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Vol.5 クリーンビューティーの普及を目指して : 学生起業家の語るキャリア選択

「学生で環境問題の解決に取り組む起業家ってどんな想いで活動しているのだろう?」という疑問にお答えすべく、今回は学生のうちに企業を果たした株式会社Rulieの代表取締役である児玉英里さんへのインタビューをお届けします。

株式会社Rulieの代表 児玉英里さん

〈プロフィール〉
児玉 英里(こだま えり)

小学生の時、化粧品の力を使って人を幸せにすることを決意する。学習院女子高等科3年の時に、ビジネスコンテストで優秀賞を受賞。親友とクリーンビューティーをテーマとしたコスメブランド「Rulie」を立ち上げる。2022年慶應義塾大学総合政策学部へ入学。

Rulie(ルリ)

2022年にInstagramでメンバーを募り、クラウドファンディングで資金を調達し、第一弾の商品を発売する。2023年12月より株式会社になる。現在は大学生と高校生のメンバーのみからなる。

Rulie HP より

現在行っている事業について

ー現在はどのような活動をされているのですか?

肌にも環境にも社会にもやさしい、「クリーンビューティー」な化粧品をみなさんに使ってもらうことを目指して、化粧品の企画販売を行なっています。次世代の美しさの当たり前を作ることが私たちの活動の目標です。

私たちRulieは学生で構成されている団体で、「株式会社」になったのは最近なんです。
日本の市場に流通しているとはまだまだ言えませんが、Rulieのクリーンビューティーな化粧品の開発、販売という活動を通じて、これからの時代の美しさのあり方について考え、より持続可能な活動を実現することを目指しています。

クリーンビューティーの定義

ークリーンビューティーの定義について教えてください。

定義はバラバラですが、いろいろな記事で勉強している中で思うこととしては4つあり、まず、「肌・環境に有害な物質を使わない」こと、そして「動物実験をしない」こと、さらに再利用やリサイクルが可能かどうかなど「製造過程においてパッケージにサステナブル意識があること」、最後に特に大事な「透明性をもってきちんと開示する」ことが挙げられます。

オーガニックやナチュラルは原料が何であるかを大切にする概念ですが、クリーンビューティーは、原料を含む製造過程のすべてのサステナビリティを重視します。また、児童労働に加担しているものとしてマイカ鉱物という物質がありますが、サステナブル意識をもつために、このマイカ鉱物の中でも児童労働に関わっていない成分を使うことが大事だと思っています。そして、このようなこだわりや、まだ努力が必要な部分に関しても、きちんと開示することが重要であると思います。それはお客様が自分に合うものを選べるようにする、社会的責任を果たすためです。

しかしサステナブルであることは決して簡単なことではありません。なぜなら環境負荷を一切かけずに商品は作れないからです。普通、工場を通してものを作りますが、ものを作ることはサステナブルに反していることなのです。なので、足りていない部分を理解して商品を買ってもらうことが大切で、100%完璧なものはできないからこそ開示することは重要であると考えます。

きっかけ

―現在行っている事業を始めたきっかけを教えてください。

 小学生の頃から化粧品に関心があり、化粧品で人を幸せにしたいという考えがありました。このころから化粧品業界で働きたいという考えがありました。
 高校生の頃に新型コロナウイルスの流行による外出自粛期間中に多くの社会問題について知りました。その際に、社会問題は身近な問題であり自分の些細な行動も社会に影響を与え得るということを知りました。その中でも、動物実験については特に印象に残っています。
 私の好きな化粧品開発も環境を犠牲にした上で成り立っており、このことは少しでも早く解決したいと考えました。また、高校三年生の頃にビジネスコンテストに応募したことが今の事業の大きなきっかけとなりました。

やりがい

―どのような時にこの事業のやりがいを感じますか?

やりがいは主に2つあります。

私たちの事業は基本的にインターネット販売ですが、ポップアップも多い時は月に1回行なっています。身近な知り合いに褒めてもらえることもですが、見ず知らずの人がブースに立ち止まって私たちの理念に共感してくれたり、化粧品に関わる問題を知って私たちの商品を買ってくれたりする、その瞬間に立ち会えることが1つ目のやりがいです。

2つ目は、美しさやサステナビリティと言った、正解がないものを考えることです。同世代の知り合いや化粧品業界で活躍する方とお話する中で、「次世代の美しさの当たり前を作る」ということについてずっと考えています。自分の好きなものについて考えるのは面白いし、やりがいにつながります。

今後の目標

ー今後の目標などがあれば教えてください。

今後の1つの目標として、学生つまりZ世代から一番支持されるコスメブランドになることです。ハイブランドに憧れる学生が多いのは事実ですが、やはり一番買われるのは手頃な価格の商品であるという傾向にあります。しかし、環境に優しいというのは、買う人の共感を強く得られるのではないでしょうか。
私たちの商品を持っていることで周囲の人から素敵だよね、応援したいよね、これを持っていたらかっこいいよね、と思われるようなブランドにしていきたいと思っています。

Rulieの強味

ーRulieのここだけは譲れないという強みを教えてください!

私たちの強味や方向性を定めているところですが、Rulieのメンバーが全員学生であるというところと「肌・環境・社会にやさしい」を理念に掲げているところが強味だと思います。
さらに、Rulieの化粧品はラメが「可愛い」のが特徴です。従来のクリーンビューティー化粧品は華やかなメイクができるものはほとんどありませんでした。
一般的な化粧品と変わらずラメが含まれていて「可愛い」ため、環境意識のあまり高くない方の手にも届き、知らない間に環境にやさしい選択をしているという構図が生まれます。
商品を見て「可愛い」と思って手に取ったら、その化粧品が実は環境に優しかった、商品の理念を知ると素敵だな、と思われるような設計をしていきたいです。

さいごに


株式会社Rulie代表の児玉英里さん と えこねくすとメンバー

ー環境系のキャリアを目指す学生にメッセージをお願いします!

 学生だからできないこともありますが、もちろん学生だからできることも多くあります。学生は失敗を恐れずに挑戦できます。若いうちの失敗は学びとなり、将来に役立つことでしょう。また、社会課題の解決と利益の追求はときに対立するものになることもあり、利益の追求にとらわれない学生という立場はサステナビリティを考えるのに最適です。団体や企業からの態度も社会人になる前よも優しく、話をお聞きしていただける機会も掴むこともできるでしょう。
何をしたらいいのかわからない場合はコンテスト・サポートプログラムを受けてみたり、気になる企業団体に連絡をとったりしてみるといいと思います。学生の熱量を欲していることろもあり、これに対したアプローチすることが重要です。

編集後記

 学生起業家から大きな刺激を受けることができ、感動しました。特に、えこねくすとには同じ環境ロドリゲスのRe-Coverという企画で商品開発・販売事業を行っているメンバーもいて、児玉さんの手腕や発想力を是非参考にしたいと思いました。ただ、ビジネスコンテストやクラウドファンディング、法人化など、Re-Coverとは大きくレベルが違うとも思いました。同年代の起業家の存在を励みに、私たちも精進していきたい一心です。


Rulieについてもっと知りたいという方へ

今回取材に応じてくださったRulie様のHPです。「肌・環境・社会にやさしい」クリーンビューティーな化粧品をぜひご覧になってみてください!

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