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チガサキ⊿ライフ009 : 虫取り

1. ユリシス

 “ユリシスを1日3回見ると幸福になる”と日本人ガイドに乗せられ、必死に探した娘はケアンズでユリシス蝶を7匹も発見した。低いところを飛ぶと人間の捕獲に怯える必要があるのであろう、恐ろしく高いところを飛ぶ青い蝶であった。

2. 公園

 4月初旬に蝶取りに出かけたが、少し早すぎたのか蝶はまだ居なかった。祖父から貰った虫取り網を持って子供と3人で公園に出かけた。バスから降りて公園に着き次第、茶色い小さな蝶を見事に捕まえた。始めて蝶を自分で捕まえた娘は嬉しくてしょうがなく、早速祖父に携帯で報告していた。

3. 大漁

 その後もコツを掴んだ娘は次々と蝶を捕まえ、モンシロチョウ(紋白蝶)2匹と名称不明のオレンジの蝶(恐らくセセリチョウ科)が3匹も取れた。網から虫カゴに入れるのは私の仕事だったが、久しぶりに近くで見た蝶は気持ち悪かった。子供の頃は虫を掴んでも平気だったのに、何時からだろうか、今では見るだけで背筋に寒気が走るようになっていた。喜んだ子供たちが、捕まえた蝶を家に持って帰るとカゴに入れて運んでいたが、距離を置きながらもカゴの中を飛び回る蝶の姿を見ると、すでに何匹かは弱っていた。途中のバス停で子供たちに蝶が弱ってきた事を説得し、すべてを逃がした。しかし、時すでに遅く、可哀想な数匹の蝶はすでに動けず、風に吹かれてあたかも枯葉のように飛んでいった。何かしら切ない気持ちになってしまったが、子供たちはそんな悲しい風食には気付かず、「今度は弟を捕まえる!!」と無邪気にはしゃいで遊んでいた。

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