Churro_step
エッセイとか思ったことです
書きました
DAOKOの一番星の冒頭、“嫌いなあの子が死体になっちゃっても、誰も気にしないんだろうなあ” の歌詞の意味がまったく、本当にまったくわからないまま、16歳も17歳も18歳も19歳も過ぎてしまった。だってそんなわけないし。気にするに決まってる。世界の中心はわたしではないのだから。 けれどこの歌い出しほど、わたしの心に引っかかっている歌詞はほかにない。心にすとんと落ちずにずっと、処理できないまま頭の片隅に残され続けている。 わたしは、そのひとの名前の漢字とか、声の聞きごこ
私はYouTubeプレミアムに入っている人のことをおもんないと思っている。今から話すような話ができなくなるからだ。 ちょっと羨ましさも入っている。広告飛ばせていいな〜って。 最近、わたしに対するYouTubeの広告が迷走している。 パスタのバリラの広告(15秒まるまるあって飛ばせないやつ)とか、インド? でめちゃくちゃバズっている知らない音楽(5秒でスキップできるが、そのまま流し続けたら4分くらいあるので、手が離せないときにこの広告が来たら終わる)とかが、動画に挟まる。 過
スカイツリーに行った。多分小学生ぶりだった。小学生のころ、スカイツリーに行って銀色のネックレスを買ってもらったとき以来。かわいいからつけたいネックレスなのだけれど、スカイツリーが映える服を持っていない。スカイツリーありきで服買おうかなあ。 スカイツリー、すごく高くて大きくてびっくりした。350メートルしか上がっていないのにすごく高かった。350メートルしか上がっていなくても世界はこんなにちっちゃく見えるんだと思うと、なんだか不思議な気がした。歩いたら4、5分で着くくらいの距
たった5分の予定にわざわざ1時間もかけなければいけないとき、アニメを見ているときには感じないような時間の無駄を全身で感じてしまって、すこし呼吸がしづらくなる。今日もそんな日だったから、ポッドキャストを聞いて気を紛らわせながら電車に乗っていた。チケットの受け取りとか、わざわざ出向かなくても良かったな。郵送してもらえばよかった。あーあ。 こんな気持ちになったとき、お笑いか食かエロにしかそれに立ち向かう方法なんてないのに、電車のなかではどれもできない。笑えないし、食べれないし。エ
なんかもうどうでもよくなってきちゃったね、なんて言いながら、彼氏でもない人の部屋のベランダで、夜風に当たっている。それなりに空に近くて、ここから飛んだらぎりぎり死んでしまうんじゃないかな、というくらいの高さ。ずっと向こうのほうでは、開発された駅前がきらきらと港みたいに光っている。 「なんかもうどうでもよくなってきちゃったし、なんかもう何にでもなれるかも」 「あー、逆にね?」 わたしの右隣で彼は、空っぽになった缶をゆらゆら揺らしている。さくちゃんなれるならなんになりたい
うわ莉緒またそれ飲んどったん? えーうん飲んじゃったわ。何錠? 数えとらん15か20くらい? ほんまに俺よおわからんけど、なんかしんどいとか死にたいとかそういうのあったらちゃんと言いや、俺じゃ頼りなかったらちゃうひとでもええし、ほんまに。いやちゃうちゃう、死にたいとかちゃうよ、せんぱいもめっちゃ酒飲むやん、それとほぼ一緒やでたぶん、ちょっと酔いたいな〜みたいな、ふらふら〜〜くらくら〜〜って感じ、ちゃんとしゃべれてるやろわたし。そんぐらいの量やったらそんな感じなん。わからんなん
第6回文学フリマ京都に出店いたします! 『隕石の軌道をほんの僅かだけ逸らしてここでダンスをしよう』 出店名:Churro_step ブース:あ-04 カタログ:https://c.bunfree.net/e/89M 散文詩集です。13篇(と、おまけひとつ)が入っています。 きれいなものが好きで、きれいなものをきれいにていねいに詩にしました。気に入ってくださる方がいらっしゃれば、とっても嬉しいです。 Nico-Tineさんに描いていただいた挿絵入りのカラーバージョ
大きめの鶏肉に塩麹と玉ねぎを揉みこんでしばらく置いたものを、ひとり暮らしにしては余るくらいのすこし大きいフライパンにふたつ並べた。ちちち、の小さな音とともに均等な火がぐるりとつく。つまみをそっとひねり、弱火に合わせる。弱火。とろ火でもいい。小さな火をつけて蓋をぴったりと閉めて、ことこととじんわり火を入れていくのが、いちばんきれいに火が通るし、いちばんおいしい。なんだってそうだ。強火なんてやたらめったら使うものではない。焦げつくし、ガス代も高くつく。 達哉はソファにごろりと
いちばん最後の帰り道、きみとすれ違ったね。 きみといた時間は不思議だった。きみのことをたくさん傷つけたと同時に、わたし自身もたくさん傷つけられた。だからなのかわからないけれど、仲直りもしたはずなのにどうしても後ろめたくって、きみの声がした瞬間にそっと、ワイヤレスイヤホンを耳に差し込んで、とりあえず、大きめの音で音楽を聴いた。ぱっと目に付いたのはNoRNiRのアルバム。きみは絶対に聴かないだろうし、きみといたときのわたしだって絶対に聴かなかった。きみはこういうふわふわとし
台風なんて、なかったみたいだ。 徹夜をして、窓のそとをずっとぼんやり眺めていた。 眼鏡をはずした瞬間、世界にたくさんあったはずの情報が、急に、すん、と輪郭を失って、あかるい上澄みだけが見えるようになった。 明るくなってきたから、くつしたのまま外に出てみた。 世界は思っていたよりも元気で、うれしかったけれど、すこし拍子抜けしてしまった。くつしたには水滴ひとつつかなかった。 はちみつをたくさんいれた紅茶、あまくておいしいから一緒に飲もうよ。わたしと違って君は目がいいから