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「水産協力におけるブルーエコノミーの有効性」@国際開発学会ラウンドテーブル

#水産協力 #ブルーエコノミー #国際協力 #SDGs #産学連携

ECFAでは、2018年よりJICAと連携して国際開発学会にて共同発表を行っています。今回もラウンドテーブルを2セッション実施予定です。参加者も一緒にディスカッションできる場ですので、ご関心があるテーマでぜひご参加ください。
※ハイブリッド開催のため対面参加の方は明治大学へお越しください。

🌎 国際開発学会全国大会オフィシャルサイト 🌎

日 時:2022年12月4日(日) 12:45 〜 14:45 

場 所:明治大学 駿河台キャンパス リバティタワー10F 1105
 
    オンラインと対面のハイブリッド
    (対面)
明治大学駿河台キャンパス
    (リバティータワーアカデミーコモン大学会館
     〒101-8301 東京都千代田区神田駿河台1-1
     アクセスマップ
     キャンパス内の建物マップ

参加方法:
学会参加登録が必要です。当日は、オンラインもしくは当日会場でご参加ください。

参加費:
国際開発学会正会員 4000円
国際開発学会正会員 学生2000円
非会員(一般)5000円、非会員(学生)3000円
※こちらのラウンドテーブルへの参加には学会参加費が必要です。参加費を支払うと、このセッションを含めた2日間すべてのセッションに参加できます。

全体プログラムhttps://confit.atlas.jp/guide/event/jasid2022annual/tables

🐡「水産協力におけるブルーエコノミーの有効性」🐡

資源環境保全と経済成長を統合的に推進するブルーエコノミーは、コロナ禍及びウクライナ侵攻に起因する移動の制限とサプライチェーンの混乱下にあって特に沿岸地域の課題に対する有効な対応策と考えられる。
沿岸地域においては、「水産資源と沿岸生態系の持続的な利用」、「漁村コミュニティの生計向上」、「地場産業の振興」、「コミュニティ活動を支える制度やガバナンス」といった経済、社会、環境、制度・ガバナンスの四つの側面をバランスよく、統合した形で取り組むことで、持続可能(かつ強靭)な発展が可能になると考えられる。

具体的な活動としては、「持続可能な漁業、水産資源管理/生態系保全、バリューチェーン構築、観光連携等の多角化等の資源管理・生計向上事業の企画・実施」や「優良事例、教訓の抽出と共有」、「ドナー及び産官学の連携」などや、「漁業者や普及員の能力向上を行う制度構築」などが考えられ、国際協力の文脈では、日本の知見(共同管理、六次産業化、里海)の活用も期待されている。他方で、上記取り組みの推進においては、その有効性を検証が不可欠であり、大学等の学術機関と連携した調査研究が喫緊の課題となっている。

そこで、本ラウンドテーブルでは、まず「ブルーエコノミーとその推進に向けたJICAの戦略」について紹介し、その後、バヌアツ、カリブ地域でのパイロットプロジェクトの紹介、そして、日本国内での関連する事例を紹介した上で、①アプローチの有効性:「水産資源と沿岸生態系の持続的な利用」「漁村コミュニティの生計向上」「地場産業の振興」への統合的な取組み②方法の有効性:「パイロット活動」「ツールボックス」「プラットフォーム」等による課題解決のシナリオ③日本の知見の有効性:「コ・マネジメント」「六次産業化」「里海」等の活用について議論したい。その結果、上記の有効性の学術的な検証に向けた連携の推進を期待する。なお、発表は日本語で実施するが、英語でのディスカッションも歓迎する。

Presentation is in Japanese, however international students and other English speakers are also welcome to our roundtable discussion

司会 :  本田勝(JICA)
討論者 : 松丸亮(東洋大学)

発表者&発表概要

三国成晃(JICA)
1987年に東京水産大学(修士課程/漁業学)を卒業し、JICAに就職。途上国での水産プロジェクトの形成及び実施、日本での研修員受入(かつて三浦半島に所在した神奈川水産研修センター)、水産協力戦略(島嶼国水産ブルーエコノミー等)の策定に従事。海外勤務はフィジー共和国事務所員、東カリブ島嶼国漁業共同管理プロジェクト専門家。今年7月よりパラオ島嶼国型ブルーエコノミーの優良事例形成プロジェクト専門家。
 
発表概要「ブルーエコノミーとその推進に向けたJICAの戦略」
水産分野の新たな協力戦略として、水産資源/沿岸生態系、漁村/沿岸コミュニティ及び地場産業のそれぞれの便益を同時に創出するコベネフィット型アプローチを検討中。そのプロセス(シナリオ)は①現場事例の形成、➁知見の抽出と整理、③データベースへの蓄積、④知見共有のセミナー開催、⑤産官学・ドナー連携の枠組の形成、⑥ブルーエコノミー推進のための国際的イニシアティブの形成、⑦同イニシアティブ推進による現場のプロジェクトの開発優先度向上、予算配分・ドナー支援の増大といった好循環の実現。日本の知見(漁協による水産資源管理、6次産業化、里海/人と自然の共生)とそれをベースにしたJICAプロジェクトの経験を積極的に活用。

