マスク越しにキスをする

いやはやえらいこっちゃ。
台風19号の次はコロナウィルスで
保護者会会長もてんやわんやである。
ことごとく行事は中止。
重要行事だけは何とか開催してくれと
思っているがどうなることやら。
シゴトの展示会出展は中止になった。
会場はガラガラだそうである。
主催者は非難轟々である。
判断を誤ったとしか言いようがない。
こういう時に企業姿勢が出る。
それが本性である。
小中高の一斉休校により
卒業式の予行練習が
そのまま本番になってしまった
学校もあるらしい。
可哀そうだ。
募る思いも思い出もへったくれもない。
私は目を閉じてハートに火をつける。
突然最後の別れの日がやってきた。
「彼女に今日こそ思いを告げるんだ」
「彼に今日こそ思いを告げるんだ」
二人はお互いの思いを知らぬまま
今日という日が来たのだ。
そしてその日二人は
お互いの思いを打ち明ける。
なぜ二人は今までお互いの気持ちを
わからなかったのだろう。
彼は来月からアメリカに留学する。
彼女はトーキョーの学校に進学する。
二人は目を潤ませながら
マスク越しにキスをした。
それを偶然見たサルバドール・ヱビは
足を止めて彼らに近づいた。
二人の耳にかかっている
マスクのひもの片方を同時にひっぱる。
びよーん。
マスクは外れた。
二人は驚いている。
サルバドール・ヱビはこう言った。
「最期の別れのキスなんだから
もっと派手にやりなさい。
MOTTO濃厚に。激しく!」
私がヱロス・サルティン〇ンコでなくて
彼らは救われたなと思いつつ
サルバドール・ヱビはその場を去った。

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