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読書記録:貴族令嬢。俺にだけなつく (ファンタジア文庫) 著 夏乃実   

【淑女達の信頼に報いる為に、優しさを当たり前にしよう】


【あらすじ】
俺にとっては当たり前。でも彼女たちはとても信頼してくれる。

転生した俺を待っていたのは貴族たちとの学園生活。裕福で傲慢な貴族の家柄に転生したけど、あくまで現代人として当然の振る舞いを心がけ、身分差も気にせず周りに優しく振る舞う。

そんな振る舞いに貴族令嬢・ルーナがなついてくる。普段は無口で誰にも心を開かない彼女が、でも俺とだけは一緒に食事するし、恥ずかしがりつつも乗り気な様子でデートしてくれる。

「わたしはあなた以外の方と遊ぶつもりはありませんよ」

そんな学園生活の中、ほかの令嬢や侍女にもなつかれて--。

麗しく、品があり、不意に甘えてくる。そんな淑女たちとの関係はどんどん深まっていき--!?
甘々学園ラブコメ、開幕。

登場人物紹介

貴族転生した男が、淑女と交流を図る物語。


貴族とは富める者達であり、教養があるのに何処か平民を見下して、傲慢に接するのが常である。
貴族に転生を果たすベレトは、貴族になったからこそ敢えて現代人らしい意思疎通を図っていく。
そんな別け隔てがない彼の接し方に、次第に淑女達は惹かれ行く。
貴族令嬢のルーナや他の令嬢、侍女にも懐かれていく中で、麗しく、品があるのに甘えてくる可愛い彼女達との関係が深まる中で。
当たり前の優しさが特別に変わる。

誠実に生きる事、謙虚に生きる事というのは人生において何よりも大切な事である。

「実るほど頭を垂れる稲穂かな」という言葉が示すように。
決して立場におごらず、誰に対しても誠実に感謝を以て。
それこそが周囲との関係を円滑に進める鍵かもしれない。
そうは言ってもなかなか有言実行出来ないのは、自分の築き上げてきた見栄やプライドが邪魔をするのである。

現代日本で社畜生活を強いられたある男。
かの男はある日の深夜、突発的な交通事故に巻き込まれら自身の死期をさとった。
死んだ、かと思えば己の目に映ったのは見慣れぬ自分。
その瞬間、彼はとある異世界のギーゼルペインという国の侯爵家の一人息子、ベレトに転生している事を直感的に理解する。

一先ず自覚するのは、体の元の持ち主であるベレトが傍若無人、横暴を絵にかいたような貴族の悪い面を煮詰めたような人物であるという事。
しかし、そんな生き方は自分には出来ないと。
自分の価値観や感覚を信じて、無自覚に公明正大、真反対の方向へと中身を改めて、襟を正す。

今まで理不尽に当たり散らされるだけだったお付きのメイド、シア。
真っ先にその変化を目の当たりにし大いに戸惑いつつも、その変貌を好意的に受け入れ。
その話を聞いた級友であり、「紅花姫」との愛称で呼ばれる令嬢、エレナは。
警戒と興味の元に接近し、ベレトの何とか絞り出した理由と説明に一応の納得を見せ、自分と近しいシンパシーを感じていく。

そして、ひょんな事から図書室で出会った「本食いの才女」、ルーナは。
彼の悪い噂から最初は警戒するも、屈託のない彼の朗らかさに心に築いた壁を壊していき。
物静かな表情に隠れていた豊かな表情を、信頼出来る彼にだけ見せていくようになる。

あくまでも、日本人として当然で、寧ろ日本人だからこその当たり前の感覚。
その行いは弱者を虐げる貴族社会においては異端であり。
だが、人のあるべき姿としてはまさに正道。
そして、気が付けば彼に惹かれる者達が、彼の周りで信頼の輪を形成していくのである。

ベレトの良い意味でのギャップに惹かれた彼女達と繰り広げる、慈しむように紡がていくラブロマンス。
紳士でエレガントな立ち振舞いが、予想以上に彼女達の心を掴んでいく様は、転生前の貴族達の態度がいかに横柄だったのかがよく理解出来る。

そんなベレトも常々と考えていた。
子供の頃のようなピュアな恋愛はもう出来ないのだろうかと。
やはり、成熟して大人になると、見た目や性格だけでなく経済力や肩書きが必要となってくる。
異世界転生なのに、ファンタジーもチートもないシビアな世界で、彼が唯一誇れる物。
それは、相手を気遣う誠実さと優しさ。
ビフォーのベレトは学園一の嫌われ者だった。
転生した人格が入る前の彼は、身分を笠に着て好き放題する傲慢で性悪なクズのボンボン。
その姿を見られるだけで、周囲が恐れられたり、軽蔑されたり、避けられたりと酷いあり様。
ならば、転生を果たしたこの世界でその低評価を覆そう。

異世界の貴族だけど、現代人の常識のある行動を取り続ければ、必然的にモテるのは自明の理。
侍女に高圧的な態度を取っていた転生前のベレトから脱却すべく、現代日本の倫理感で気遣いの精神を発揮していく。
それもその筈、時代や国によっては、女性の扱いや態度がかなり顕著に変わっていくから。

これまで交わる事のなかった縁が次々と絡まり始め、悪評は払拭されて、着実に向上していく彼の評価。

そんな彼に言い寄ってくる女性達は皆、見目麗しくて可憐で。
クーデレ、ツンデレ、素直デレと各種属性を持った少女達を一人に絞るなど到底出来る筈もなく、皆を幸せにするルートを追いかけて、ハーレムの楽園を目指す。

傷付け続けた彼女達に心から信じて貰う事で、悪しき風習が蔓延る貴族世界を変えていくのだ。



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