちゃんの言葉

嘘偽りない、世界そのものが見えているから、理想とのギャップに苦しんでしまう。桐生くんも変わりたかったんだと思います。

「すごく、嫌だけど、でも、大丈夫な、気がする」
「小柳さんが味方でいてくれるなら、からかわれても、馬鹿にされても」
p.207  桐生くんの言葉

ここのシーンで、ボロ泣きです。3回読んで、ようやく泣かずに読めるようになりました。

どんなに弱くて力が無いように見える人も、戦っているかもしれない。そう思います。

感想

この本は、私にとって、とても大切な本です。困ったこと、行き詰まったことがあれば、必ず開いて読み返します。大切だけどささやかで忘れてしまいそうなことがたくさん詰まっているから。

「やっぱり人生とはダイエットみたいなものね」
「ううん、むちむち(無知無知)じゃちゃんと楽しめないのよ。ファッションも、ジョークも」
p.136  菜ノ花の言葉

菜ノ花のこの言葉の通りだと思います。
私は“南さん”を通り過ぎました。今は“アバズレさん”になっていかなければならないと思います。

“アバズレさん”のような、素敵な大人になるために。そして、“おばあちゃん”のような人生を送る為に。

私なりの「幸せとは何か」を書いておこうと思います。

前までは「人に頼りにされることが幸せだ」と思っていました。

でも、今は。
「幸せだと一瞬でも多く思えることが幸せだ」と思います。

終わりに

この本は、“南さん”“アバズレさん”“おばあちゃん”だけじゃなく、菜ノ花も「幸せとは何か」を見つけます。

あなたにとっての幸せとは何ですか?


どうでしたでしょうか。

少しでも、魅力が伝われば幸いです。

あなたにとって、この本がお気に入りの1冊に仲間入りしていただけるなら、こんなに嬉しいことはありません。

あなたのおすすめの本、次に紹介する本の予想、この記事の感想などありましたら、ぜひコメントをください。待っています!

見てくださって、ありがとうございました。
また、木曜日にお会いしましょう。
えだまめでした。


Next article hint

次に紹介する本のヒントは

タイトルが漢字5文字の湊かなえさんの作品

です。


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