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エブエブからの花様年華

私はときどき
「ああ、もうだめだ。映画見に行かないと。映画が切れてきた。」
と叫びそうになります。
それで、今日は、晴れて、映画日和。
エブリシング・エブリウエア・オール・アット・ワンスを見に行ってきました。
本当は公開当日に行きたいところでしたが、長女の通院付き添いだとか、日曜日の水泳カウンセリングの付き添いだとか、用事が立て込んでいて、やっと今日、時間を作ることができたのです。

シナリオのエブリンは、ADHDという設定だそうです。
そして監督の一人もADHDなんだそうです。
私も見始めてすぐ、あ、これは、私の脳内にすごく近いと感じました。
私も、話があっちこっち行ったり、ほかのことを同時進行で考えたりするし、ほかの世界に行っていることもよくあるので、面接などの時
「話聞いてますか?」なんて言われてしまうのです。
私はASDなんですが。

こんなに自分の世界観に近い映画を見ることができて、さすがA24スタジオと感激しました。
普段、他人と違う感性を持ち合わせている私が、唯一同じだと思う感性の人に出会える瞬間。
それが映画なんです。

映画へのオマージュが満載で、映画ファンだったらもう涙、涙。
あの映画、この映画。涙、涙。
小指腕立て伏せ、いやいや、親指だったろう。

話の途中で、エブリンが、やさしいだけで、とりえのない地味な夫と結婚しなかったら、どうなっていたのだろう。
駆け落ちをしなかったら、どんな人生を送ることができたのだろうと想像すると。
画面が急に、ああ、懐かしの、ウォン・カーウァイ「花様年華」になるではありませんか。
もちろん、トニー・レオンではなくて、キー・ホイ・クァンですが。
トニー・レオンになりきったキー・ホイ演技が見ものです。
伸びきったポロシャツでなくて、黒いスーツで決めてます。

そこで、私はエブエブを見ながら、香港映画に思いを馳せます。
画面は次々変わって忙しいですが、私の頭の中はそれに加えて、「恋する惑星」だとか、金城武だとか、もはや香港映画があふれ出してきてしまって。
香港映画へ脳内を案内してしまうのってすごいです。

それでも、映画には集中しているので、とても楽しく見ることができました。
途中で、出ていった人が二人いましたが、
「やかましい画面だ。忙しすぎる映画だ、現実的でない。」などと思う方もたくさんいるだろうなと思いました。

だって、私の好きな映画だからね。
こういう映画は、感想を共有できる人が限られるでしょう。
まあ、巷では、高齢の人には難しい映画とか言われてますが、高齢の人は、この映画に出てくる、かつての映画のシーンや、ストリーの伏線が、無条件で、体に染みついているので、むしろ若い人より面白がることができそうです。

映画が終わった後、5階の劇場を出て、4階のコストコで、長女がお風呂に入るときにもぐもぐする、すいかグミを買って、3階の100円ショップでご褒美シールを買って、1階のお肉屋さんとお魚屋さんでお買い物をして、ああよい一日だったと、ほくほくしながら家に帰りました。
映画館の上の高層マンションの人は、いいな。
高くて私は住めないけど。
TOHOシネマズが、ホームシアターみたいなものだものね。

今日は、長女は大好きな通所で、母は大好きな映画を見て、それぞれ楽しい一日を過ごしました。

老障介護の理想みたいな奇蹟の一日でした。
めでたし、めでたし。

しかし、私の脳は、過活動すぎる。


エブリシング・エブリウエア・オール・アット・ワンス
ダニエル・クワン
ダニエル・シャイナート
2022


花様年華
ウォン・カーウァイ監督
2,000年


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