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【30代主婦】過食嘔吐・アダルトチルドレン。卒業500日後のお話

みなさんこんにちは。摂食障害オンライン相談室を運営する、元摂食障害の心理士、渡邉茜(わたなべ・あかね)です。

この企画は、当カウンセリングの卒業後を追う企画。

今回ご紹介する卒業生は、過食嘔吐に悩まれていた30代主婦のアミさん(仮名)。
2021年2月に卒業し、約1年半ぶりの近況報告インタビューを行いました。

課題/回復のアプローチ

【アミさんカルテ】
■症状:拒食・過食・嘔吐・下剤
■カウンセリング期間:2020年8月〜2021年2月(6ヶ月)
■サポート内容
月2回通話

■プロフィール
2020年開始時、35才。パート勤務の主婦。旦那様との関係は良好。当時、マイルール(揚げ物・高GIが怖い)、食事の順番のこだわり、 会食恐怖
など、拒食気味な食生活と過食嘔吐に悩まれていました。卒業後は過食嘔吐を一回もしない生活を送っている。

※初回の自己紹介メモ
遡って考えると、小学高学年の時、夜間1人で過ごすことがあり、寂しさを埋める為に内緒でパスタを沢山茹でて食べていたのが始まりだったかなと思います。その後は周りに合わせて軽いダイエットをしていた程度でした。

社会人になり、一人暮らしを始めてお酒を飲み過ぎて吐いた経験から、たくさん飲んで食べても吐いたら無かった事になるかも?と思い、徐々にお酒の量や食事の量が増え体重も1年で2キロずつ増えていきました。最大72㎏。

体重増加が怖くて吐く回数も徐々に増えて、ストレス発散のために食べたり、逆に吐きたいから食べたりと体力と精神力がじわじわとなくなっている感覚です。

調子の良い時は吐かない日が何ヶ月もあり、食事も並にとれてます。しかし頭の中では食に縛られています。

吐くのが辛いので、拒食やチューイングの時期もあり、食べ物が体に入るのが嫌でビーガン→フルータリアンになっていた時期もあります。最小は50㎏。

アルコール依存症のような症状があった為、現在は断酒4年目。過食嘔吐は週2程。必ず1人の時にします。外や誰かがいる時は吐けません。

■食生活の改善
普段は拒食的な生活を送り、食事の内容は「過食嘔吐前提」で選ばれることが多かった。そこで、本物の食欲を取り戻すために、「体の声に従って食事を選ぶ」トレーニングをおこなった。

■アダルトチルドレン⇨幼少期の振り返り・生活の充足
父親のアルコール依存症、母親の男性関係にふりまわされ、幼少期に両親が離婚。以後、母親に対する拒否する気持ちが高まり、「自分が強くならなければならない」と思うあまり誰のことも頼れなくなったり、「女性っぽくなることに嫌悪感」を抱いたりしていた。今までアルコール依存症のような経緯もあり、摂食障害はアダルトチルドレンの影響であると分析。おそらく、「空虚感」が苦手であり、日常を充実させることが課題と考えました。

また、お母様とお父様との記憶を遡り、「不適切な環境で育った」ということ、その結果「アミさんはたくさん傷ついてきた」「適切に甘える方法を学べなかった」ということを理解し、記憶を再構築していく必要があると感じた。

卒業1年後のインタビュー

【1】カウンセリングをうけようと思った理由

過食嘔吐をなくしたい、食やダイエットに縛られているので、生活を変えたい。ずっと不安で心が休まらないから。

【2】実際に受けてみて、カウンセラーあかねの感想

楽に何でも話したくなる人。カウンセラーというと、少し身構えてしまうかもしれませんが、お医者さんとも友達とも違う中間のような感じがした。そして、とても冷静に分析してくださる。電話のやりとりなので、私の限られた言葉の中から問題を汲み取ってくれる力がすごいなと感じた。

アミさんはとてもご自身のことをすでに分析され、長年自分と向き合ってきた印象がありました。ただ、どうしてもアダルトチルドレンの影響もあるのか、謙虚すぎて本音を話してもらえていない感覚がありました。
しかし、回数を重ねるうちに自分から気づいたことを話してくれるようになり、カウンセリングも充実したものになりました。これは、アミさん自身の勇気と努力の結果だと思います。

