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女子サッカー映画でインド映画でヤクザ映画の『ビギル 勝利のホイッスル』……ってどういう作品?

これまでに見た女子サッカー映画で最も濃厚で、斬新で、長い作品だった。2時間59分ある。1時間24分で休憩が入るインド映画ならではの大作。その前半の大半が回想シーンに費やされて、女子サッカー選手は数分しか出てこないという長い前置き。この先、どうなってしまうのだ?と、不安を感じながら後半を見ると、正真正銘の女子サッカー映画に、やっぱり、かなりのヤクザ映画の風味が混じっていた。

ヒールリフトあり、ダンスあり、銃撃戦ありの2時間59分

インドの1つの州を代表するチームとして全国大会に出ることになった女子サッカーチーム。しかし試合が間近に迫ったある夜に、その監督が暴漢に襲われて負傷してしまう。原因となったのは、そのときに一緒にいた友人の男だった。その男はある理由からヤクザ稼業をしていたが、かつてはサッカーの名選手だった。

というのがストーリーなのだが、生半可な日本のヤクザとはかなり違う。
サッカーに関しても、かなり違う。全国大会はリーグ戦から始まるらしい。その初戦から4万人クラスのスタジアムが超満員。インドの女子サッカーは、それほど凄いのか!?何度かゴールキーパーからリスタートされるシーンがあるのだが、全ては最終ラインからパスをつないでいることに驚いた。

でも、最も驚いたのは、準主役がフィジオセラピスト(理学療法士)だということ。日本の女子サッカーチームでは、あまり重要なポジションとされていないフィジオセラピストだが、例えばイングランドでは基本的にリーグに登録しているクラブには最低でも1人はフィジオがいる。6部のクラブに4人のフィジオセラピストがいるという例もある。英語圏で英国の影響を強く受けるインドでは、日本よりもフィジオセラピストのポジションが高いことがうかがえた。

名台詞に酔い決勝戦に勝ち進む

翻訳の力もあるが素晴らしいセリフが洪水のように流れてくる。「夢は男性だけのものかしら?」「女は沈黙で語るように作られた」「心が乳房の形をしていたら男たちも見てくれるだろうか」傷ついた女性たちが女子サッカーで自信を取り戻していく。夢のある物語だ。

これでもかと登場する主演俳優

主演はヴィジャイ。インド映画ならではのダイナミックなダンスシーンが、これでもかと盛り込まれ、ヤクザとインド代表選手と監督の3つの顔を演じる。さらに、主人公の父も演じ、2時間59分のスクリーンには常にヴィジャイが登場するインドスタイルの作風。キャラの迫力がすごい。

このトンデモない大作女子サッカー映画は「インディアン ムービー オンライン」で見ることができる。最後の試合は感動のフィナーレ。インドでも女子サッカーは素晴らしい。

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