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全ての管楽器で使える音階練習その1【音階練習ができれば曲が上手くなる!!】

さて、今回から音階練習シリーズとして、週二回の配分で五回に渡って私がやっている音階練習を紹介します。

音階練習と一口に行ってもロングトーンと同じように、ただ音階を音を出してなぞるだけでなく、そこに色々な意味を持って練習することが大事です。

このテーマについての動画はこちら↓
【音階練習】スケールの基礎練習講座【音階練習を軽んじるべからず】


音階とは、調とは何か

西洋音楽には調というものが存在します。ハ長調とかヘ長調とかト長調とか大体、曲名の隣に書かれているものです。


ベートーベン 交響曲第五番「運命」 ハ短調 作品67

このハ短調と書いてあるのが調です。これはドレミのドから始まる短調の音階で書かれているということです。ちなみにフラット3つの調です。
この調にはそれぞれ性格があって、明るい調、暗い調、柔らかい調、若々しい調、剛気な調、色気のある調など感じ方も人それぞれですが、様々な要素を音楽に与えてくれます。この音楽の基礎にある「調」を理解し、感じることによって音楽の感じ方や受け取り方も随分変わります。特に我々演奏家にとっては演奏する時の感覚が大きく変わります。
ではそれをどう鍛えるかというと、楽器練習の基礎、音階練習です。この音階練習は様々な応用がきき、曲を演奏する時にもとても役立ちます。ということで今回は私がやっている音階練習法を紹介します。


実践

今回は動画と同じようにヘ長調で解説します。これは大抵、ファゴットで一番最初に習う調であり、2オクターブが一番簡単にできるからです。もちろん、初心者は1オクターブで構いません。他の楽器の人は自分のやりやすい調から初めてください。これから紹介することを全調でできるようにしていきましょう。

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基本的にこの形でやってみましょう。主音を四分音符、他の音を八分音符で考えます。

一番したと真ん中のFの音(ファの音)はファゴットにとって一番鳴りやすい音です。その音の鳴り近づけるように他の音も鳴らしていきましょう。まずは均一に音が並ぶことを意識します。

音量はロングトーンでも解説した通り、様々な音量で練習しましょう。最初はやりやすい音量で。そして大きい音から小さい音まで同じ音質で演奏できることを目指しましょう。


・スラー

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特に初心者は最初はスラーから始めましょう。指を間違えず、音がはっきりと変わるように指を回しましょう。動画でも言っていますが、最初と最後の音でチューナーで音程を確認するのも良いでしょう。ずっと見続けるのは良くありません。

最も大事なのはしっかりと息を入れて楽器を鳴らすこと。中上級者は音が開かずにまとめて一定の流れでスラーが綺麗にかかることを意識しましょう。


・スタッカート

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次はスタッカートです。これもしっかりと息を入れることが大事です。そしてアンブシュアも気をつけましょう。どうしてもスタッカートで口の形が開いてしまう人がいます。しかし、しっかりとしたスタッカートはしっかりとしたアンビュシュアと息によって作られます。音をまとめることを常に意識して口の形も音も開かないでまとめましょう。特に大きい音で演奏するときに気をつけましょう。

動画でも解説していますが、小さい音でスタッカートするときに息も少なくなりがちです。しっかりと息を吸って息を豊かに入れるイメージは常に持ちましょう。そして音質を保つことを忘れずに。動画で実践した通り、ただ音が小さいだけで実のない音にしないよう、小さい音でも密度があってはっきりとした音になるように意識しましょう。


歌うように演奏する

前述したように音階には音楽的な要素があります。今まで均一に音を並べて音質を保つことを中心に書きましたが、やはり音楽的に歌う音階練習が理想です。ただ、均一に並べることを意識しすぎるとただの音並べになってしまいます。その調、その音階の響きをしっかりと意識しながら歌うように練習してみましょう。


・クレッシェンドとディミヌエンドをつける

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基本的にスケール練習といえばこのクレッシェンドディミヌエンドです。上に登る時は音量も上げていき、下りは収まっていく。これが曲の中でも一番一般的な流れです。音量の差をつける時はpp~ffなのか、mp~mfなのかはその時々で自分で考えながらやってみてください。音量だけでなく、上りと下りのイメージを持って。ただ、下るからと言って音質まで下がらないようにしましょう。

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先にあげた形を基本として身についたら今度はディミヌエンドクレッシェンドをやってみましょう。これは応用編です。音階の上りと下りの意識はそのままに音量だけデイミヌエンドクレッシェンドにします。つまり、意識と音量が逆になります。フレーズを歌う時もそうですが、このように基礎的な感覚と音量が合わない時があるものです。しかし、音が小さくなるからと言って、音が下るようなイメージが一緒についてきてしまうと本来の上行する音階の流れが消えてしまいます。音階を上るというエネルギーと意識はそのまま持ちながら、音量は大きい音から小さい音へ行くように練習してみてください。そうすると上のF(ファ)に行ったときにしっかりと密度のある音で明るくしなやかな音になりませんか?


音階練習は音楽的かつ複合的に

今回はただ音階を上り下りするだけの練習について紹介しましたが、この記事も2500字を超えた長い記事となりました。つまり、音階練習と言ってもとても様々な要素を含み、いろいろなことに気をつけて追求しなければいけない大事な練習なのです。

・常に息を入れる(ピアノでもフォルテでも)
・音をまとめる(開かないように気をつける)
・音の並びが綺麗になること(デコボコがないように)
・全体の音程と響きを聴く(強弱によって音程が大きく変わらないように)

このようなことはよく気をつけるポイントとして言われることですが、これに加えて

・音質を保つ
・音階の響きと流れを大事にする

というポイントを加えることでさらに立体的に音階練習をすることできます。

音階や調のイメージがわからないという人はその調の曲を聴いてみてください。例えば変ホ長調(Es dur)は「英雄の調」と言われます。なぜかというとベートーベンが交響曲第三番「英雄」でこの調を使っているからですが、変ホ長調というのはそれだけ堂々として力強い調なのです。一つ一つの音階を自分で色付けたり、イメージを持つだけでさらに音階練習が楽しくなります。さらに、これをきっかけに調を意識して曲を聴いてみたり、その演奏者がどう演奏しているのかを考えながら聴いてみるのも有意義ではないでしょうか。

ということで今回は音階練習の入り口でした。次回からはこの応用編としての練習の形を紹介していきます。まずはこの音階を上り下りするということにもう一度意識を集中してみてはいかがでしょうか?

それではまた!

楽しく演奏していきましょう!!


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