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推しの店はあるうちに通っておこうと思った土曜の昼下がり

最近の若い人たちは"推し活"に精を出しているようだ。その中でよく言われるのは「推しは推せるときに推しておけ」というフレーズ。

推していたYouTuberやTikTokerが引退するなんて日常茶飯事で、中には揉め事や不幸な形で引退に追い込まれる人も少なくない。

儚く移ろいゆく人気商売の業を言い表した見事な言葉だ。

飲食も同じである。利益率が低い上に、お客様サービスを追求していたらどこまでもブラック労働になりがちな仕事である。あんなにいいお店だったのに閉店に追い込まれるなんてこともザラである。

食べ歩きをしているとグルメサイトを参照する機会が増えるのだが、時々閉店しているお店もあったりする。定期的な見直しをしておかないとすぐに陳腐化するぐらい、飲食の世界は移り変わりが激しい。

いいなと思ったお店はあるうちに通っておかないと、いつのまにか今生の別れを迎えることになってしまう。

さて、本日降り立ったのは岩本町だったのだが、お目当てのお店が平日しかやっていなかったので神田へ徒歩で移動することに。しかし、岩本町、神田、東京駅、日本橋あたりは地理的にも非常に近く、いつのまにか新日本橋駅の近くまで来てしまっていた。

で、偶然に見つけたのがこちらのカフェ。

クッションが大量に置かれたゆったりしたソファに腰を落ち着け、雨が降る窓の外を眺めながら物思いに耽る。

飲み終わってしばらく長居しても全く急かされない。まるで自宅にいるような感覚だ。クリエイターが住むビル、というコンセプトらしく、カフェの中を住民らしき人たちが通り過ぎて上の階に上がってゆく。

もしかすると、隣に座っていたお客さんたちもみんな住民であるクリエイターだったのかもしれない。こんなに回転率が悪いと、カフェ単体としての利益は出ないのではないかと思うのだが、住空間と一体になっていて、家賃収入と紐づいているから成り立っている感じがする。

そう考えると、自分の部屋に上がるためにカフェが通り道になっているのは、思想観がよく反映された設計だといえるだろう。

お会計は電子マネーのみ、というのも好印象である。

しかし、不動産もまた価値が移ろいゆくものだ。日本橋という立地の良さから考えると、オーナーが亡くなったら多額の相続税がかかってくるのではないか。所有者が変わってこれまでやっていたことが頓挫するなんてこともよくある話だ。

人と同じで、素晴らしい空間はヒトモノカネが全て揃わないと誕生しない。さまざまな場所を訪問しつつも、また帰ってきたい場所として、このお店もコレクションに加えておこう。

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