日々樹(ひびき)

健康と環境を意識しながら湘南の地に暮らして43年になります。書き物好きの主婦が、日々の…

日々樹(ひびき)

健康と環境を意識しながら湘南の地に暮らして43年になります。書き物好きの主婦が、日々の思いつきや旅の紀行を「物語ふう」に綴ります。目下のところは「日本の旅と風景印の物語」というテーマでマガジン作成を目指しています。

マガジン

  • 日本の旅と風景印の物語

    日本には全国に美しく心愉しい場所がたくさんあるのはご存知ですね。それでは日本の全国の郵便局に「風景印」という美しくもその土地ならではのデザイン消印があるのをご存知でしょうか。 これは、旅好きのわたしがその旅とその先々で出会った風景印の物語です。

最近の記事

月夜の呟き 老木の蜜柑

すこし眠っていたのだろうか。 黒い夜空をあおぐと月が出ていた。 冷えた体いっぱいに月光を浴びると、遠い昔に刻まれた記憶がなにやら蘇って来るのを感じる。 思えばいつから、この家の庭に植えられていたのか。 今となっては思い出せないが、生まれた頃はどこかの山の中にいたような気がする。 移ろいを繰り返す山の季節の中で、気持ちよく花を咲かせ、のびのびと枝葉を茂らせ、秋には蜜柑をみのらせて、わたしは大きくなっていった。 野鳥が訪れ、蜜柑をついばむ時期だけは、静寂から解き放たれて軽快な

    • 86歳で運転免許返納,あれから6年:じいちゃんのこぼれ話

      じいちゃんは今日も元気だ。 じいちゃんとは義父のことで、わたしが嫁に来て以来41年間いっしょに暮らしている。 今年93歳になる。 じいちゃんは数年前までクルマを運転していた。 ちょっとした買い物や用事のときは、自分でハンドルを握って機嫌よく出掛けていた。 自分専用の冷蔵庫が欲しくなったじいちゃんが、ある日 家電量販店に行き、結構大きなツードア冷蔵庫をお持ち帰りして来たこともあった。あの時は驚いたな。 なので、冬場に灯油を買いに行くのもお手のもので、車でガススタまで行って

      • スマホ写真館:100均 顕微鏡レンズ実験

        大昔の話をすると人に笑われてしまうが、これでもフィルム一眼レフのカメラを抱え、時には三脚まで携えてターゲットを狙いに走って出掛けた時代があった。 時は移り、面倒な趣味にお金や時間をかける意欲が薄れた今。 がぜん、スマホカメラが面白くなってきた。 スゴい写真は撮れないが、楽しい写真はどんどん撮れるし、なにより撮ってて楽しいのだ。肩に力が入らないところがいい。 ここいらで、スマホカメラ用の広角レンズでも買ってみようかな、などと探していたら、そのようなものが100円ショップで

        • 6話:JR湯檜曽駅ミステリー

          「日本の旅と風景印の物語」をテーマに、日本各地の旅行記を綴っていきたいと思っています。 6話目は、今年4月のお話になります。どうぞ読んでください。 始めにおことわりしておこうと思うのが、本作を「物語」と謳いながら今回は「写真ルポ」の形態をとってしまったこと。 本来ならば文章で綴るべき事柄なのだが、あまりにも驚きに満ちた光景に、これを伝えるには、もはや画像に頼るしかないと考え、筆を休ませることにした。ご容赦いただきたい。         (そっちの方が面白いぞ! という声が

        月夜の呟き 老木の蜜柑

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        • 日本の旅と風景印の物語
          8本

        記事

          5話:冠雪の谷川岳をのぞむ諏訪峡散歩【付録】昭和グルメ情報

          「日本の旅と風景印の物語」をテーマに、日本各地の旅紀行を綴っていきたいと思っています。 ‥‥ということで書かせていただいた本編の方に、掲載し切れなかった 昭和グルメともいうべきいいお店がありましたので、付録でお話しさせていただきます。 ご紹介しますのは、群馬県水上町の「大衆食堂フライパン」になります。 水上の温泉街は、昭和レトロの世界に踏み込んだような感じだとよく書かれているが、実際に歩いて見ると本当にその通りだ。 まだ、真ッ昼間なので、宿泊客がそぞろ歩きする姿は無かった