【3】実際に受けてみて、症状・生活・価値観の変化

初めは、体重や体脂肪の数値で一喜一憂していた。0か100かの考え方は変わらずだった。
途中でストレスや不安で過食嘔吐がひどくなることもあった(漠然とした不安ではなく、原因があっての過食)。周りに対しての罪悪感と、自分に対しての嫌悪感があった。

アミさんが回復できたのは、カウンセリングのたびに自主的に幼少期の記憶をさかのぼり、メモに書き出して、私に送ってくださったことだと思います。アダルトチルドレンの方が過去の記憶を遡ることは、心の傷をえぐることです。痛みを伴います。その影響もあってか、途中、過食嘔吐が悪化することがありました。それでもアミさんはカウンセリングを休まず、回復の糸口を探そうと諦めませんでした。結果的に過食嘔吐が悪化しても、自分で立て直す力がついたように思いました。

【4】実際に受けてみて、苦しかったこと

つらい過去を振り返ること、記憶を正しく辿ること。
本当はもっと◯◯がしたかった、◯◯してほしかったんだ。と自分を認めて許すことが苦しかった。

うんうん、そうですね。本当に苦しかったですよね。自分の過去の欲求を認め、それを癒していく過程は自分への嫌悪感と恥ずかしさと、罪悪感で気持ちがぐちゃぐちゃになります。それでも、私に気持ちを委ねて、全ての気持ちを包み隠さず話してくださったことで、徐々に自己受容できていったのではないかと思っています。

【5】卒業を決めた理由

話したい事を全部話すことができて、感情を出しきることができたため。卒業しよう、と決意したわけではなく自然と過食のことを考える時間が減って、大丈夫かもと思えることができたから。

過去の許し難い記憶を浄化し、食事の改善と、生活の充実を目指した結果、自然な流れで過食をしない期間を延ばすことに成功しました。本当に苦しい中、「今ある幸せ」を感じ、「今できること」に注力した結果だと思います。卒業時は、本当におめでとうの気持ちでいっぱいでした。

【6】卒業後の症状、体重、生活など

▲インタビューのきかっけになった、2021年5月のメッセージ

体重や体型の事は前よりも考えなくなった。疲れている時は時々過食をしたくなるが、吐きたいとは思わない。今でも急な会食などは緊張する。

行動力が増した。以前は漠然とした悩みや不安におぼれていたけれど、今は客観的に感情を見れるようになった。

インタビュー前のメッセージで、過食嘔吐が一切ないことを知り、私も本当に嬉しかったです。また、趣味を増やし、生活を楽しまれている様子にホッとしました。

「以前は漠然とした悩みや不安におぼれていたけれど、今は客観的に感情を見れるようになった。」
これが一番大きな成果であり、アミさんの武器になっていると思います。
つまり、自分自身を客観的に見れるようになると、感情のコントロールがしやすくなり、負の感情に飲み込まれることを防ぐことができます。
カウンセリングは自分のことを客観視するトレーニングする場だとも思っています。それを体得したアミさんは弱い心があっても、それを乗り越えていく強さがある。それはとても大きな武器だと思います。

【7】カウンセリングを受けようと迷っている方に一言

自分一人で向き合うのは本当にパワーがいるし大変な事だと思いますが、今の状況を少しでも変えたい、変わりたいと思うなら、まずは気軽に話をしてみるといいと思います。

そうですね、自分自身で向き合うには、パワーがいる。だからこそ、誰かに頼ることは大切ですよね。特に摂食障害の方は、考え方の癖に偏りがあり、どうしても悲観的・自己否定的に自分を捉えてしまいます。だから、自分のことを全く知らない第三者の視点が大切だったりします。

自分の素直な気持ちをのびのびと話し、第三者に客観的に見てもらい、向き合い方を教えてもらう場。そんなふうに感じてもらえるように、私もカウンセリングに励みたいと思いました。

また新しい気づきをありがとう。また季節のお便りおまちしています。今回はありがとうございました!


摂食障害オンライン相談室公式HP

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■著書「摂食障害のしおり〜ダイエット依存を卒業する5ステップ〜

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