見出し画像

新潟創生には第二創業がマスト、でも誰に任せる?

新潟県は新規法人設立が極めて少ない

新潟県は新規法人設立が少ないと言われて久しく、行政も起業支援に乗り出しています。

https://www.niikei.jp/98346/

新潟県は100年企業が極めて多い

新設法人率は全国的にもワーストクラスの半面、老舗企業出現率は全国3位とトップクラスです。また実数も1379社と東京、大阪、愛知、京都に次ぐ全国5位の老舗企業数を誇ります。
※ここでの老舗企業は創業100年以上の企業を指します

https://fukuoka-leapup.jp/biz/202105.248

100年企業が多いことは喜ばしいのですが、新潟県は1975年から2017年までの42年間の県内総生産増加率で全国ワースト9位です。
つまり、これら老舗企業の多くは新潟県の経済成長に寄与できていないと言えます。
※老舗企業出現率が新潟県より高い京都府も山形県もワーストに入りません

https://say-g.com/topics/4308

新潟県は経済成長率が極めて低い

また、2012年から2018年の6年間の経済成長率はワースト8位と最近の数字を切り取ってみても新潟県の経済は成長していないことが分かります。

新潟県は後継者が比較的多い

とは言え、後継者不在率では全国36位と健闘していて全国的に見てもしっかり事業承継が進んでいることがうかがえます。
衰退する企業の後継者にかかる負担の重さたるや推して知るべしです。

データのまとめ

(1)新潟県は新規法人設立が極めて少ない(全国46位)
(2)新潟県は100年企業が極めて多い(全国3位)
(3)新潟県は経済成長率が極めて低い(全国40位)
(4)新潟県は後継者が比較的多い(全国12位)


データから見えた新潟県が抱える課題

県内の多くの老舗企業が飽和期や衰退期に突入し、成長が望めない状況に陥っていることが明らかになっています。
PPM分析(プロダクトポートフォリオマトリックス)に基づくと、これらの伝統ある企業はかつての「金のなる木」を失い「負け犬」の局面に立たされてると言えます。
この現状は、新潟県が抱える課題を明確に示しています。

https://makefri.jp/strategy/6126/

第二創業の偉大な成功事例

第二創業における顕著な成功事例として、スノーピークが挙げられます。
ご存知の通り、スノーピークは1958年に金物問屋および登山用品店「山井幸雄商店」としてスタートしました。
この商店がオートキャンプ用品へと事業の転換を図り、第二創業を実現したのは、創業から30年後の1988年です。
その26年後の2014年に東京証券取引所マザーズ市場に上場し、創業から27年が経過した2015年には東京証券取引所一部に上場するという偉業を達成しました。

幸運にもマザーズ上場直前の2013年に山井さんの講演を聞く機会があり、抵抗勢力にどう対処したかなど、かなり生々しいお話に聞き入りました。

時価総額日本一を誇るトヨタでは、創業者豊田佐吉が1902年に豊田商会を設立しました。その31年後の1933年に、トヨタは自動車製作部門を設置しました。
また、任天堂や富士フイルムのような企業も、創業時の事業から大きく異なる分野で主要事業を展開しています。
これらの事例を見ても企業が持続的な成長を達成するためには、新規事業の開発や既存事業の再構築、つまり「第二創業」が不可欠であることが明らかです。

新規事業に消極的な県民性

この保守的な新潟県において第二創業、新規事業開発の機運をどのように高めるかは大きな課題です。直接風土や文化を変革するのは難しいため、小規模ながら成功するゼロイチの事例を積み重ねていくことが、地道ながらも効果的なアプローチとなります。さらに、ゼロイチ人材の育成に注力することで、新しい事業アイデアと事業開発の創出を促進し、地域の経済活性化に寄与することができます。

※群馬県のレガシー企業でチャレンジしている永井さんの著書は大変勉強になるのですすめです

ゼロイチ人材が新潟を救う

新潟が危機を脱し、持続可能な成長を遂げるためには、新規事業を収益化に導くことができるゼロイチ人材が、各企業に広く存在することが不可欠です。そしてゼロイチ人材を育成するには、実際のゼロイチ経験が必要です。
そのため、新規事業に対して消極的な傾向のある新潟の企業が積極的に取り組むことができるよう、行政の支援プログラムの設計にも工夫が求められます。
このような取り組みにより、新規事業開発を健全な投資の一部として定着させることが可能となり、代替わりのタイミングを待つことや、既存事業が傾いてから慌てて博打のように新規事業に着手するような状況を避けられます。

ハードオフの山本さんはインタビューで新潟の上場企業を今の38社から50社に増やしたいと仰せです。
ゼロイチ人材の活躍により、衰退期にある老舗企業が新たな輝きを取り戻し、成功を遂げる流れが生まれることは理想的なシナリオです。
この流れが加速すれば、「日本で最も衰退期の老舗企業が多い県」という残念な状況を、「日本で最も挑戦を積極的に受け入れる企業が多い県」へと変革することが可能になるでしょう。
このような変革は、起業家やそのサポート役となるナンバー2の人材を県内に増やすことにも繋がり、新設法人率の向上や企業の健康寿命の延伸にも寄与するはずです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?