          5話:冠雪の谷川岳をのぞむ諏訪峡散歩【付録】昭和グルメ情報

          5話:冠雪の谷川岳をのぞむ諏訪峡散歩

          日本の旅と風景印の物語をテーマに、日本各地の旅紀行を綴っていきたいと思っています。 5話目は、今年4月のお話になります。どうぞ読んでください。 谷川岳は群馬県の北部に位置する山岳部にあって、その急峻な岩壁から登山者からは「魔の山」と呼ばれる横顔もある。 しかしロープウェイを使えば、お手軽に天神平(標高1300m)まで上れて、さわやかな高原気分を味わえる。みんなに愛されている山だ。 朝。 暗いうちに朝食用の簡単な折り詰めを作って、水を1本。 タオルを1枚(足湯で使う予定)。

          5話:冠雪の谷川岳をのぞむ諏訪峡散歩

          スマホ写真館【今日の散歩道】3月

          毎日の散歩は、食事と同じかそれ以上に、わたしのからだを作ってくれている。嵐でも来ない限り散歩に出掛けて行く。 有り難いことに、日本は季節の移り変わりが目まぐるしくて、その景色を見ていても、飽きるという事がない。 そこで、毎日の散歩で歩いた道と風景を、気軽にスマホカメラで撮影して、「今日の散歩道」というテーマでinstagramにあげたりしたのだが、調子に乗ってその選集をnoteに投稿しようと画策した‥‥ これは3月の散歩道の様子と、道端の景色にすぎませんが、もしかしたら湘

          スマホ写真館【今日の散歩道】3月

          4話:仲春の鎌倉散歩とアンティーク博物館【付録】グルメ情報

          「日本の旅と風景印の物語」をテーマに、日本各地の旅紀行を綴っていきたいと思っています。 ‥‥ということで書かせていただいた4話目の投稿を、読んで下さった方から「グルメのお話も聞きたい」との嬉しいお声をいただきました。 そこで、本編には導入しなかった当日のグルメについて、付録でお話しさせていただこうと思います。 ご紹介するのは甘味処「風の杜」と、イタリアンバール「Dolce far niente」の2店になります。 ところは鶴岡八幡宮の門前。(門は無いけど、だいたいそのあた

          4話:仲春の鎌倉散歩とアンティーク博物館【付録】グルメ情報

          古いモノを食べてしまった話

          運が悪かったのか、不注意だったのか(そっちだろ!)。 知っていたなら通報レベルの古いモノを、食べてしまった。 家族に食べさせてしまった。 しかし、それが古いモノだとは誰も気づかず、全くわからなかった。 だってとっても美味しかったんだもの‥‥♡ 検証をこめて‥‥ 「2014.8.17賞味期限のホケミを食べた話」 その日、昼食に「久々にホットケーキを食べよう!」と話がまとまり、牛乳や卵などをならべて用意をはじめた。 ホケミ(ホットケーキミックス)のストックはいつも欠かさ

          古いモノを食べてしまった話

          天気予報今昔メモその3:観天望気

          長い付き合いの天気予報だが、今は「一時間後に雨が降ります」とスマホに通知がくる時代だ。気象庁のスパコンは、毎秒1京8千兆回の速度で雨雲の動きを計算しているらしい。 では、天気予報がなかった時代まで遡ると、人々はどうやって天気を予測していたのか。 その方法のひつとに「観天望気」(かんてんぼうき)という、天気のことわざとして伝承されたものがあるという。 天気占いとも呼ばれたそうで、雲行きや風向き、動物の動きや景色の見え具合、星の見え方などから、直近の天気変化を予測していた。

