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お天道様と監視カメラ

監視社会の未来


現代ではテクノロジーと量産化により、安くて高画質のカメラが登場した。さらには記録媒体の容量増加、ネットワーク網の普及も相まって、さまざまな場所に監視カメラが設置されている。これからの未来は監視カメラによって人々の行動が記録され続け、ますます監視社会の波は進んでいくと見られている。

昔の監視カメラ

監視カメラの設置が進む一方、昔ながらの監視システムとも言える存在がある。それは神様や仏様といった、目に見えない存在のことである。但しそれが存在するかしないかは、宗教的な要素も含め、センシティブな内容なので深掘りはしない。
とはいえ多くの神社やお寺がある以上、少なくとも神様の存在が信じられていることは確かである。実際に私も参拝はするし、お墓に手を合わせる。また日本は八百万の神の国で、さまざまな場所やモノに神様が宿ると考えられている。
これは失礼を承知で申すが、人々の「悪意」というか「邪心」をコントロールする上で、とても合理的なシステムといえるのではないだろうか。これはまさに、現代社会の監視カメラと同じ効果を生んでいる。

目に見えないもの

「あなたの知らない世界」

昔、テレビで「あなたの知らない世界」という番組があった。1970年代に始まった番組で、夏休みのお盆などに合わせて再放送もされて、小さい頃はとても怖かったが見ていた。
内容はオカルト番組の部類で、幽霊や心霊現象をテーマにした再現ドラマである。現代ではコンプラ的にも放送しにくいようだが、子供たちにとっては“畏れ”があることを植えつけるに良い番組だと思っている。目に見えないあの世があり、誰かが私を見ているといった感情を芽生えさせるには、大切な夏の風物詩でもあった。

お天道様が見ている

昔はおじいちゃんやおばあちゃんが、何かに付けては「お天道様が見てるで」と言っていた。最近はめっきりと聞かなくなった言葉だが、刷り込まれた私は今でも何かあると「お天道様が見ている」と思ってしまう。
お天道様は、シンプルにいうと太陽信仰の神様であり、天照大神も含めた八百万の神様のことを指していると私は思っている。そんな神々しい眼差しが私を見ているのだから、なかなか悪いことはできない。悪事を働くだけではなく、身近な例でいえばポイ捨てなんてあり得ないし、道端にゴミが落ちていたら拾ってしまうのも「お天道様が見ている」からである。
これは監視エリアを外れたら映らないカメラとは違い、素晴らしい監視システムである。なんせ24時間365日は当たり前で、死角もなく、その目はどこへでも着いてくるからである。最先端なカメラでも、そんな機能はない。

内面まで見通す目

外面と内面

すべてを見通す「お天道様」の存在。それは外面だけしか見えない監視カメラを軽く凌駕していて、内面の心の中まで見通すから驚きである。それは「お天道様」が人間を外から監視するものではなく、内面からの信じる心によって作動するからこその効果である。この作用は強力で、監視カメラをどれだけ設置しても得られない安心感がある。また“悪事を起こした記録を残す”ために作られた監視カメラと違い、お天道様には“良心によって悪い行いを事前に止める”というベクトルの違いもあるからではないか。

あなたならどちらを信じるか?

きっと現代人は「今さらお天道様なんて」とか「所詮オカルトでしょ」という人も多いのだろう。神様や心霊が存在するかはわからないし、倫理観についても宗教や人の数だけ多様性がある。なので永遠に答えは出ないと思う。

では、あなたならどちらの人を信じますか?

「監視カメラがあるから悪いことはしない人」
「お天道様が見ているから悪いことはしない人」

私には選択肢はひとつしかない。

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