統合失調症の好発年齢よりも若い世代を見ている児童精神科医にとって、目の前の子どもが統合失調症を発病するのかはとても気になる話です。
日本から面白い論文が出ました。CBCLは児童精神科の外来でもよく使う評価スケールですね。「ひきこもり」、「思考問題」、「攻撃的行動の欠如」がその予測因子として挙げられていますね。6−8歳の評価ですが、9−12歳、13−15歳ぐらいの評価もどうなっているのでしょうか、気になるところです。
ただ、臨床の現場では想像外の子どもが突如統合失調症を発病することも多々あります。ARMSを含めて、こちらも予見しながら、良い予防策を打っていけることが理想かもしれませんね。
Combined pattern of childhood psycho-behavioral characteristics in patients with schizophrenia: a retrospective study in Japan.
Journal BMC psychiatry. 2021 Jan 26;21(1);57. doi: 10.1186/s12888-021-03049-w.
Author Yukiko Hamasaki, Takao Nakayama, Takatoshi Hikida, Toshiya Murai
方法 . 対象者
DSM-IV-TRの基準を満たす20代の統合失調症外来患者54人
VS 性別と年齢をマッチさせた健常者192名
参加者全員の保護者を対象に、6歳から8歳までの幼少期の特徴を修正版のChild Behavior Checklist(CBCL)を用いて評価した。
結果
8つのCBCLサブスケールのtスコアのうち、「ひきこもり」(p = 0.002)、「思考問題」(p = 0.001)、「攻撃的行動の欠如」(p = 0.002)は、いずれも小児期の時点では臨床的な範囲内ではなかったが、統合失調症の後期診断と有意に関連していた。
結論
幼少期に健常者とは異なる精神行動特性を示しており、これが統合失調症の後期発症を予測する可能性がある