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授業の課題を「根・幹・枝・葉」で考える ~どこから授業改善を図りますか~

 先日のゼミで、教育実習の授業ビデオをもとに「授業に関する課題」を整理・分析する機会がありました。

 出された課題は多岐にわたります。
 授業構成力、指導技術、指導形態、学習過程だけではなく、教材解釈、教科の本質に関わることなど、様々なレベルの課題が指摘されました。

 それぞれの課題は独立しているのではなく、相互に関連してしますので、
今後、取り組む課題に優先順位をつけるのは、学生にとって難しいことですが、出された課題は、樹木で例えると、「根、幹、枝、葉」の4つに分類することもできそうです。
 
 教育観、授業観、児童観などは「根」
 教材解釈、教科等の本質理解などは「幹」
 授業構成力、学習指導過程等などは「枝」
 指導技術、指導形態などは「葉」
と考えることもできます。

 「根」がその名の通り、すべての根本です。
 授業観、児童観については、自分よがりのものではいけません。
 教育の動向や子どもたちの実態等を踏まえながら、今、求められている授業観等をアップデートしていく必要があります。
 例えば「個別最適な学び」等のキーワードがありますが、学生は、まずその内容を理解し、自分の言葉で説明できるようになることが大切です。

 「幹」については、教科等の目標や見方・考え方、学習指導要領の内容を踏まえた教材解釈等になります。
 教科等の目標等については、キーワードを知っておく必要があります。
 
 例えば、小学校算数の「数学的な考え方」には、論理的、統合的、発展的な考え方が書かれてあります。子どもの言葉に落とし込むと、論理的は「だから」、統合的は「つまり」、発展的は「だったら」ということもできます。このように、特に力を入れたい教科等の目標はもちろんのこと、見方・考え方等は、自分の言葉で整理しておくことが大切です。このことは教材解釈の際にも役立ちます。

「枝」で一番重要なのは「目標の明確化」だと考えます。
 授業構成、単元計画、学習指導過程等は、そのゴールとなる目標がはっきりしていないと考えることができません。

 「幹」で学習指導要領の理解し、子どもたちの実態を踏まえた目標を設定します。特に目標が不明確になりがちな道徳科の授業おいては、注意が必要です。例えば内容項目「思いやり・親切」を取り扱うのであれば、どちらに重きをおくのか、親切であれば教材内容を踏まえ、「どのような親切観」(親切をされるほうも、するほうもうれしい、手助けをする親切だけでなく見守る親切もある。時には注意する親切もある)を考えさせるか、道徳的心情、道徳判断力、道徳的実践意欲と態度のどれに重きを置くのかを考え、明確に目標設定することが大切になります。

 「葉」の部分は、基本的に「HOW」になります。
 「HOWはかり追いかけても授業はうまくならない。」とよく言われます。 
 確かに、指導技術等を多く身に付けるだけでよいという技術至上主義はよくありません。
 
 しかし、「根」「幹」「枝」を充実させたとしても「葉」がなければ、子どもたちの力が付かないのも事実です。実際の授業では、目標や学習活動のねらいに応じた「指導技術や指導過程」を効果的に取り入れることが大切になります。多くの指導技術等をもち、その効果を理解していれば、選択の幅も広がります。

 前述のとおり「根」「幹」「枝」「葉」は独立しているのではなく、関連し合っています。授業改善のためには、根本の「根」を見直すアプローチもあるでしょうし、はじめ「葉」から考え、「幹」や「枝」を見直すこともできます。

 要はどこを切り取って、授業改善を考えるかになりそうです。


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