世古明也(アイ・シー・ネット(株))
大学卒業後、JOCV隊員としてホンジュラスの漁業協力に携わる。その後、漁船メーカー営業技術者として、主に中南米、アフリカへの漁船輸出、現地操業指導にあたる。その間、技術士(水産部門)取得。メーカー退職後、JICA漁業専門家として中米コスタリカ、ニカラグアにて沿岸漁業開発プロジェクトに従事する。
専門家終了後、大学院にて学位取得。現在、開発コンサルタントとして現職。主にJICAが実施する沿岸資源管理、漁業開発プロジェクトを中心に組織強化、地方行政強化、民間連携等、幅広い分野の業務を担当。
 
発表概要「バヌアツ国 豊かな前浜プロジェクト」
バヌアツでは、蛋白資源は主にリーフ内から得ている。昨今の人口増加、気候変動等の影響から同資源は減少している。これら資源は自然災害発生時の緊急食糧資源、観光資源として極めて重要な機能を有しており、リーフ内資源の持続的開発、低利用のリーフ外資源による地場産業育成が急務である。
本プロジェクトは地方自治体の協力の下、住民によるリーフ内資源の持続的利用、他の生計向上策が村の開発計画として成立するよう支援している。その際、住民が資源保全と開発に同時に動機付されるアプローチ例として例えば、住民対象のワークショップへの参加に消極的な若手漁業者向けに村落対抗サッカー大会を実施し、サッカーの集団性、フィールド、ルールと資源管理、生計向上活動との共通性を理解させ、プロジェクト活動への積極的参加に結び付く等、開発ツールとしてのスポーツの可能性等も見出している。


寺島裕晃(アイ・シー・ネット(株))
1983年に大学卒業後、国内水産分野のコンサルタントとして、沿岸域の生態系調査、人工魚礁調査、漁獲量調査など水産資源管理に関わる業務に従事。その経験を踏まえ、魚類の分類と生態を研究し、1992 年に北里大学で水産学の博士号を取得。1998年から2002年までJICA専門家としてモーリシャスでサンゴ礁周辺の生態系調査に従事。帰国後にJICAの技術協力プロジェクトなどに参加し、2009年10月~2014年9月までアイシーネット株式会社代表取締役。現在は同社の経営顧問・シニアコンサルタント。また、東京海洋大学海洋生命科学部と北里大学海洋生命科学部の非常勤講師を務めている。

発表概要「カリブ地域漁民と行政の共同による沿岸水産資源の保全管理強化プロジェクトで行っている事例の紹介」
東カリブの島々では、伝統的にサンゴ礁に生息する魚介類を対象とした沿岸漁業が盛んである。しかし、気候変動や過度な漁獲による漁業資源の減少や生態系の悪化が問題となっている。このため、JICAは現地漁業当局と協力し、漁民自身も沿岸資源管理に参加する「漁民と行政による共同管理(共同管理)」の実現を目指したプロジェクトを実施している。今回は本プロジェクトでおこなっている様々なパイロット活動のうち、以下の活動について紹介する。
沿岸魚介類の幼稚仔育成場の造成:高額で取引されているロブスターを含む沿岸魚介類を対象とした幼稚仔育成場を現地の漁民と協力して設置し、水産資源の増殖や観光サイトとして活用する。

馬場治(東京海洋大学)
東京大学大学院農学系研究科博士課程修了(1984年)。その後東京水産大学(現東京海洋大学)資源管理学科に教員として採用され、2021年に定年退職。退職時は海洋政策文化学科で水産経済学分野の教授として、漁業管理論、漁業制度論などの講義を担当。資源管理型漁業(community based fishery management)の政策論、取り組み実態、効果などを研究対象としてきた。国際協力分野では、JICAの研修事業や草の根協力事業等に参画し、東南アジアを中心に活動してきた。水産庁や地方自治体の委託調査、委員会参加の傍ら、全漁連が主催する漁業者の活動発表大会の審査に携わってきた。

発表概要
JICA研修事業で講義(日本の漁業管理や水産物流通など)を担当する中で、海外研修員に日本の水産業普及指導員の果たす役割について説明することがある。都道府県職員である普及員指導員は、沿岸漁業等の生産性向上、経営合理化を図るため、沿岸漁業者等に対し、技術及び知識の普及を行い、その自主的活動の促進を図っている。全漁連主催で毎年3月に各県から選抜された漁業者や女性グループなどが各自の活動内容を発表する活動実績発表大会が開催されているが、この裏には現場に足を運ぶ普及員が強く関わっていることが多く、大会には漁業者だけでなく多くの普及員が各地の活動情報の収集のために参加している。そこで得た情報をヒントにして地元の漁業者の指導に応用し、沿岸漁業者の各種の活動の深化に貢献している。

もうひとつのラウンドテーブルはこちら↓

みなさまのご参加お待ちしています


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