          天気予報今昔メモその3:観天望気

          天気予報今昔メモ その2:富士山レーダー

          長い付き合いの天気予報だが、今は「1時間後に雨が降ります」とスマホに通知がくる時代だ。気象庁のスパコンは、毎秒1京8千兆回の速度で雨雲の動きを計算しているらしい。 時代を大きくさかのぼり、日本初の天気予報が発表された頃の話となると、明治20年。西暦で言うと1884年6月1日のことだ。 その頃は、予報する場所の単位は「全国」だけだったという。 「全国一般、風ノ向ハ、定マリナシ。天気ハ、変ワリ易シ。但シ、雨天勝チ。‥‥」 と、なんとものどかな調子で、1日3回(つまり8時間先まで

          天気予報今昔メモ その2:富士山レーダー

          天気予報今昔メモその1:ロケット

          長い付き合いの天気予報だが、今は「1時間後に雨が降ります」とスマホに通知がくる時代だ。気象庁のスパコンは、毎秒1京8千兆回の速度で雨雲の動きを計算しているらしい。 こう言っては何だが、その割には精度がそれほどに上がってはいないような気が、うっすらとする。(予報関係のかたがいらしたらご免なさい) まあまあおおむね参考になるのは事実だが、そう考えると‶昔からそれなりに精度は高かった″と言えてくる。 これはひとえに、当時の気象予報関係専門家の方々のマンパワーの賜物で、少ないデータ

          天気予報今昔メモその1:ロケット

          4話:仲春の鎌倉散歩とアンティーク博物館

          「日本の旅と風景印の物語」をテーマに、日本各地の旅紀行を綴っていきたいと思っています。 4話目は、今月のお話になりますが、そうぞ読んでください。 自然、歴史、グルメ、などなど魅力あふれる鎌倉だが、1年のうちで絶対に近づかないと決めた季節が3つある。 桜と紫陽花、そして紅葉。 これらの季節の鎌倉がとんでもなく素晴らしくて、世界中から人が集まってくるのは当然理解できるが、その混雑といったら‥‥。 周知のとおり年々拍車がかかって、もう殺人的とも言えてくる。 昨年の話、 紫陽花

          4話:仲春の鎌倉散歩とアンティーク博物館

          3話:大井松田町の河津桜まつり

          「日本の旅と風景印の物語」をテーマに、日本各地の旅紀行を綴っていきたいと思っています。 3話目は、昨春のお話になりますが、どうぞ読んでください。 3月になった。 このところ、あちらこちらから河津桜のニュースが届けられる。 ソメイヨシノの開花が待ちきれず、お花見に焦がれる日本人の心に、早咲きの河津桜はドストライクでつきささる。 本場の伊豆河津まで、足をのばしてみたいものだ。 しかし肝心の計画を立てていなかった。 ウクライナの侵攻のニュースを連日聞くと旅行気分もしぼむのだ。

          3話:大井松田町の河津桜まつり

          2話:廃局の日を待つ箱根芦ノ湯郵便局

          「日本の旅と風景印の物語」をテーマに、日本各地の旅紀行を綴っていきた いと思っています。 2話目は、昨冬のお話になりますが、どうぞ読んでください。 3月17日をもって廃局となるという「箱根芦ノ湯郵便局」の噂を聞いた。 利用者が減少して、業務は箱根町郵便局が引き継ぐはこびになるらしい。 うら淋しい思いがよぎった。 きっと昔は、けっこうな温泉地としてにぎわっていたに違いない。 芦ノ湯との名前は、地名からきているようだが、往時が偲ばれた。 冬晴れのある日、車を出してぶらりと

          2話:廃局の日を待つ箱根芦ノ湯郵便局

          1話:真冬の南伊豆で水仙まつりと地魚船盛りの旅

          「日本の旅と風景印の物語」をテーマに、日本各地の旅紀行を綴っていきたいと思っています。 初めての1話目を書くのでワクワクしています。 今日は、昨冬のお話になりますが、どうぞ読んでください。 ちかごろ、西伊豆の松崎がマイブームだ。 何故かというと、たまたま1本の伊豆松崎での旅行動画を視ていたら、それが「伊豆めし」とかいうシリーズになっていて、やけに面白くてハマったのだ。是非とも行きたい宿のナンバーワンが伊豆松崎の民宿◯浜荘だった。 宿を予約して迎えた出発の日。 あいにく朝か

          1話:真冬の南伊豆で水仙まつりと地魚船盛りの旅