固定観念を覆す男
長男の学校からの支援計画書に目を通していたら、久しぶりに言葉を失った
長男は13歳だけど、知能年齢は10ヶ月
強がって言うと、そんなことは今更だし分かっている
けど、私が彼と過ごした時間は13年のはずなのに、、、
複雑な想いが湧き上がった
彼が知的障害児だと知ってから、心の中で折り合いがつくまでは、私は毎日ふとした時に泣いて、、泣きながら笑って、、とにかくとても必死だった
慣れない土地で初めての育児は大いに戸惑ったし、1歳までは障害児だとは思っていなかったから、突然それを理解することは簡単にはいかなくて、いろんな想いが入り混じりながら、無理やりに頑張っていた
自分の事は二の次になっていたし、自分らしさを保つことがよく分からなくなっていたし、張り詰めた糸がプチっと切れては、わんわん泣いていた
あれから13年経った今は、長男の仏のような笑顔を見て泣いてしまう時がある
長男は普段とても穏やかで、癒し系アイドルのようなポジションなので、出来ない事は多いけれど、可愛がってもらえるという徳な存在
話が出来ないので、どんな感じの子なのかと、理解されるまでに少し時間が要するけど、意外と単純で、活発で、本能のままに行動するので、分かりやすいタイプでもある
先日病院に連れて行った時のこと
待合席がとても混んでいて、どよんとした空気を感じてか、長男は暴れ出した
制止しようとすると叩かれ、呼ばれていないのに診察室の方へ入って行ってしまったり、違う部屋に入って行ってしまったり、見知らぬ人へのタッチも出たりで、周りからの刺さるような視線が痛くて痛くて、少し待合席から離れたエレベーターの近くに移動したら、同じ支援学校の先輩ママに声をかけられた
同じデイに行っていたと知って話が弾んで、すぐに深みのある会話ができ、いっきに心が救われた
先輩ママのお子さんもエレベーターが好きなようで、すぐ近くの席に座ってずっとエレベーターを眺めていた
長男もエレベーターを見つけるとスッと落ち着きを取り戻して、飛び跳ねて眺めていたので、今のうちだと思って、エレベーターの近くにいることを看護士さんに伝えに行った
(どうして彼らはエレベーターが好きなんだろう、視覚的に面白いからだろうか)
公の場で連れて歩いていると、長男の反応は時に面白く、時にフォローが大変である(笑)
見知らぬ人でも近づいて行き触ることはよくあるし、気になるものは口に入れたり舐めてしまうこともある
客観的に見て、「人としておかしい」けど、彼は人なのである
彼といると日々が修行で、日々が悟りですよと、前の担任の先生に言ったら笑ってくれた
おむつを変えるときも、『これは修行だ』と思うようにしているなんて添えてみたら、なるほど〜と理解を示してくれて、面白かった
彼は彼なりの13年間を過ごしてきたし、私は我ながらよくやってきたなと思う
こんなふうに文章に書き留めることができるまでになったのも、13年の賜物だ
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