大豆から!?

2015年1月20日
友人が、
「明日はえびん家で豆腐を作るぞ」
とか言って、突然やってきました(笑)
彼と出会ったのは、2001年。
韓国縦断野宿旅の仲間で、1ヶ月間、野宿で寝食を共にした家族のような人。
ほとんど弟ですわw
彼は聴覚障害があり、プロボクサーを目指しているのですが、日本では、「聴力何デシベル以下の人はプロボクサーになれない」っていう欠格条項により、聴覚障害者はボクサーにはなれないんだって。
知らなかったよ、そんな欠格条項があるなんて。
「なんでダメなの?」
って聞いたら、
「ゴングが聞こえないのと、グローブをつけてると手話ができないかららしいよ」
との答え。
「でも海外では、ゴングが鳴る時にコーナーポストがフラッシュするようになってるし、ボクサーとのコミュニケーション方法もレフリーにある程度リクエストできるから、そんなに問題ないんだけどね。」
と。
なんで海外でできることが、日本でできないんだ?
なんでなんだ?
まったくナゾだけど、とりあえず日本でプロになる道はほぼ断たれているということで、プロになれる可能性があるらしいメキシコに渡り、トレーニングしてるところだそうな。
で、なんでわざわざ豆腐を作るのさ…?
って聞くと、
「身体作りのために豆腐を食べたいけど、メキシコには豆腐がないから(あるかもしれないけど、高くて買えない!)。
あと、うまく作れるようになったら、メキシコで資金集めのために豆腐を作って売るよ!」
とな。
ふーん…。
「大豆はいっぱい売ってるからね!」
ふーん…。
……。
って…大豆から作るの!?
豆乳じゃなくて!?( ̄□ ̄;
「うぅん……。ニガリから。」
は!?Σ(゚д゚lll)
「メキシコにはニガリもないからね。
でも海はあるから、海水でニガリを作る練習もしなきゃ。
だから、今日は、海水汲んできたよ。」
どこで!?Σ(°□ ° )
「横浜w ほら、このペットボトルにたっぷりw」
ワカメみたいなの浮いてるっちゅーに!!Σ(゚д゚lll)
「昆布かもよwww」
なんてやり取りしながら豆腐作り開始。
海水をくつくつ煮ている間に、
一晩水に浸けてふやかした大豆をちまちまミキサーにかける。
できあがった大豆スープを煮込んで豆乳作り。
それを濾すと、豆乳とオカラのできあがり。
その頃には海水もずいぶん煮詰まって、一度濾す。
濾した後に白い固まりが残ったので、
「わ~!これ、塩じゃない!?(°▽ ° )」
って舐めてみたけど、ほとんど味なし。
あれ…?
「えーと…。最初に濾した時に残るのは、海水に含まれるカルシウムと不純物です………ってネットに書いてあるよんw」
早く言いなよ…。横浜の海の不純物食べちゃったじゃん…。
なんだよ、不純物って…。
その後、再度煮詰めて煮詰めて煮詰めて、白いシャーベット液みたいになったものを濾すと、ニガリと塩のできあがり。
今度こそ!
と、フィルターに残った白い結晶を舐めてみると、めちゃめちゃしょっぱい
∑(゚Д゚)
塩~!!
日本酒呑みて~!
できたての豆乳を75度に保ちながら、
できたてのニガリを豆乳……いや、投入。
あとは、豆乳が固まって豆腐になるのをじっくり待つばかり。
待つこと15~20分くらい?
じわじわ固まってきた豆腐を、サラシに移して、
絞って水気を切ってできあがり。
わ~い!
そんで、これ、どうやって食べる?
「豆腐を作ることしか考えてなかったから、どうやって食べるかとか、考えてないw
あとはえびに任せる!w」
ということだったので、
できあがったほやほやのお豆腐の半分は、副産物の横浜の塩と柚子胡椒でいただき、
もう半分は、クルミたっぷりの白和えにしていただきました☆
めちゃめちゃ美味しかった☆
ご飯食べながら、いろいろ彼と話をしました。
そもそも、なんでボクサーになりたいのか?
彼は1才半で耳が聞こえなくなって、中学校からは普通校での授業にもついていけず、友達とのコミュニケーションもうまくいかなくなり、ちゃんと人と向き合うことがなかなかできなくなったんだって。
で、14才からボクシングを始めたけど、その中に、「人と本気で向き合う」というコミュニケーションを見出だしたんだとか。
ボクシングの時には、自分が障害者だからと手加減されたりすることがなく、お互い本気で勝負する、
その「本気」の部分にのめり込んでいったって。
「トップクラスのボクサーには芸術を感じて鳥肌がたつ。
将来、そういう芸術的なボクサーと戦いたいなぁーw」
そうかそうか。
普段は、
「資金集めに豆腐作るー」
とかおちゃらけたこと言ってる彼だけど、
そうやって自分の生きる場を模索し、目指してる姿は、なんだか清々しい。
ホントにプロになれるのかどうか知らんけど、できることは応援するぞ、弟よ。
これからも、たまに、おねーちゃんのとこに、ご飯食べにおいで◎
追記
手が思うように動かない私は、手話ができないので彼と口話で話します。
彼も、基本的には、手話なしで「言葉」で話します。
1才半で聴力を失った彼の発音は、かなり不明瞭で、慣れないと聞き取るのが難しいらしい。
でも、私はいつからだかまったく覚えてないんだけど、彼の言葉のほぼ正確に聞き取れる。
彼曰く
「えびちゃんは、センスいいよ。
もしかすると、僕の家族より聞き取れてるかもね(笑)」
とのこと。
やった(笑)
彼とのコミュニケーションは、まっすぐに顔を見つめ合わないとできない。
ちゃんと、目と目を見つめ合って彼と会話する時間が、なんだか私は大好きなのだ。

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