小説#1 「世界地図の下書き」

こんにちは、東ローランドゴリラです。
主にビジネス書しか読まなかったイきり大学生の私ですが、インターン先への通勤時間に小説を読み始めたらまぁびっくりするくらいハマってしまいまして、
「せっかくアウトプットの練習しているのだから小説もすっか」
くらいのテンションで始めました。小説読書感想文。

あらすじなんかはどこ見ても載ってますが、それを読んで感じたこと・想像したことは読者それぞれの背景があってのことだと思うので、自分の感情を大事にしつつ、こちらも気ままに書いていきたいと思います。

と、いうわけで一冊目、というかちょうど今日読了した本はコチラ
朝井リョウさんの「世界地図の下書き」です。

「青葉おひさまの家」で暮らす子どもたち。
夏祭り、運動会、クリスマス。そして迎える、大切な人との別れ。
さよならの日に向けて、4人の小学生が計画した「作戦」とは……?
著者渾身の最新長編小説。
直木賞受賞後第一作!
                  ーAmazonの紹介ページよりー

児童養護施設の子どもたちが徐々に社会を知っていく姿、そして過酷な社会であろうと守りたいもののために一生懸命に生きる姿が描かれていて、「小学生の青春群像劇」という印象の作品でした。

感想

物語は両親が事故で亡くなり、親戚に引き取られた大輔を視点に描かれている。しかし伯父の暴力と伯母の「本当の母だと思いなさい」という精神的虐待によって、施設に入所した。
そんな大輔と、兄妹の淳也と麻利、母から虐待を受けたが未だに母が大好きな美保子、この小学生4人と高校生の佐緒里の5人が施設の同じグループであり、物語が展開していく。

子どもたちの、主に大輔の視点から
・施設にくるボランティアの大学生
・避難訓練の消防署の人
・施設の職員
・学校の先生
などといった「大人」たちが描かれています。
私も、児童養護施設のボランティアに参加したことがあるのですが、傷を負った子どもたちからの「大人の見え方」というものには人一倍気を付けて活動していました。しかし、この本の「大人の見え方」は非常に生々しく、このようなことを想像することは相手の立場に立って考えることの基本なのかもしれません。

それぞれの子どもたちも同級生からのイジメや、家庭からの連絡で帰れるかと思ったら違ったりと、非常にリアルな子どもたちの生活が描かれています。
そして、家庭の事情で夢を諦めざるを得ない状況になってしまった高校生の佐緒里のために、最後は小学生4人である「作戦」を決行するのですが、そのプロセスがまた感動します。
一人ひとりが自分の今と将来に向き合いながら、時に逃げながら「作戦」を進めていく姿がたまらないです。

この本は「逃げる」ことを肯定しているように思います。

「小さな子どもたちが、自らの想像力で、今いる場所から逃げる、もとい、自分の生きる場所をもう一度探しに行く、という選択をする物語。そんな物語を書き、「逃げる場がある」という相想像力を失いかけている誰かに届けたいと考えました」
          坪田文学賞選評パンフレット「受賞者のことば」から

と、解説にもあるように。

逃げ場があるということは、放棄することではないと思います。逃げる「場所」があるのですから、放棄のように何にも考えずに宙ぶらりんではないのです。
私含め、今の若者は「逃げちゃだめだ」精神で自分を追い込むか、「もーいーや」精神で諦めて放棄するかの二極化しているのかなと。


「逃げる」という選択肢を持つこと自体が、心の豊かさなのかもしれません。

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