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読書感想:双星の天剣使い1 (ファンタジア文庫) 著 七野りく

【双星の英雄の天下無双が、劣勢の戦乱に活路を切り拓く】



【あらすじ】
無名の青年が天下無双の大活躍! 彼の前世は、最強の英雄だ!!

帝国北方の辺境を守る名門・張家のご令嬢ながらも、文武両道、才色兼備、民からも慕われる美少女、白玲(ハクレイ)。

「貴方を助けてから――十年間、一緒に居ました。私が、貴方の背中を守りたいんです」

「……全く、困ったお嬢様め!」

一〇〇〇年前の不敗の英雄が転生した俺・隻影(セキエイ)を死の淵から救ったのが、彼女だ。

それ以来、俺達は張家で兄妹のように鍛錬して暮らしてきた。

だが、時は戦乱。異民族との戦争が始まり――

「若の剣さばき、見えたか!?」「弓も百発百中!?」

俺は前世の武才を活かして、白玲と共に天下無双の大活躍!

転生英雄と美少女達の戦乱ソードファンタジー、開幕!

Amazon引用

戦乱の時代で乱れた天下を統一する物語。


悪政と異民族、野賊に虐げられる民を救おうと、帝国北方の辺境を守る軍才·白玲。
数多の戦場を駆け抜け、傷一つ負わずに不敗。
そして、かつての英雄と名を馳せた隻影は彼女から命を救われる事で、張家で兄妹の様に鍛錬を続けた。
しかし、玄帝国の圧倒的な侵攻は容赦なく始まり、苦境に立たされる隻影達。
それを物資面で支援する明鈴の力も借りて、権謀術数が渦巻く勇将との駆け引きを打ち破る。

隻影は千年前の伝説の英雄「皇英峰」の生まれ変わり。
とんでもない武勇を持ちながら文官志望で掴み所のない少年。
そんな彼が、過去に自身を救ってくれた幼馴染のお嬢様と時にぶつかり、時に手を取りながら戦乱の世を切り拓いていく。

歴戦の猛者として野を駆け回った武将・英峰が千年後に転生した世界。
隻影として生を受けた彼は、兄妹のように育った美少女・白玲と共に戦乱の世を過ごしていた。
英峰としての記憶を朧気ながら残す彼が、前世の武の才を活かして新たな激動の時代を駆け抜けていく。

玄帝国の有能な皇帝アダイの操る戦略に対し劣勢を強いられる中、仲間との絆を積み上げつつ、剣や弓を武器に強敵相手に戦い抜く様が、まさに無骨で荒々しい戦場の過酷さを物語っている。

過去の英雄の生まれ変わりといえど、敵は強大な異民族との戦い。

天剣双星の二振り「黒星」と「白星」。
隻影と白玲の黒白の2人にまさに名は体を表すように相応しい名前。
この2人に仕えられるなら死ねる。
 命を懸けて二人を守りたいと思える兵達の心情が理解出来る、二人の圧倒的カリスマ性。

都が商業的に繁栄を極め楽観論が支配する都に対し、玄帝国の圧力に前線は危機感を高めるという状況で、当主不在のまま突如始まった玄帝国の大侵攻に立ち向かう隻影と白玲。
難しい状況で覚悟を決めた隻影の的確な判断や奮闘が光る展開。
玄帝国皇帝との因縁や物資面で支える王明鈴など脇を固める仲間達の魅力を楽しむ事が出来る。

果たして魔法や魔術のない世界で、剣と弓を活かして強敵にどう立ち向かって行くのか?
現実的なシビアさが常に二人にのしかかる。

野盗を討伐したりして着実に功績をあげる一方で、敵国・玄に目を付けらる隻影。
そんな隻影に想いを寄せる白玲と隻影が信頼する友人・明鈴との女の戦い。
玄との様々な作戦の駆け引きや、赤狼の異名を持つ勇将グエンと隻影・白玲の共闘は、手に汗握る激動の展開だった。

とある異世界に存在する煌帝国、その皇帝に仕え、だが凡庸な二代目の皇帝には恐れられ疎まれ、冤罪をかけられ。
幾多の戦場を不敗のままに駆け抜けた先代将軍、英峰は盟友である大丞相、英風に神代に打たれたと呼ばれる双剣、「天剣」を託し。
自ら命を絶った。

だが、千年の後、彼はという隻影という名で転生し。
現在、大陸を南北に分かつ大河以南を統べる栄帝国の北方を守る張家の居候として十年来世話になっていた。
前世の記憶から今回の人生は文官を目指そうとするも、衰えたとはいえその武は失われる事無く。
兄妹のように育った張家のお嬢様、白玲と共に鍛錬しながら日々を過ごしていた。

文官になりたいと溜息をつく日々、だがその日々に静かに戦火が忍び寄る。
白玲の初陣である廃砦に巣食った野党の討伐、だがそれは北の大国、「玄」の軍隊の罠であり。
何とか救援に駆け付け、四人の猛将の一人、「赤狼」のグエンと一線を交え何とか退ける事に成功するも。
増援養成のために訪れた帝都は、怠慢に満ち。
宮殿では白玲と親父が貶され、義で怒り実権を握る老宰相の縁者に手を上げてしまった事で、隻影は帝都からの追放処分を受けてしまう。

その隙を狙い、廃砦を改修した前線基地に迫る敵の大軍。
少数精鋭で駆けつけ、尊い犠牲の中で敵の将を討ち取れど、それは前哨戦に過ぎず。
密かに同盟国であった「西冬」を寝返らせ、周りから孤立させると言う深謀遠慮な策を仕掛けていた「玄」の皇帝、アダイが二十万を超える大軍を率い迫りくる。

当然、こちらの手勢はごく僅か。
いくら隻影が武勇に優れていても、単騎で圧倒的な戦力差を覆すことはさすがに難しい。
白玲を都への遣いへ出し、自身は手勢を率い大軍との激突に突入する隻影。

共に戦うのは、隻影の戦場のカリスマに惹かれた強者達。
策を弄し、武を示し、何度も侵攻を跳ね除け。
それでも戦力差は如何ともしがたく、遂に彼等は追い詰められる。
圧倒的力量差に絶望の淵に沈む。

もう無理なのか、終わりなのか。

否、希望は後から駆け付ける。
都の大商人である王家の娘であり、隻影に懸想する麒麟児の明鈴が隻影との語らいの中から生み出した大船団で、張家の軍隊を送り届け。
彼女へ隻影が伝えていた無理難題、「天剣」は彼女の手により入手され、彼の元へ届けられる。
白玲と分け合い、抜かれた双剣。
選ばれし者にしか抜けぬ双剣が抜かれた時、再び双星は輝き、伝説が蘇る。

けれど、これは始まりに過ぎぬ。
そして戦況は、始まりから絶望的。
そして敵は隻影にも勝る人材を多数そろえた帝国。ここからどう勝ち目はあるのか?

劣勢を塗り替える歴史に名を残す躍進を双星は果たせるのだろうか?














 



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