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ウッドショックと言われる木材高騰が日本の住宅業界に大打撃を与えている。起源は米国の住宅ブームが最大である。コロナの影響もあり郊外へ移住する人が増えたのであるが、もともとライフスタイルに合わせて住み替える文化があり、定住することは余りない。今やアメリカは市場最低金利と個人投資による株の高騰化の利益によって、別荘等含め郊外へ家を建てているのである。そうなると自国を優先するので、輸出への資材は減少するのである。しかも、中国が買い占めに入っていること、流通するコンテナの不足も合わさって外材が殆ど日本に入って来ない状態に陥っているのである。

ただ残念なことに日本は国土の67%も森林を有するはずなので、本来なら国産材を使用して入れば問題無かったことになるのだが、日本の住宅は70%以上も外材に依存しているのである。では矛先を変えてヨーロッパの資材をと言えば、これもまたアメリカや中国に流れているので、太刀打ちできない状態なのである。大手メーカー企業でも手をこまねいている状態なので、年間数棟クラスの中小企業では、どうにもならない状態だ。

今や新型コロナウィルスの終息よりも長引くのではないかと言われるくらい深刻な問題となっているのである。では、脱出方法はあるのかどうか。

まずは国産材に切り替えるという選択肢を国を挙げて戦略的に取り組むことである。しかしながら時間がかかるので速やかにというわけにはいけない。速やかにということであれば、面積をコンパクトにしながらも用途に応じて、加工品を極力避け、資材をスチール(鉄)やRC(コンクリート)に変更するかであろう。

また、工法を変更するという事もあるが、実は2×4工法から在来軸組構法への変更は容易にできるが、在来軸組構法から2×4工法への変換は容易ではない。かなり困難になるのは必至で対応できる人材も少ないであろう。つまり、現実的では無いという事である。在来型構法のパーツは平型を含め概ね80パーツくらいに分類されるが、2×4工法では横架材含めても概ね25パーツくらいである。先に述べたように設計工法を変更するのではなく、初めから2×4工法での設計が必要であるという事になる。

2×4工法がなぜ日本であまり普及して来なかったかと言えば、自由度が少ないという事である。ここでいう自由度とはリフォーム(改修)と定義して良いだろう。壁面自体が耐力壁となっているので、増改築等は困難であると言える(設計当初からの計画が必要)更に、熟練した大工さんを必要としないので、工期も短くなるのは必至だが、逆にフレーマーと言われる建て方を行う人材が少ないのである。そうでなくても職人不足は否めない中、そう簡単には即解消できる問題ではない。

原因の発症は新型コロナウィルス等での貿易市場、流通市場によるものだが、終息がまだ見えない状態では、一気に解消することは困難である。仕様/用途の変更や入手困難な木材又はデザインを変更するなどの対処療法でしか、今のところ対応できる術がない。

20210530