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ブーイングのルーツから解る「ブーイングは意思表示手段」。ブーイングのルーツは音楽会だった。

ブーイングはJリーグのスタジアムにはつきものだ。しかし、一方でブーイングに嫌悪感を抱くサポーターも多い。「ブーイングに気分を害した」「果たして本当にブーイングで選手が奮い立ったことがあっただろうか?」などなど。

応援の手法として「ブーイングの効果」を強く意識しているサポーターは少数派。

アンケート調査結果が2016年に出ている。「ブーイングは不満など意思表示」と回答したサポーターは71%。「ブーイングはプレッシャーをかけるなど応援」と回答したサポーターは29%。

ブーイングのルーツは音楽会。勝負や応援とは無関係なところから生まれた。

「ブーイングは不満など意思表示」であることは、そのルーツからも明らかだ。三省堂大辞林ではブーイングを「音楽会やスポーツで、観客が声を発して不満の意を表すこと」と説明している。つまり、勝負や応援とは無関係の音楽会での意思表示をブーイングの説明のベースとしており、ブーイングの是非を応援手法として語ることには無理があることを示している。

ブーイングが定着する以前の観客の意思表示手段は「帰れコール」だった。

主にプロ野球やプロレスで、対戦相手に対してスタンドから、そのような意思表示のコールが頻繁に行われていた。1980年代に新日本プロレスの悪役マネージャーとして活躍した将軍KYワカマツは、それを逆手にとって、背中に「KAERE」の刺繍をしたコスチュームを着用してリングに登場。善玉プロレスラーに悪事をはたらくと、客席から「帰れ!」「帰れ!」の大コールを浴びていた。しかし、それらのコールは、あまり評判が良くなかった。特に野球場でのコールは批判の対象となることが多かった。つまり、日本では、経緯を見れば、ブーイングは「帰れコール」「卑怯者コール」「弱虫コール」「やめろコール」等の代用品として普及していったといえる。

Jリーグの開幕直前時期に当たる1992年には、まだブーイングが普及しておらず試合後の校歌斉唱中に「帰れコール」が起こっている。これは甲子園で松井秀喜が5打席連続敬遠をされた試合での出来事だ。

「Jリーグではブーイングが意思表示手段である」ということが解る有名なシーンはこちらだ。

こちらは逆に、ブーイングではなく直接的な表現で意思表示をしている例。

ブーイングは乱暴な言葉を使用せずともサポーターが意思表示できる手段。そう考えると、ブーイングは嫌悪感を抱く対象にはならないのではないだろうか。



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