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わたし気候危機アクション始めました~COP27を終えて~

今回はいつもとは少し違うテーマです。少しだけ事前知識が必要となります。各所に参考となるサイトを紹介しています。ぜひそちらもご覧ください。


皆さんは気候危機というワードの「危機」にどんなイメージを持つのでしょうか?


この秋しばらく遠ざかっていた気候危機に関する市民アクションに取り組み、私の中でアップデートした事が溢れているので記録します。

そしてただいま2022年11月22日火曜日。夕方。成田空港にて私は仲間の帰りを待っています。この仲間についても後述します。


気候危機の現在地

もしかしたら「気候危機」というワードより、「環境問題」や「地球温暖化」「気候変動」の方が馴染みがある方が多いかもしれません。

これらの問題、特に「気候変動」は自然環境や人々の生活を脅かす問題であり、経済、社会、健康、人権、安全保障など、私達が生きていく上で必須な様々な分野に多大なる深刻なリスクを及ぼします。
いまや、単なる「気候変動」に留まらない、「気候危機」というところまで来ました。

日本を始めとした先進国では、これまで高い環境負荷ですが豊かな経済・生活が成されてきました。一方で、途上国では既存の資本主義のしわ寄せによる貧困のみではなく、気候危機による様々な災害の被害が日常的に起きています。

直近では、2022年夏にパキスタンで大洪水が起き、国土の3分の1が水没しました。



日本でも近年異常気象は増えていますが、このような国単位で生活保障が難しくなる深刻な異常気象は主に途上国に見受けられます。

残念なことに、日本は他先進国と比べ対策のプライオリティの低さ、対応の遅れは言うまでもありません。
またこういった気候危機の被害を受ける途上国と日本の異常気象の頻度や規模が明らかに違うため、私達日本人にとっては未だに単品の社会問題である環境問題でしかありません。

SDGsのウェディングケーキモデルの様に本来地球全体の自然環境が豊かである事が大前提で動く経済、社会、人権が、スポンジのない今にも崩れそうなケーキとなっています。


「気候危機」というワードに嫌悪感や疑念を抱く方も少なからず居ると思いつつも、敢えてはっきり『気候変動はもはや危機』とここでは述べます。


record 1.5という仲間

この秋ご縁あって、気候危機を記憶する発信型ムーブメント「record 1.5」のスタッフとしてjoinしました。スタッフとなった経緯や理由については省きますが、このrecord 1.5というのは環境アクティビストの中村涼夏と山本大貴が立ち上げたメディア型の市民アクションです。

中々日本では気候危機を「本当の危機感を持つ様な」経験は少ないと感じています。また何となく環境問題って不味いよね。と理解する方でも生活が豊かであるが故に現実味がある心が伴った声は少ないと感じています。この現状をどうにかしたいと思い立ち上がったプロジェクトです。


今回record 1.5は日本を飛び出してエジプトへ。そこではCOP27と呼ばれる気候変動枠組み条約の締約国会議が行われ、そこには多くの政府関係者と環境アクティビスト達、NPO・NGOスタッフが集まります。そこでドキュメンタリー映像の撮影を行い、気候危機の核を捉えた映像を制作します。

私はこの少数精鋭なrecord 1.5の唯一日本残留メンバーとなり、他メンバーは撮影に挑んだCOP27期間でした。

余談:このCOP27プロジェクトの為にクラウドファンディングを行いました。多くの方のご支援をいただき無事メンバーが帰国できて安心出来ました。ありがとうございました。

COP27を終えて

COP27の成果そのもの/ 私達record 1.5の活動の成果
全てにおいて、まず私達と世界は少しだけ。本当に少しだけこの2週間でアップデート出来たという感覚があります。

気候正義の観点から長らく訴えられていた「損失と損害」では途上国の中でも特に脆弱な国々に対する資金支援のファンドが立ち上がる決定が今COP27の革新的な成果です。

とは言え、このファンドの具体的な実行計画やスケジュールまで議論は進まず、且つ気候変動対策そのもの「緩和」については大きな進歩はない、また来年のCOPに宿題を残しました。


私達record 1.5のドキュメンタリー撮影の活動では、そこでしか出会えない世界各国のアクティビストの声を広い、市民アクションを捉えドキュメンタリーに反映させる。またそれを見た私達自身も新たな発見と、日本に持ち帰るべきテーマがありました。総じてチーム全体としてはとても高い経験値を得る事が出来ました。私個人も日本にいながら現地に居るかの如く日々リアルタイムな情報を得て、何度も心のアップデートが成された日々でした。

ブルーの洋服を洪水に見立てて「損失と損害」の救済を求めるアクション(写真提供:黒部睦)


一方で、世界各国のアクティビストと本来共通の問題に戦うはずですが、私達が先進国の者であるが故に、私達に属する、途上国の人々へ意図せず牙を向けていた『加害者性』と向き合う必要があります。日々現地メンバーと対話しその葛藤が伝わり日本に居ながら言葉に出来ぬ想いで一杯になりました。


これからドキュメンタリー映像を編集するにあたり、この『加害者性』を日本人の手で編集し日本人に伝える。本当に私達record 1.5は途上国の人々の想いを何のフィルタなしに伝えられるのか?この困難を目の前にすると恐怖心がよぎります。


気候危機と私

以降は私が今COP27にて得た心のアップデートとこれからしたい事の2点を残します。

確実に私にある加害者性

正常性バイアスにかかった人間の頭では、事象として私たちに内在する『確実な加害者性』を心で感じ取り認めるまでにはここまで努力をしないといけないものでした。私個人もですが社会全体でこれまで血の滲む想いで作り上げてきた資本主義の大き過ぎる負の側面を認めるのには今後も長い時間がかかると理解しました。

今回私がこの『確実な加害者性』を以前より認められる様になったのは、この汚点に対し一緒に向き合う仲間が居た事につきます。面と向かって何度も礼を伝えているつもりですが、私をチームに入れてくれたrecord 1.5メンバーには感謝しかありません。

日々現地の様子を伝えつつ、日本とエジプトで互いに言葉を交わす。『加害者性のその先の1歩』を掴む事へハードルがとても低くなりました。加害者性に向き合う中で出てくる満たされない気分は直ぐに解決されるものではありません。ですが私はこの3週間で確実にアップデートし、この2022年秋この困難と向き合う運命だった様に感じます。


COP27会場の様子(写真提供:黒部睦)


対話の中に生まれる進歩

私は各被災地や人々と出会った訳ではなく勉強不足である前提ですが、確実にドキュメンタリー映像を制作する事で人々の心に何か訴えるモノがあると信じています。一方でその訴えが誰かを傷つけるのではないか?という恐怖心がそれ以上に大きいです。良くも悪くもです。

私達チームはドキュメンタリー映像を制作する責任ある立場として、その恐怖心に打ち勝つ大きな進歩をしなくてはいけません。

私が今回COP27にて感じた加害者性への心の葛藤は『対話』にて少しだけ穏やかになりました。record 1.5の活動にもこの『対話』のエッセンスを取り入れたいと考えています。チームメンバーにもそれぞれの役割分担があります。その中でもこの『対話』というのは私が今後注力していきたいと心が言っています。

ドキュメンタリー映像は来年公開予定です。皆さん是非観てくださいね。




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