嘘ならやめてって言ったけど 嘘もつけないような人はもっと嫌い
Kindle Unlimitedに入る前は、期間限定とか、ずっと無料だとかのKindleマンガをよく読んでいた。
東京喰種とか、1巻と7巻が対象で、話が飛びすぎて意味わかんなかった。
それで逃げ恥の1巻を読んではまって、ドラマが始まり、北も沼に突き落としたのだけれど、それより、本当はもっと好きな作品がある。
鎌倉時代、貴族社会の、あんまり明るくない話。
原作は読んでない。
絵柄が絵柄だから、こういう、情念を感じさせる作品はどうよって思ったが、性助法親王など、意外とよく描けていて、私は夢中になって大人買い。
光源氏などは、まだ父親に愛されていたから救いがあるが、二条の仕える院にはなんの救いもなく、その無茶苦茶な行動に腹も立つが、私は当事者でないので、哀れにも思う。
私が二条だったら、刺してしまいそうではあるけど。
二条が実兼と通じている事がわかり、兼平のもとに行かせる時の院の無表情、まあ、絵が平坦なせいもあるだろうけれど、真に迫って、私は好きだ。
華やかささには欠けるのだけど、その分、たいらな、地の部分がよく見えるようで、やはり精神的に活動的でない時に読むのに向いている。
私はあさきゆめみしは好きで、初版本を20年くらい親から借りパクしてるし、さいとうちほの、とりかえ・ばやも好きだ。
(てか、さいとうちほは、とりかえ・ばやしか読めない。アプローチや、扱うテーマが好きなものが多い分、残念な、ご都合主義な少女マンガになっちゃうのがダメなんだよな。チェーザレ・ボルジア、ああいう料理の仕方すんなよー。こっちは塩野七生想像して読んでたんだ。優雅なる冷酷!)
長岡良子の平安ものもいい。本当は古代幻想シリーズの方がシリアスで好きだけど。
そういう作品群の中でも、極めて地味で、それ故に生々しいマンガだと思う。
恋多き人の内実なんて、意外とこんなものなのかもね。
埋まらない空虚を、身体や言葉で繋ごうとして、そうしてそのことに首を絞められて、身動き取れなくなって。
私は恋は片思い以外はした事がないけれど、結局、根っこはおんなじなんだなって、思ってしまう。
恋は綺麗な幻であって欲しい。
現実になんて引き戻さないで。
振り向いたら、そこには、もう、なにも残ってない。
そんな真実はいらないと、何もかもから目を閉じて耳を塞ぐ。
さみしいね。
でも、抱き寄せた時、嘘とわかる嘘もつけない男なんて、純粋だねって思えるほど、もう、そんな世間知らずではいられない。
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