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教育療法と宿題

ある日のセッション、お母様から明日までに提出の宿題があり、わからない点があるのでお子様と一緒にやって欲しいと頼まれました。お子様もとても困っている様子でしたので、私は一緒に宿題を始め、何とかセッション時間内に終わらせました。

実はそのセッションには、別の指導内容を準備していました。ですが、宿題が明日提出ということと、お子様もお母様も、その宿題に関してとてもストレスを感じていたため、その状態で別の指導内容を進めても宿題の事が頭から離れないだろうと判断し、宿題をすることにしました。

宿題の内容が教育療法の指導内容と重複するトピックの場合もあり、また宿題を通して指導できることもあるので、教育療法のセッションに宿題をすることは悪いことではないと思います。ただ、それが習慣化してしまうと、教育療法士が本来の役割を果たすことは難しくなります。なぜなら、宿題は期限があり、どうしてもそれを終わらせることが第一優先になります。セッションの時間が一時間に限られていて、期日も迫っている場合、わからない点を教えることよりも、宿題を最後まで終わらせることが優先になってしまう可能性が高いです。

本来、教育療法は、子供が行き詰っている点と習得すべきスキルを見出し、それを集中的に指導することが目的です。宿題は、クラスの生徒全員に対して出ているものなので、その子供に合った課題が出ているとは限りません。そのため、宿題ばかりをやると、個別指導ではなくなり、学校の集団指導の延長になってしまいます。

どうしてもセッションで宿題をやりたい場合は、余裕を持ったスケジュールで行うこと、あらかじめ宿題について前もって伝えることをお勧めします。時間に余裕があれば、行き詰っている点を徹底して指導する時間も生まれ、教育療法の指導内容と重複させて指導するよう、計画を立てることもできます。

ただ、ほとんどの宿題が明日まで、など期日が迫っているものなので、なかなか難しいのではないかと思います。その場合、「教育療法士の先生が来るから、その時にやればいいわ」と言って、宿題を始めるのを後回しにするよりは、できる問題に関してはあらかじめ終わらせて、どうしてもわからなかった問題だけを質問する方が、はるかに効率は良いと思います。

宿題や課題は、もらったらすぐに始めること、いつまでにどれくらい終わらせたら良いか計画をもって進めることが鍵となります。

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