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沈みかけの船より、愛をこめて 幻夢コレクション(朝日新聞出版) 著乙一 中田永一 山白朝子 安達寛高

【各々が人生の岐路と向き合い、沈みかけの船の舵を切る】


人生の曖昧な境界線に立つ受難の時代を生きる子供達を多角的に切り取った短編集。


破綻した家庭内での、子供達のそれぞれの苦難が、幻夢のような不可思議さを以て。
奇想と叙情が絶妙に両立されながら、見事に描かれている。
どんなに両親を憎んでいたとしても、それを他人に馬鹿にされる事は耐え難い苦痛が伴う。
未熟な己自身の成長を誰よりも望む子供達。
他者を妬み、自らを蔑ろにしても何も始まらない。いくら家族といえど、所詮は他人。


各々の航路を往く彼らの根源には愛があるのだろう。


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