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嘘つきと嘘解き

異性の関係にとどまらず、対人関係はもとより、多少なりとも上部だけの付き合いというのはざらに存在する。
車寅次郎の言葉を借りれば、「それをいっちゃ〜、おしまいよ」となりかねないのだが、これは紛れもない事実である。
よく巷では「恋は駆け引き」などといわれるが、果たして勝者は存在するのだろうか?

こういった事を参考にして鑑賞すると楽しめるかも?!知れない作品を紹介したい。
タイトルは邦題『グッドライアー 偽りのゲーム』である。

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意外にも、この作品の要となるベテラン俳優のヘレン・ミレンとイアン・マッケランは初共演の様だ。
実年齢的にもお互いの成熟した演技が冴える作品に仕上がっている。
それだけに最後まで本性を出さないヘレン・ミレンの演技に脱帽となるだろう。

簡単な物語の説明をすると、熟年の男女が出会い系サイトを通じて知り合う。
実際に会うと共通した趣味はないが、言葉では表現できない惹かれあう感情を抑えきれない。
特にヘレン・ミレン演じるベティはイアン・マッケラン演じるロイに対し親近感を感じている様子だ。

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しかし、ベティの思惑と違いロイには裏の顔を覗かせていた。
表向きは病弱な老紳士だが、本業は巧みな話術とからくりを駆使する詐欺師であった。

ここまで説明するとお解りだろう。
ロイはベティの資産を目当てに近づいたのだ。
だがロイにとっては良い意味での誤算があった。
実はロイが考えている以上にベティには大きな資産があった点だ。
当然ロイはベティの資産を巻き上げようと考える。

一方のベティだが、単純に心の拠り所が欲しかった様だ。
最愛なる夫に先立たれ、頼もしい存在を望んでいたのだろう。
その為、恋人というより親友を望んでいた。
最もベティが信頼している人物が孫のスティーブンである。
スティーブンは大学院生でベティの家に住み勉学に励んでいた。

スティーブンはベティがロイと知り合った経緯も承知している。
だが知り合ったきっかけが出会い系サイトだと思うと、孫にとって心配の種だった点は拭えない。

ベティとロイの距離が縮まるとスティーブンは余計に心配となる。
もしや騙されているのでは?などと不信感を抱いたスティーブンはベティに告げるが、当の本人は孫の助言に聞く耳を貸さない。

スティーブンはロイを信用できないまま秘密裏にロイの本性を暴こうと身辺調査を始める。

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辿り着いた答えとは、ロイ・コートネイという人物は存在する。
だが、仕事先のドイツで通訳として同行していたハンス・ダウヴという人物は事故で亡くなっていた。
スティーブンは更に調べ上げると、ロイはその後帰国するなり家族と別居する。
そしてロイは家族と別れ行方不明となる。
その点を怪しんだスティーブンはそのまま引き下がる事なく真相を追う事に。
すると亡くなったはずのハンスがロイと入れ替わって生存していた事実に行き着いた。
その事をロイまたはハンスに問うと否定をせずにあっさりと事実を認める。
しかし、それには理由があると弁解する。
ハンス曰く、当時の状況は生き残ることがとても困難だった。
経済的にも身体的にも、当時のドイツで生き抜くには過酷すぎたと語る。
そこで脱獄する必要があったと説明する。
その事に対しスティーブンとベティは否定はしなかったが、騙されていた事実を肯定する気もなかった。

ベティとスティーブンに本性が暴かれたハンスはベティの資産を早急に奪おうと行動に移す。

事実は小説よりも奇なりとはこの事か…
ハンスは自分が主導権を握っていると思っている様だが、実際はベティが握っていたのだ。

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しかもベティ自身も存在を偽っていたのだ。
更に付け加えるとハンスを以前から知っていたのだ。

これは偶然の出会いではなく、ベティが仕掛けた意図的な計画だったのだ。

最後は実際に鑑賞して頂きたい♪
冒頭で述べた通り、二人の演技を通じて見る側を騙す効果は絶大だ。

仮に恋が駆け引きだとすると、騙す者が存在し必ず騙される者がいる。
何だか、こええなぁ…

わーお!

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