見出し画像

楽しみながらレコード再生のベンキョー中なのです。(アナログターンテーブルを新調したの巻)

新年早々に残念すぎる訃報が連発です。
特にJeff Beckさんはワタシにとって大神様でしたので、ショックすぎてもう言葉もありません。YMOをリアルタイムで聴いて育った身としては、ユキヒロさんご逝去の報も大変に悲しいです。ご冥福をお祈りします、どうか安らかに。。

さて、気を取り直しまして今週号です。
日独の名品アナログカートリッジを入手して、それらのキャラクターを検証してみた前編の続きになります。

*THORENSのTD320を入手しました。

1980年頃にリリースされ、今でも多くのユーザーが愛用しているTHORENS(トーレンス)のTD320。この機種はトーンアーム付(2種類)とアーム無の合計3バージョンがありましたが、ウチのコはSME 3009 S2 Improvedが搭載されたヤツ。前編に登場するELACのカートリッジと一緒に受け取りました。

まだカートリッジを装着していない状態です。

同じギョーカイに生息する友人S氏が『コレ、使え!』とワタシに提示してきた個体です。彼が『使え!』と言った理由はいくつかありますが、端的に申せば『ベンキョーしろ!』ということだと思われます。


*なぜベンキョーする必要があるのか、自分でも分かっていました。

ワタシは80年代中旬に、アルバイトで音楽とオーディオの仕事を始めました。横浜の大きめな商業施設にて、CDショップ・スタッフとオーディオ機器の販売を兼務。初めの2年間は通学しながら(してたかな?)、学校を卒業してからもそのままズルズルと居座り、結局は90年代のアタマまでソコで働いていました。当時流行った、いわゆる『フリーター』のハシリです。真剣に音楽を演っていましたからね、就職しないでトンガっていたワケです。

80年代中旬といえば、世の中は色々とデジタル化にまっしぐらで、アナログレコードやターンテーブルなんていう物体は完全に『オワコン』な扱いでした。1982年に新しい音楽フォーマットとしてCDがリリースされ、それに伴い再生装置の製造販売も一気にデジタルな方向にシフトしていきます。

紆余曲折あって、ワタシは90年代中旬に米国のオーディオ商社に就職するのですが、そんな自分史がナンだ?といいますと、このお育ち過程が『実はあんまりアナログレコードの再生について学んできていない』という事態に陥った原因なのです。

オーディオマーケットの商流は、
簡単にいえば、メーカー(輸入商社)〜小売販売店〜ユーザーというフローになります。販売店に勤務する方はユーザーとの商売になりますから、顧客が所有する古い製品(ビンテージ)に触れる機会も多く、歴史を肌で感じながら色々な知識を得ることになります。

メーカー勤務のヒトっていうのは、自社製品を販売するために必要な知識と知恵を蓄えていくワケです。要するに『いま、自分たちが作っている製品を販売店に売る(卸す)』ことが仕事になります。よって販売店勤務の方々と比較すると古い機器に触れる機会が圧倒的に少なく、よっぽど興味をもってアンテナ感度をアゲていないと、往年名品の素晴らしさを体感することが難しいのです。

こんな環境で育ったワタシです。アナログレコードや再生機器に対する知識が足りていないと、ずーっと自覚しておりました。ちょっとコンプレックスだったともいえます。


*だからいま、アナログレコードの再生を必死に楽しんでいるのです。

ARのターンテーブル、テクニクスのSL-1200 Mk4をそれなりに長い間所有・使用してきたのですが、この度TD320を入手して『やっと、まぁ、なんとなく、一丁前風』になれたような気がします。TD320と3009 S2 Impのセッティングは超難関ってワケではありませんが、色々な調整にすごく敏感で『おい、ちゃんとやってくれよな』と機器たちが語りかけてきます。

メインターンテーブルの図。
ベルトドライブ方式です。
ベルトに伸びはありませんので、ちゃんと回転精度も出ます。
サブターンテーブルを置いて。
純正のゴムマットを敷いて。
アームの高さを調整して。
オーバーハングの調整して。
こんなテストレコードを再生してみて。

楽しいねぇ、こういうの。やっぱり機械イジりはやめられませんな。


*友人Sはお見通しだったのでしょう。

フローティング・サスペンション式のターンテーブル、軽いトーンアーム、そして軽針圧&高コンプライアンスなカートリッジ。実に見事な調和です。TD320入手当初は『アームを3009Rに変更して、もうちょっと重いカートリッジも楽しもうかな』なんて思っていたのですが、それはちょっと違うとすぐに感じました。

ELACのカートリッジを装着したこのシステムは、もう本当に素晴らしい音色を奏でています。TD320のセットアップはコレにて一件落着。もう他のカートリッジは装着しません!

というワタシの着地点が、友人Sには見えていたのでしょうね。『アイツ(ワタシ)は絶対にココでズッポリと楽しむだろうな』と。

JOHN MAYERのデビュー作『Room For Squares』。
コレ名作だと思います。彼の作品の中ではコレが一番好きです。
こういう音源もスッキリ、キッチリと再生してくれます。ちょー嬉しい。


*今週のまとめです。

しかしココでひとつ問題が発生しました。
TD320 + 3009 S2 Imp + ELAC ESG 795Eの組合せが絶妙な塩梅すぎて、もうこの調和を崩せません。そうするとこのシステムにおいては『新しいカートリッジを試さなきゃ』とか『リマスター仕事の音源を検聴するから、カートリッジをGRACEに変えなきゃ』とか、仕事モードな使用が出来ません。

今回TD320を導入するにあたり、長年使ったテクニクスの名機SL-1200 Mk4を手放したのですよワタシ。あのターンテーブルは前述のような仕事モードな使徒において、大変に便利で優秀でした。えー、ダメじゃん。ひょっとしてワタシはまたSL-1200を買うのか?結局は『愛でる物にはメイン機とサブ機が必要だ』っていう持論が当てはまってしまうのか?

さあ、どうする?ワタシ。面白くなってきやがった!
(って、買うに決まってるじゃんね)

ではまた来週に。
2023.1.18







この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?