チガサキ⊿ライフ031 : 高所恐怖症

1. 家系

　家系であろうか、家族に高所恐怖症が多い。私が幼い時から、父親は高い所が怖く、外の景色が見えるエレベーターではガラス側に絶対立たなかった。高身長で、普通の人より高い所に見慣れているはずなのに情けないと、良くツッコんでいたものである。

2. 恐怖癖

　高所恐怖症は精神科医の手助けが必要な不安障害だそうであるので、厳密に言えば「高所恐怖癖」と診断されるらしい。飛行機にも絶対に乗らず、唯一乗ったのは、家族で参加した結婚式のグアム往復だけである。私の弟も同じく高い所が大の苦手で、グアムに着いた時には何故か機内で鼻血を流している情けなさであった。

3. 遺伝

　昔はなんともなかったが、何時からかすっかり高い所が怖くなった。足がすくむことは無いが、高い所では嫌な気持ちになる。娘に強請られて観覧車に乗ったが、本当は乗りたくなかった。親に無駄口を叩く性格がしっかり遺伝し、子供たちは嫌がる私を見て「怖いの？」と喜んで観覧車をゆすっていた。子供に脅されながらふと妻の方を見ると、調子に乗って一緒に揺らしていた。遺伝子の繋がりは無くとも、長年一緒にいると似るのであろう、その顔はすっかり私から遺伝のような悪巧みの表情であった。