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米Levelsのコミュニティラウンドに学ぶ:キーワードはユーザー株主の「エンゲージメント」

いつもイークラウドのnoteをご覧いただきありがとうございます。

今回は、株式投資型クラウドファンディング(以下、株式型CF)プラットフォームを活用した海外事例から、米国のスタートアップLevels Health社(以下、Levels)のケースについて調べました。

※記事の中では、1米ドル=140円で換算しています。

株式型CFは、非上場のベンチャー企業がインターネットを通じ、複数の個人投資家から資金調達を行える仕組みです。ベンチャー企業にとっての資金調達の新たな選択肢として、国内でも注目されるようになってきました。

現在日本では、企業は1年間に最大1億円未満までの資金調達が可能な株式型CFですが、株式型CFならではの魅力は得られる資金そのものというより、別のところにあります。

それは、『ユーザーやファンを株主として会社に巻き込むことができる』ことです。

そんな株式型CFならではの特徴に魅力を感じ、ユーザーを株主として会社に巻き込むことに成功したのが、Levelsです。同社は、健康維持を目的とした貼付型のウェアラブルデバイス(腕などに貼り付けるタイプのデバイスで血糖値等が測れる)とそれに連動するアプリを提供しています。同社が2022年に実施した株式型CFでは、募集開始6時間で約7億円を調達し、既に同社製品を使用しているユーザーを株主として会社に巻き込むことに成功しました。

貼付型ウェアラブルデバイスとアプリ

Levels Healthとは

Levelsは、2019年に創業されたニューヨークに拠点を置くスタートアップです。

共同創業者であり最高医学責任者のCasey Means氏は、米国人口の70%以上が過体重または肥満と言われている中で、“慢性疾患の大部分が代謝機能障害とインスリン抵抗性に根ざしている”とし、“食事やライフスタイルの改善で十分に予防が可能”と考えました。

参考:
https://about.crunchbase.com/blog/levels-co-founder-casey-means-on-the-lessons-shes-learned-as-an-entrepreneur/

そのためにMeans氏は、慢性疾患、生活習慣病の予防に着目しました。Levelsでは、血糖値を継続的に計測するための貼付型ウェアラブルデバイスと計測データを管理し健康改善のための提案や食事が健康に与える影響をリアルタイムで把握できるアプリを提供しています。

“個人が自身の健康情報にリアルタイムでアクセスできるようにすること”をミッションとしており、“誰もが自分の体の生物学的状態を理解するための必要なアクセス手段、技術、専門知識を提供すること”を目指しています。

引用元:Levels サイト

利用背景ー透明性・開放性を大事にするカルチャーが株式型CFの仕組みとマッチ

Levelsでは、情報の開放性(オープン性)、透明性を大事にしており、創業期から投資家向け情報や全社ミーティング等をWebサイト上で全て公開しているというのも特徴です。

参考:
https://www.levelshealth.com/inside-the-company-category/investor-update

今回シリーズAラウンドで、全体で約53億円の調達を実施し、そのうちの約7億円をユーザーなどを株主に巻き込む株式型CFで調達しています。ユーザーなどを株主に巻き込む株式型CFは、米国ではコミュニティラウンドとも言われ、イークラウドでは過去のnoteで紹介しています。

Transparency and openness are core to our company values and culture, but values don’t have meaning if they’re just slogans on the wall — you have to live them. We're committed to building in public. So, why shouldn't this apply to our funding model, too? Raising from our Members & community is the best way to live out our values.

引用元:Wefunder.com

訳)
Levelsは、透明性と開放性を同社の価値観や文化の中核に置いており、それを体現するためには、資金調達においてユーザーも投資家として参加できる機会を作りたいと考えました。

We raised our community round with Wefunder, not with the goal of closing a funding gap, but with the goal of bringing our members into the company even more.

引用元:Community Round by Wefunder

訳)
コミュニティラウンドを立ち上げたのは、資金調達を目的とした訳ではなく、我々の関係者を会社にもっと巻き込むためです。

株式型CF利用の結果ー脅威のスピード、開始6時間で約7億円

Levelsは結果として、募集開始から6時間で満額の調達に成功し、1,440名の個人投資家を集めました。このコミュニティラウンドを通して多くのLevelsユーザーも株主になりました。

参考:
https://communityround.com/case-studies/levels

株式型CFのメリットはここ:ユーザー株主のエンゲージメントUP/株主を通した高い情報・人材にアクセス、事業に巻き込む

Wefunder(Levelsが利用した株式型CFプラットフォーム)がLevelsについて取り上げた事例記事内で、同社は株式型CFの魅力は大きく2つあると語っています。

①ユーザーが株主となり、成長を期待し支援者として関わってくれるようになる
ユーザーと企業とは、サービスの対価として金銭を支払うという基本的な関係によって繋がっています。しかし、ユーザーが株主になることでこの関係性は大きく変わります。サービスや企業を信頼し株主となったユーザーは、サービスを利用することで受けられるメリットを求めるのではなく、企業の成長を期待し支援者として関わってくれるようになります。

②サービスに対して強い関心や信頼を抱く株主を巻き込み採用活動等に活用できる
企業の成長を期待し信頼してくれるコミュニティの中のつながりを活用して、人材にアクセスし、採用活動にも活かしていきたいと考えているようです。

参考:
https://communityround.com/case-studies/levels

ベンチャー企業の新たな資金調達手段「株式型CF」について、気軽にお話してみませんか?

スタートアップにとって資金集めは非常に重要です。どんなに良いサービス、良い企業でも、資金が足りなければ事業を続けることができません。

それに加えて、資金の調達と同時に会社の成長を一緒に考え応援してくれる多くのファンに出会えることを想像してみてください。

そんな未来に少しでもワクワクしたら、ぜひ株式型CFも検討に入れてみてはいかがでしょうか。

「ひとりひとりの想いをつなぎ、挑戦に力を」

起業家とそこに集まる個人投資家の想いを繋ぎ、イークラウドも一緒に挑戦します。

株式型CFを活用した資金調達についてもっと詳しく聞いてみたい起業家(起業準備中)の方は、イークラウドの代表・波多江にお気軽にDMくださいませ。


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