「音」という最小単位で考える
音楽制作会社と聞くと「音楽」をつくる会社をイメージしますよね。
当たり前のことですが。
自分は常に「音楽」よりも小さな「音」という単位からスタートしてサウンドデザインに携わるよう心掛けています。
「音楽」ではなく「音」。
個人的な解釈ですが、「音楽」というのは「ある複数のルールに沿って構成された音の集まり」だと考えています。テンポであったり、和音であったり もルール。
音楽をつくる時には、そういった1つ1つのルールについてもデザインしていきます。
その「音楽」を分解してバラバラの個々にしたのが「音」。それは最小単位だと考えているんです。
「音」の単位から考えると「音楽」という大きな単位では見えなかった表現の可能性が見えてきます。
◯音をつくる お仕事
「音楽」という単位が大きすぎて対象となる事柄に適さない場面もあります。しかし、「音」になると状況はまた変わってきます。
公共スペースや医療機関の待合室など、音楽では少々圧迫感を感じる空間では「音楽」とまでは構成されない「音」による演出程度が過ごしやすいかもしれません。
プロダクトもそうです。操作時や起動時の演出も音単位での演出は満足感を与えてくれます。
機械的な物でなくても、風鈴や器などのサウンドデザインも面白いのではないかと感じています。
◯音色選びの自由さ
「音楽」となると「楽器」という考えがスッと近づいてくるように感じます。
「音」というと楽器ではない音色も選択肢に加わりやすくなってくるように感じます。石を棒で叩いてみたり、雨の音を入れてみたり。
エイトブランディングデザインさんによるメディア「チャンネル8」のジングル制作では、スタッフ皆さんによる「エイト!」よいう掛け声を起用しました。ワイワイとスタッフ全員で録音して、インナーブランディングの効果も得られたと感じています。
・チャンネル8
https://www.8brandingdesign.com/channel/all/
◯新たな音の構成
これは手法の話になりますが、「音楽」を分解して「音」をバラバラに。そしてまた構築し直して「音楽」へ、という方法の作曲プログラムを企画したこともあります。
その音楽はプログラムにより 銀座三越「Japan Duty Free GINZA」にある資生堂「THE COTTON」の店舗で、今も作曲し続けてくれています。
・資生堂 THE COTTON
https://www.cotton.theginza.co.jp/thecotton/
◯現場の音環境
「音楽制作」は「音楽をつくる」だけでは完成しない場合もあります。
時には、つくった音楽の「鳴らし方」もデザインして。
「音」の視点を持って現場へ向かうと、音楽の鳴りは勿論、その音楽が現場の環境音と どのように溶け合うのかも見えてきます。
この項目については、また別に触れたいと思います。
ミクロな視点・マクロな視点を行き来してデザインする。聴覚的デザインにも視覚的デザインにも共通して重要な事かもしれません。
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