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隠淪医
2022年6月12日 20:19
≪失っていく過程≫施設に何年もいることになった母は自宅に帰りたがった。父は「帰ってどうするだ」といさめていたが、父だって帰りたかった。母は「おじゃんぼん(葬式の方言)で帰れる」と言って諦めていった。その後、父に言われたのか帰りたいと言わなくなったのが却って哀れであった。遠方で働いていた私は医師を辞めて帰ることも考えたが、地元にいた兄が亡くなったばかりであり、兄の妻もがんで入退院を繰り返してい
2022年6月7日 21:13
≪火つけて帰りな≫小さいころ、裏の小屋で黒い肉牛を飼っていた。私は馬のほうがかっこいいと思い、馬を買ってくれとせがんだ。父は諦めさせるために「馬はアメリカでしか買えない」と言った。私は「じゃあ、アメリカに馬を買いにいく」と言い張ったらしい。小学生も高学年になると、馬は日本でも買えるらしいことを知ったが、依然アメリカは憧れの国であった。中学生になると英語の授業がはじまったが、外国人には会った