教育サークルを考えるⅡ ~「オンライン」+「サークルの日常化」~
これまで勤務したすべての学校において、校内サークルを立ち上げてきた。主なサークル活動は、自分が当時所属していた老舗のAサークルがモデルとなっていた。各自の実践レポートを持ち寄り、または模擬授業をして、検討するというものである。
ただ、校内サークルでは、Aサークルのような「厳しいやり取り」を私は望まなかった。いや、望めなかった。 Aサークルは少し大げさに言えば、野武士のような集団である。 自分の指導力を高めていきたいという強い思いをもった集団であり、人間関係よりは実践内容を重視する。 校内サークルに、Aサークルの雰囲気を持ち込むのは、適切ではないと判断した。
校内サークルによって「各自が力量を高めることができたかどうか」と問われると疑問が残るが、校内でお互いに学ぶ雰囲気を醸成するということはできたのではないと考える。
行政に入ってからは、昔からのサークル仲間数名で「学級経営に特化したBサークル」を立ち上げることにした。 これまでとは違うスタイルのサークルにしたいと考え、Zoomを活用したオンラインで行うことにし、悩みの共有・解決をメインとした活動を行うことを考えた。
また、仲間との話合いの中で「サークル活動の日常化」というキーワードが出てきた。月に一回、オンラインでメンバーで集まるだけではなく、自分が「発信したいこと」「聞きたいこと」などがあれば、それをすぐに実現できるようなサークル、つまり、日常的にサークル活動ができる仕組みをつくりたいと考えた。
そこで「SNS」を活用することにした。 あるアプリを活用し、そこに情報を集めるようにする。 例えば、学級経営の悩み、実践報告、最新の教育情報、授業動画、研修の感想、授業で活用した資料、講話のプレゼンなどがアップされることになる。
誰かの悩みが出されれば、それに対する各自の考え等をコメントする。 授業動画がアップされれば、学級経営の視点から誰かがコメントする。 こうすることによって、学級経営の悩み等を解決するヒントをタイムリーに得ることができるのだ。
このように、実際に集まらなくても、必要に応じて日常的にサークル活動ができる仕組みを整えるようにした。
立ち上げから数年経った今では、若手を中心とした30名ほどのサークルになった。ありがたいことに、若手を支えているのは、数名の主幹教諭や指導教諭である。人間的にもすばらしい方ばかりだ。
Bサークルのオンラインでの情報共有・協議を見ていると、Aサークルのような厳しさや鋭さはないものの、確実に、若い先生方が新しい考え方を獲得したり、指導力が高まったりしていることが分かる。
私たちの仲間の中でBサークルは、若い先生方を応援できる、若い先生方も伸び伸びと活躍できる、新しいサークルの在り方の1つのモデルになりつつある。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?