映画感想文【法廷遊戯】
2023年 製作
出演:永瀬廉、杉咲花、北村匠海
第62回メフィスト賞受賞の小説が原作。予告編が面白そうなので観てみた。
これから年末にかけて観たい映画が多すぎる。
当初は法廷における被告と原告、そして弁護士と検察のやりとり、ゲームのような「異議あり!」を描いたものかと思ったら随分違った。いい意味での予想外である。
一応ミステリなので謎があり真相があるのだが、勘のいい人ならばそこにはすぐたどり着くだろう。めちゃくちゃ難解というわけではない。
それよりも本作で重要なのは、事件に関わる人間の愛憎模様である。
どこがどう良かったか、これを書くともうばっちりネタバレになりそうで難しいところ。出来ればそれは劇場で観てほしいと思う。杉咲花、初めて意識したけど映りが良いな〜。いい演技だったな〜。
永瀬廉と北村匠海もなかなか良かった。謎が全て解き明かされてから改めて彼ら二人のやりとりと、映画のラストシーンを思い返すと感慨深いものがある。
欲を言えば北村匠海の内面をもっと描いてほしかったなと思う。原作ではあるのだろうか、気になるところ。
冤罪に関する議論は尽きることがない。
人間は間違いを犯す生き物だから、断罪にも間違いがないわけがない。それを徹底的になくす為に司法は整えられ、慎重な捜査と裁判が行われる。
しかしそれでも絶対ではない。人間が人間を裁くことの限界をひしひしと感じる。
とは言えそれがなければ人間社会は成り立たなくなる。法律は人が安全に社会生活を営むために絶対必要なものだ。検察は冤罪を認めない、とあるが、そりゃホイホイと「ごめんね〜!間違えちゃった、無罪無罪!」などとやられたら信用もなにもあったもんじゃない。そこもまた難しい。
映画はそうした司法制度に対する矛盾や憤りをぶつける。現行の制度をただ受け入れ、いざ己の身に降りかからなければ知らないままという人間は多い。自分も含め。
より公平で今の社会に適したものにしていくためにも、まずはこうした形でも知ろうとするのが重要なのだと思う。
余計な話の極みだとは思うけど、主人公の名前について。
清義とかいて「きよよし」と読む。ロースクールの同級生はこれで「せいぎ」とあだ名を付けていたが…、そーゆーのちゃんと説明してくんないとわっかんないんだけど!?文字と映像の越えられない壁を感じる。
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