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長時間労働の最大の弊害=能力開発の機会喪失

「働く過剰~大人のための若者読本~」という本の中で、労働経済学が専門の玄田有史氏は、次のことを書いている。

【データから垣間見れる長時間労働の最大の弊害とは、能力開発の機会喪失である。】

ここでのデータとは、一般企業のものであるが、多忙で長時間労働をしている教職員が能力開発の時間と機会を奪われていることが予想される。

働き方改革は、教員が質の高い教育活動に専念できる環境を整えるためにある。なぜ、そのような環境整備が必要であるかというと、学習指導要領の趣旨を踏まえたこれからの社会に求められる資質・能力を育成するためである。

求められる資質・能力を育成するためには、教職員自身が教材開発や教材研究などの学校の仕事に直接関わることばかりするのではなく、読書をしたり、趣味に没頭したり、家族や地域などのコミュニティで様々な経験をしたり、同業種・異業種の人に会って話をしたり、勉強会を開催したりすることを通して、教職員自身の知性や社会性等を高めていく必要があると考える。

しかし、その自己研鑽をする時間がないと言われるのが、学校の現状である。「教師崩壊」の中で妹尾昌俊氏は、横浜市立小中学校の調査によると、教師の1ヶ月当たりの読書冊数は、0冊が32.4%、1冊が33.6%であるとのことだ。

今後、能力開発の機会喪失の影響は、ますます大きくなっていくと考える。




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