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主治医不可欠。(音楽紹介付き)

何が言いたいかって、古いモノやマニアックなモノを手元に置いて愛でるなら、やっぱり信頼できる主治医が不可欠ってことですよ。新たにやってきた逸品が気持ちを整理してくれた、みたいな話です。

今号のタイトルを考えていたら、
急に脳裏に浮かんだジャケ写。
邦題『治療不可』
なんのこっちゃ。。

*お宝入手!

お宝というか遺品というか。
2022年に亡くなったワタシの友人が残していったオーディオ機器を、いくつか使わせて頂くことになりまして。逸品をひとつ紹介します。

Passモードありなインピーダンス切替スイッチがついてる。
色々なカートリッジの試聴をするワタシには、
どうしても必要な機能なのです。
背面ね。

テクニクスのMCカートリッジ用昇圧トランス、SH-305MC。1981年発売。
MCカートリッジでアナログレコードを聴くために使う昇圧トランスです。
写真ではサイズが分かりづらいけど、手のひらに乗るくらいの大きさ。

大きくないけどめっちゃ重い。なんと4.5kgもある。ほぼお米を1袋分だわね。こんなに手の込んだモノ、今じゃもう絶対に作れません。内部の画は載せないけど、フタを開けて覗いてみたところ、ちょー厳重なシールディングが施されキチンとした線材が使われていました。

電源を必要とする機器ではないので、大切に使えば一生物です。壊さなければ壊れない。亡き友人はモノをとても大切に扱うヤツだったから、きっと大丈夫だろうなと思いつつ、本結線する前にテストしてみたら完全に無事。

そしてとっても美音なトランスでした。この頃の工業製品にはお金も手間も丹精も込められているよね。タカツグくん、ありがとう。キミが大切にしていたモノは、引き継いでワタシが大切に使うよ。



*お宝が来たから決心ついた。

ウチの事務所、2台のターンテーブルが回っています。

テクニクスSL-1200 Mk7と
THORENSのTD320。

前述SH-305MCは、SL-1200 Mk7のラインで使うことにします。
周辺機器をキチンと揃えてちゃんとセッティングすると、SL-1200って相当美音を発します。DJ用と侮るなかれ、日本が誇る素晴らしい工業製品です。

なので決心しました。TD320をメンテナンスしようと思います。
SL-1200 Mk7が安定した音を奏でてくれるので、今ならTD320が不在でも仕事に支障をきたさない。

これからイジられるヤツ。
ちょっと身構えているようにも見える。



*まずは自分で出来るコトから。

TD320はベルトドライブ駆動方式です。ずっと『このドライブベルト、きっと伸びてるよなぁ』って気になっていました。なので交換します。

この状態が平常時ね。
ゴムマットを取ると
金属製のプラッターが現れる。
プラッターは2重構造になっている。
外側の大きなヤツを外すと
スピンドルと一体になった駆動用プラッターが残る。
こんなふうにベルトによって駆動している。

で、ゴムを交換してみる。

純正品ではないけど新品。
左:新品。
右:今まで使ってたヤツ。

おぉ伸びてるねー。あとは逆の手順でTD320を組み立て。



*せっかくだから。

考えてみればTD320はもう40年以上昔に発売された製品です。ベルトのみならず内部の電気パーツも劣化しているはず。

書きました通り、SL-1200 Mk7のラインがすっかり本領発揮しちゃっているので、この際だからTD320を本格的にオーバーホールしようと思います。いまここでキチンとメンテナンスしておけば、これからも不安なく使い続けることができる。

今後、状態の良い古い工業製品に出会える機会はどんどん減少します。雑に扱われてしまった個体は朽ちてしまうし、調子の良いモノは現オーナーが手放さない。クルマもバイクも時計もカメラも、みーんなそうです。でもソレを欲しがるヒトがいるから相場はどんどん上昇してしまう。

幸いなことに、古いオーディオ機器をメンテナンスしてくれる仲間がいます。なのでキチンとプロにオーバーホールをお願いしてみようかと。可愛いTD320とはしばしお別れになるけど、きっと完全健康体になって帰ってくることでしょう。この件については後日またレポートします。

そうそう、ちょっと宣伝。
メンテナンスをしてくれるエンジニアさん、あらゆるオーディオ機器を診ることができるヒトなので、お困りの方はぜひお声をかけてください。『ひとりで持てない重量物は、ちょっと・・』と言っていますので、アナタがお持ちの『普通のヒトがひとりで持てる機器』について相談にのりますよ。

こういう主治医が身近にいてくれるのは、本当にありがたい。



*ワタシにできるコトって。

ワタシはエンジニアではないから、何かを修理したりするドクターにはなれないけど『コレはカッコいいぜ!』みたいな音楽は紹介できるかな、と。せっかくこうやって毎週投稿を続けているから、なんかちょっとでも人様のお役に立つことができれば幸いなのです。

前号でApple Musicの事をコッテリ書いちゃったから、今号でもシメとして、ソコで聴くことが出来るイカした音源を紹介しときます。

音質はまぁちょっとアレだし内容もまぁまぁ激し目だから、そんなつもりで聴いてみて。激し目でちょっと切な目。こういうジャンルで最後まで完走できるアルバムって案外多くないけど、このアルバムはゴールまでイケます。

また来週、お目にかかりましょう。

2024.3.27




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