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新潟を「盛り上げる」ってつまりどういうこと?具体的な7つの指標

「地元を盛り上げたい」「地元に貢献したい」というのは様々な場面で見たり聞いたりする言葉ですが、一体どうやって盛り上げるのか?
地元の喧嘩祭りに参加する?地産地消のマルシェイベントを主催する?何とかの芸術祭?どれも素晴らしい活動ですが、定量的な評価は難しいですね。
本当の意味で「地元を盛り上げる」ためには正しいゴールを設定し、正しいやり方で活動し続けることが重要です。

前回のエントリーで人口減少は緊急かつ重要な課題ではないことが判明しました。人口が減る前提で準備を進めるのが現実的です。

では、正しいゴールとは一体何なのか?具体的にどうアクションすべきか?
結論から先に言うと正しいゴールは以下の7つの指標で、正しいアクションはこの7つの指標にどれだけ貢献できるか?となります。

(1)人口10万人当たりの自殺者数(自殺率)を下げる活動か?
(2)児童生徒1,000人当たりのいじめ認知件数を下げる活動か?
(3)1日当たりの平均歩数を上げる活動か?
(4)1人あたりGDPを上げる活動か?
(5)ジニ係数を下げる活動か?
(6)DCI(デジタル・ケイパビリティ・インデックス)を上げる活動か?
(7)人口1人当たりCO2排出量を下げる活動か?

この7つの指標に貢献することが「新潟を盛り上げる」こと言えます。
もちろん、それらしい指標は他にもありますが、特に重要な指標を取り上げました
それでは1つずつ見ていきましょう。

(1)人口10万人当たりの自殺者数(自殺率)を下げる活動
長きに渡って新潟県の自殺率は全国でワースト続きで収まる気配を感じません。

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つまり新潟県に住民票を置き、「今日現在生きている」ことが既に大いなる貢献です。
自殺問題については新潟NPO協会が非常に価値の高い取り組みを行っています。


(2)児童生徒1,000人当たりのいじめ認知件数を下げる活動
新潟県のいじめ認知率は高く、現場での把握が進んでいる印象です。
可視化はできたので、次の課題は認知したいじめに対してどう対処していくか?です。

参考:いじめ認知74.6件 昨年度・1000人当たり 全国4番目の多さ

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いじめの犠牲者の周囲には数倍、数十倍の傍観者を含む加害者が存在します。したがって、現状の倫理観にメスを入れないまま少子化対策で出生率を上げることは「加害者を量産すること」になりかねません。
かつてMr.Childrenが歌ったように、自分はもちろん、子供らを被害者に、傍観者を含む加害者にもせずにこの街で暮らすために、まず何をすべきでしょうか?

(3)1日当たりの平均歩数を上げる活動
前提として新潟県の平均寿命と健康寿命の差は男女平均で10歳程度となっています。これは10年もの間、要介護状態であったり要支援の状態が続くことを意味しています。

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健康寿命を維持するための要素は様々ありますが、特に握力と歩行速度が重要です。歩行速度を維持するためにはそもそも歩く習慣が必要です。
新潟県の1日平均歩数を見てみると6186歩で全国34位ですので新潟県民に歩く習慣を定着させることが地元を盛り上げることに繋がります。
※自殺の理由についても半数近くが「健康問題」となっており、健康問題への貢献は自殺率の低減にも良い影響を及ぼしそうです

参考:【図解】サルコペニアとは?フレイルとの違いは?特徴や対策方法

(4)1人あたりGDPを上げる活動
経済的な豊かさを表す「1人あたりGDP」について新潟県は406万円で全国順位は22位と中位となっています。
これはプエルトリコの1人あたりGDPよりちょっと高いくらいの数字です。

参考:「1人あたりの県内総生産」が高い都道府県ランキング! 1位の「東京都」に次ぐ2位は?【2018年版】

新潟の1人あたりGDP向上に貢献するためには1人当たり営業利益が100万円以上かつ事業所を新潟県内に置くことが分かりやすい指標となります。
起業して達成することも、既存企業の収益構造を改善して達成することも、企業内起業で新規事業を収益化して達成することも、既に達成している企業を維持することも"地元を盛り上げている"と言えます。
逆に起業しても営業利益<補助金になっていたり自営業やフリーランスでマイクロ法人を登記して利益分散や節税をしていると、現在のGDP計算方法においては貢献していないと判定されますので注意が必要です。

ちなみに内閣府は"一人当たりGDPの成長率は人口増加率とは無相関"と明言していますので、ここでも人口減少は問題となりません。

参考: 高齢化・人口減少の下での経済成長の展望

(5)ジニ係数を下げる活動
ジニ係数は社会における所得の不平等さを測る指標で、新潟県のジニ係数は全国43位と低く、貧富の差が小さいと言えます。
この水準を維持して1人あたりGDPを上げるには先述の健康寿命を延伸して高齢者の生産ポテンシャルを高めることがポイントとなります。

(6)DCI(デジタル・ケイパビリティ・インデックス)を上げる活動
DCIはEUのDESI(デジタル経済社会インデックス)を基に野村総合研究所が日本版に開発した指標で社会のデジタル度を可視化するものです。

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そのDCIですが、新潟県はワースト11位と低く、中でもインターネット利用頻度に代表される「ネット利用」とスマホ、タブレット、PCの世帯普及率に代表される「コネクティビティ」が特に低い水準となっています。
実家のネット環境を整えて、PCやタブレット、スマホの使い方を教えるだけでも相当な貢献ですね。孫との定期的なLINE通話も学習効果が高いです。

(7)人口1人当たりCO2排出量を下げる活動
せっかく1人あたりGDPを向上させても環境を犠牲しているのでは意味がありません。
新潟県の人口1人あたりの二酸化炭素排出量は全国18位で1位の大分県の半分程度、46位の東京都の2倍程度となっています。

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二酸化炭素排出量のおける家庭の割合は微々たるものですが、先述の車を控えて歩くことは健康にも環境にも効果があります。
新潟市の運輸部門の1人あたり二酸化炭素排出量は全国ワースト1位ですので、脱自動車の取り組みは意義深いです。
新潟県には世界最大級のバイオマス発電所ができますので、全国的に遅れをとっていた脱炭素の動きが加速します。

参考:新潟東港をバイオマス発電の拠点に

まとめ
まず、大前提として生きていることが最重要です。様々な事情や課題を抱えていても生きていることが最も大事です。2度言いました。

その上で、具体的なアクションの例として地元でスポーツコミュニティを運営して参加者に運動機会を提供するのも、貧困世帯向けに学習支援をして負の連鎖を防ぐのも、利益率の高いビジネスを創出してGDPを底上げするのも全て価値あることです。

取り組んでいるアクションが特定の期間にもたらす影響を試算してその価値を評価してみると、アクションの意味を再確認することができます。
そうすることで「新潟を盛り上げたい」がやがて「新潟を盛り上げている」や「地元を盛り上げようとしている」に変わるはずです。

他にも「こんな指標にチャレンジしてるよ!」など教えてもらえると嬉しいです。


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